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次世代製鉄法:ITmk3

次世代製鉄法:ITmk3
商業機第1号プラントの建設工事が進む
次世代製鉄法:ITmk3®
商業機第1号プラントの建設工事が進む
神戸製鋼所が独自に開発した次世代製鉄法「ITmk3®(アイティ・マークスリー)」の商業機第1号プラントの建設工事が、米国・ミネソタ州で進んでいます。建設地では、2008年6月に州知事を招いて約200人の関係者が参加した着工式典が行われました。2009年中ごろの操業開始を目指しています。

アイアン・ナゲット
アイアン・ナゲット
「ITmk3®」とは粉状の鉄鉱石と一般炭の粉を原料とし、高品位のアイアン・ナゲットをわずか10分で製造するプロセスです。アイアン・ナゲットは、銑鉄の代替品として電気炉メーカー等において高品質鉄源として使用されます。ITmk3®の命名は、現在の製鉄プロセスの主流である高炉-転炉法が第1世代、ミドレックス法などの直接還元鉄製造法は第2世代であり、ITmk3®は第3世代の製鉄法(Ironmaking Technology Mark Three)と位置づけられることに由来しています。

ITmk3®は、高炉法と比較した場合、 1)低品位の粉鉱石と一般炭を使用できること 2)CO2排出量を約20%削減できること(高炉-転炉法とITmk3®-電炉法の比較) 3)シンプルなプロセスであり、一般的な機器で構成されているので設備投資額を抑えられることなどが特徴として挙げられます。

またITmk3®で製造されるアイアン・ナゲットは、高炉法で製造される銑鉄に匹敵するほどの高品位(金属鉄:96~97%、スラグなし)です。このアイアン・ナゲットは清浄鉄源としてスクラップの代わりに電気炉に投入することにより、今までよりも不純物の少ない製品を製造することができるようになります。さらに、溶解しやすく連続投入が可能なため電気炉の生産性向上に寄与するほか、再酸化・粉化せずに高密度であるため輸送や取り扱いが容易です。

神戸製鋼所は1996年にITmk3®の技術開発を開始して以来、加古川製鉄所のパイロットプラントでの検証、米国・ミネソタ州での実証プラントでの試験を重ね、商業化に注力してきました。その結果、2007年11月に米国の電気炉メーカーであるスチール・ダイナミックス社(以下、SDI社)と商業プラント建設の合意に至りました。

この商業機第1号プロジェクトは、神戸製鋼所とSDI社が合弁会社Mesabi Nugget Delaware, LLCを設立し、ITmk3®プロセスのプラント操業と管理、アイアン・ナゲットの販売を行うものです。神戸製鋼所はITmk3®プロセスのライセンスを供与し、エンジニアリングと主要な機器の供給、指導員の派遣などを行います。一方、SDI社は、同プラントを操業し、そこで生産されるアイアン・ナゲットの全量を引き取り、自社の電炉工場で鉄源として使用します。

ITmk3プロセス模式図
ITmk3®プロセス模式図

商業機第1号プロジェクトのプラント建設の様子(米国・ミネソタ州)
商業機第1号プロジェクトのプラント建設の様子(米国・ミネソタ州)
さらにSDI社はプラント建設予定地付近の休眠鉱山を買い取り、新たに選鉱設備等を稼動させることで同プラントへ鉄鉱石を供給する予定です。プロジェクトの総工費は2億3500万ドル(約260億円)を予定しています。

2002年以降、世界粗鋼生産量が毎年5~7%の割合で成長する中、ITmk3®は設備投資額を低く抑えられることから、特に新興国での鉄鋼産業の育成に効果を発揮するものと考えられます。また、高炉製鉄法で使用することが難しかった比較的低品位な鉄鉱石や石炭を活用できることから、原料コストを低く抑えることができるという利点もあります。さらに、小規模鉱山に立地し、鉱石をアイアン・ナゲットにすることで付加価値を付け、販路を拡大して、その競争力を高めるというビジネスモデルにも適しています。

ITmk3®商業機の第1号プロジェクトが開始されることで、次世代の新製鉄法としての同プロセスの認知度向上と世界的な評価の向上が期待されています。

商業機第一号プロジェクトの開始について
~次世代製鉄法 ITmk3(アイティ・マークスリー)~


クリーブランド・クリフス社とのアライアンス契約の締結について
~共同で鉄鉱山立地ITmk3プロジェクトを推進~


粉鉱石・粉炭からのアイアン・ナゲット製造 ITmk3®(アイティ・マークスリー)プロセス