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No.2 アルミ[原料]その2

(やさしい技術読本 1997年3月発行)

モンちゃんとアンサー氏

世界的な規模で流通し利用されるアルミ。
アルミメーカーにとっては、安定的な量と価格の地金を
確保することが不可欠となっております。
地金のほとんどを輸入に頼る日本が、どのように安定的供給を確保するか。
また不安定な価格のリスクを回避するのかについて説明します。

英国のコーヒーショップがLMEの発祥地

モンちゃん
今回のテーマは「アルミ地金の需給と価格」について。 複雑なアルミの価格体系について勉強するんでしょう。 う~ん、すっごく難しそう。
アンサー氏
そう深刻そうな顔しないで。 私がやさしく解説してあげますから。 まずはLME とは何のことかわかりますか。
モンちゃん
え~と、ロンドン金属取引所(London Metal Exchange)のことです。
アンサー氏
はい、その通り。 英国は産業革命をおこした国。製造業が急速に成長して、金属の消費がその生産を大きく上回るようになって、価格設定と取引をする場が必要になりました。 やがて取引結果としての価格が公表されるようなって、LMEの基礎ができあがっていったのです。
モンちゃん
英国で始まった取引のマーケットが大きく成長し、現在のLMEとなったんですね。
アンサー氏
必ずしも金属を産出する国で、その金属を消費するとは限らないですよね。 日本はその典型で、ほとんどの地金を輸入しているし。 LMEは金属の生産者、ストックする人、取引する人そして消費者をつなぐ役目を果たしています。株式を売買する証券取引所のようなもので、直接、需給に関係する者だけでなく投機家も参加しています。
モンちゃん
LMEの相場によって、アルミ地金のベースとなる価格が決められるため、価格は日々変動することになるんですね。
アンサー氏
LMEで取引される金属は鉛、ニッケル、銅など。 アルミ地金が上場されたのは、1978年10月のことです。
モンちゃん
LMEに上場される以前は、どうやってアルミの価格が決められてたの?
アンサー氏
長い間、海外のメジャー企業が決める価格(P・P =プロデューサー・プライス)がベースになっていました。
モンちゃん
LMEに上場することによって、アルミも本格的に国際舞台に躍り出たってことかな。 需要家と供給する者がひとつのテーブルに着くことで、取引に厚みがでるし、マーケットも流動的になりますよね。 また世界中で公正な価格にもなるし。 結果として、大きな価格変動にさらされることにもなってしまったわけだけど。
アンサー氏
相場の変動は相当激しく、1995年においては、1トン当たりの価格が1600ドル台から、2300ドル台の間で推移しました。
モンちゃん
価格差が700ドルにもなるとは。 思った以上にアルミ地金の価格は揺れ動いているんだなあ。
アンサー氏
アルミ地金を調達する側は、LMEの機能を積極的に利用して、地金価格の変動リスクを最小限に抑えること、地金を安定的に調達することが重要になります。

