2002年11月25日 放熱性アルミ板「コーベホーネツ・アルミ」の開発・商品化について 当社はこのほど、電子機器の駆動部分をカバーする筐体などを主用途とする放熱性に優れたアルミ板『コーベホーネツ・アルミ』を商品化致しました。『コーベホーネツ・アルミ』は、"軽量で熱伝導性に優れる"アルミ素材そのものの特性に加え、高い放熱性を付与した結果、板表面の放射率が無処理材の約20倍に高まりました。これにより、筐体内温度の上昇を5℃程度抑えることが可能となり(社内の実証データ)、電子機器の高機能化に貢献することが出来ます。本材料には、本年年初に上市し、既に複数の需要家に様々な用途で採用されている薄鋼板「コーベホーネツ」の「特殊化成皮膜処理技術」が使われており、今回新たに素材メニューにアルミを追加することで、より幅広い電子機器分野で放熱効果を発揮することになります。尚、『コーベホーネツ・アルミ』の対象となる市場は300トン/月程度とみられ、当社は当面、100トン/月の受注・販売を目指して参ります。 アルミは軽量化の観点から、数年前よりノートパソコンに代表される、持ち運びを想定した電子機器の筐体類、例えばスリムタイプのCD−ROMやDVD、FDDのカバー、液晶のフレーム、バックライトユニットの背面板等に採用が広がりつつあります。同分野では高性能化が急速に進み、マイクロプロセッサや回路などからの発熱量が増加傾向にあります。これに対し、光ディスク、液晶パネル等の各部品は、安定した動作を確保するために規定温度以下に保たなければならず、熱を効率よく外部へ逃がすことが大きな課題となっていました。アルミは熱伝導率が高いため、熱を熱源から遠くへ逃がすヒートシンクに利用されることでも知られていますが、あくまでもアルミ材料内での熱拡散であり、熱源から放射される赤外線を外部へ放出する性能は、アルミ単体では必ずしも高いとは言えませんでした。 『コーベホーネツ・アルミ』は、このような課題を当社独自の放熱性特殊皮膜処理を施すことで克服し、無処理材と大きく差別化を図ることに成功しました。すなわち、アルミ本来の特徴である軽さ、熱伝導性の高さを維持しつつ、特殊皮膜のみの作用で熱源から放射される赤外線を効率よく吸収し、外部へ放出する性能を著しく高めることで、電子機器の放熱問題解決に大きく貢献します。また、@皮膜に導電性を兼ね備えている為、電子機器の筐体類に必要とされるアース接続が皮膜の上から可能となる、A速乾性プレス油で連続成形が可能なためプレス油洗浄工程が省略できる当社プレコート材「KS700シリーズ」と同等レベルの潤滑性を有する、B90°折り曲げ加工が可能であり、加工時の金型摺動部(セリ部)が疵付きにくい、等の特性を有しており、「需要家の使い勝手の良さ」に力点を置いています。 今後は、環境への配慮から自動車の高燃費化が進む中で、ハイブリッド車に搭載する高性能電子制御部品や、カーナビ・カーエレクトロニクス製品など、自動車分野での電子部品の増加も予想され、軽量化を兼ね備えた放熱材として『コーベホーネツ・アルミ』の採用が期待されます。このように使用用途の裾野は広く、当社はアルミ・鉄を中心に、独自の特殊化成皮膜処理技術を更に向上させることによって「特殊皮膜を使った金属の高付加価値化」を推進していきます。 以 上 【コーベホーネツ/アルミ板と鋼板の特徴】
【コーベホーネツアルミの製造に関して】 |