変動するアルミ地金価格

モンちゃん
LMEの相場の動きによって、アルミ地金の価格は決定される、と理解していいんでしょうか。
アンサー氏
もちろんベースとなるのはLMEの価格なんですが、日本向けの場合、地金の価格はLME価格とCIF JAPANプレミアム、それに諸経費によって決定されるものなんですよ。
モンちゃん
CIF JAPANプレミアムって?
アンサー氏
世界の各需要地ごとに需給状況と、ロンドンから各需要地までの距離に合わせた運送費の差などを考慮してプレミアムが設定されます。
モンちゃん
じゃあ、ヨーロッパ諸国や米国と日本とではプレミアムが違うんですね。 そこで日本だけに適用されるのがCIF JAPANプレミアムなんですね。
アンサー氏
諸経費というのは、貿易に係わる通関手数料や国内運送費、金利などです。
モンちゃん
ところで、LMEで決定される地金の品質は一定なのでしょうか。
アンサー氏
基本的にブランドが指定されていて、LMEで決定される地金の品質は純度99.7%となっています。 それ以外の品質の地金には品位プレミアムが加算されることになります。
モンちゃん
LMEによって決定される価格は、当然ドル建てでしょう? ということは為替レートの影響を受けることになりますね。 LMEの価格自体も相場によって大きく変動するということですし、アルミ地金の価格には大きなリスクが伴いますね。
アンサー氏
そうです。 直接、商品の受渡しを行う取引のことを現物取引(The Phisical Market)と言い、将来の商品の受渡しに関する契約の売買を先物取引(The Forward Market)と言いますが、先物取引の場合、これらのリスクが生じることになります。
モンちゃん
リスクを回避する保険のような機能はないんですか。
アンサー氏
ありますよ。 ヘッジングです。 将来において不利な状況が予測される場合に、ヘッジをかけて予防線を張ります。
モンちゃん
LMEは、ヘッジングを行う機会を与えてくれる場でもあるわけですね。
アンサー氏
ヘッジには、売りヘッジ(ショートヘッジ) と買いヘッジ(ロングヘッジ)があり、将来の価格下落をカバーするのが売りヘッジ、先物の買いによって将来の価格上昇に対処することを買いヘッジといいます。 例えば素材メーカーが、’96年4月の時点で「’96年10月に製品1,000トンをユーザーに販売するが、その地金価格は180円/kgとする」という契約を交わしたとしましょう。 当然、その地金価格をベースとして製品価格も決定します。 ところが、相場の変動や為替の動きによって、地金価格が上昇するかもしれない。
モンちゃん
地金価格はLMEによって変わるし、為替の変動もまったく人知の及ばないところですからね。 「神のみぞ知る」ってことでしょうか。
アンサー氏
それは大げさな。 まあ需給関係や相場の動きを睨んで、ある程度の予想はするとしても、何ヵ月も先のことはわからないでしょう。 そこで’96年10月に「180円/kgで1000トンの地金を買う」という買いヘッジをかけるのです。
モンちゃん
それはトレーダーを相手にした、あくまでも契約上のことなんですね。
アンサー氏
’96年10月の時点で、地金価格が190円/ kgに上昇してしまったとする。 買いヘッジを行っていなければ、190円/kgの地金を買って、契約上180円/kgでユーザーへ地金を売ることになるので、10円/kgの損失を被ることになりますが、180 円/kgの買いヘッジをかけていたので、このヘッジを売り閉じることにより、価格変動のリスクは受けなくてもすみます。
モンちゃん
すごい! うまく作用するものですね。
アンサー氏
実際にはヘッジをかける時期や金額などのタイミングが、非常に難しいし、仕組みも複雑ですけどね。 そこを調整するのが原料調達のプロなんです。

安定した供給量を確保するための工夫

モンちゃん
アルミ地金の価格については、LMEの機能を駆使して安定させる努力をするとして、量的な安定的供給についてはどうでしょうか。
アンサー氏
素材メーカーにとっては、原料の安定供給は必要不可欠。 価格はLMEによって決定するといっても、契約を結ぶのは、個別の問題ですからね。
モンちゃん
アルミの地金市場というのはどのくらいの規模なんですか。
アンサー氏
LMEにおける売買の総量は、3億6500万トン(’94年)となっていますが、これは投機的な売買も含まれています。 現実には2000万トンほどが供給されています。
モンちゃん
日本もかなりのアルミ地金の需要国ですよね。 このうちの何割が日本へ供給されているのでしょうか。
アンサー氏
日本は200万トンほどを輸入していますから、全体の1割程度を占めていることになります。 ちなみにここ10年間、一番消費量が多いのは米国。 最近では中国の消費量の伸びが大きくなっています。
モンちゃん
地金の国別の生産量はどうでしょう。
アンサー氏
やはり米国が1位。 次いでCIS、カナダが続いています。
モンちゃん
世界第2位のアルミ消費国である日本は、地金調達の99%は輸入に頼っているとか。 安定的供給のための工夫が行われているんでしょうね。
アンサー氏
地金の輸入形態は「開発輸入」「長期契約」「スポット輸入」の3種類に大別することができます。 それぞれの利点を生かして、リスクを最小限にとどめながらも、フレキシブルな調達が行われていますよ。
モンちゃん
「開発輸入」というのは?
アンサー氏
海外精錬への投資を行うことによって、地金を直接調達する方法です。
モンちゃん
神戸製鋼も参画しているんですか。
アンサー氏
もちろん!他社とのジョイントによって、アルエット(カナダ)、ボイン(オーストラリア)、ベナルム(ベネズエラ)といったプロジェクトに参加し、地金引き取り契約を結んでいます。 「開発輸入」には素材メーカーの他、商社や需要家も出資しています。 また最近では地金だけでなく、アルミナやボーキサイトの確保にまで及ぶプロジェクトも着手されており、神戸製鋼もワースリー・プロジェクト(オーストラリア)に参加しています。
モンちゃん
「開発輸入」は安定的に量を確保できるという点では、非常に優れているんですね。 でも大規模なプロジェクトのためには、相当の投資が必要になるのでは。
アンサー氏
操業初期や市況低迷期の資金負担が大きいことなどが問題ですね。
モンちゃん
輸入のほとんどを「開発輸入」に頼るというのもリスクが伴うわけですね。 では「長期契約」はどんな輸入方法なんでしょうか。
アンサー氏
3ヶ月以上にわたって、地金の量と価格を決めて安定的に確保することができる方法です。
モンちゃん
地金価格はLMEによって決まるんじゃないの。
アンサー氏
もちろんベースとなるLME価格は相場で決定しますが、CIF JAPANプレミアムの部分を一定額で契約することができるので、比較的安定した価格が得られます。
モンちゃん
生産者にとっても定量の地金を売ることができるというメリットがありますね。
アンサー氏
ただし契約した地金価格が市況並であれば、いつでも処分できるので、「供給が義務づけられているのに、価格はスポット並」というのは、生産者にとってはあまりうま味がないともいえます。
モンちゃん
「スポット輸入」は、「開発輸入」や「長期契約」で調達できない分を輸入する方法なんでしょうね。 スポットという位だから、必要な時にパッと買えるし、便利ですね。
アンサー氏
 いきあたりばったりのモンちゃんにとっては、ピッタリと言えますが、アルミ地金の需要動向や価格変動のリスクを大きく受けるんですからね。
モンちゃん
「いきあたりばったり」って言うのはヒドイなあ。私も計画的な人生を歩んでいるつもり…。
アンサー氏
何もそれが悪いってわけじゃありませんよ。 その証拠に「開発輸入」「長期契約」「スポット輸入」によって、それぞれ同量程度の地金が輸入されているんですよ。
モンちゃん
アルミ地金の価格と需給について勉強してみて、さまざまな要因が絡み合っていることを実感しましたね。
アンサー氏
アルミ製品では、そのコストの約2分の1を原料地金が占めています。 それだけ地金の価格が製品にも直接的な影響力を持っているのです。
モンちゃん
アルミ地金は相場商品で、そのベースが刻々と変わっていくのですから、いかにリスクを少なくするかが地金調達のポイントですね。
アンサー氏
だからと言って安価な時に、大量に買っては、在庫保管にも莫大な費用がかかります。 マーケットの情報をつかみながら、全体的にコストを下げることがユーザーの方々の利益にもつながると言えるでしょう。
モンちゃん
ヘッジングや輸入方法を選択するなど、価格安定と量の確保のためには状況判断が非常に大切になってきますね。 いかにリスクを分散させて地金を購入していくか、アルミ地金の輸入大国である日本にとってはこうした工夫を積み重ねる陰の努力が必要なのですね。

日本へのアルミ地金主要供給源

日本へのアルミ地金フロー

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