「新リフローめっき(端子コネクタ用錫めっき)」技術のライセンス供与について

2016年4月25日

株式会社神戸製鋼所

当社は、このたび米国の大手伸銅メーカーであるAurubis Buffalo Inc.社(以下、Aurubis社)に、当社が独自に開発した錫めっき技術である「新リフローめっき」を技術供与することを決定し、同社とライセンス契約を締結しました。
「新リフローめっき」は自動車端子コネクタ用銅板条に施すことにより、挿入力を大幅に低減します。北中南米及び欧州向けを対象にした今回の契約により、「新リフローめっき」のグローバル展開をさらに強化し、顧客満足度の向上を目指して参ります。

自動車に使用される様々な部品と部品を接続するコネクタには、銅合金材を成形した端子が使用され、電気的な接続信頼性を確保するためリフロー錫めっきなどの表面処理が施されます。
これらのコネクタは、近年の自動車における電装化の進展によりその数自体が増加しています。さらに、コネクタ当りの端子数の増加(多極化)が進むため、使用されるリフロー錫めっき付き銅合金材の需要は益々増加すると推測されます。

一方で、自動車の組み立て工程における接続工程は手作業が多いことから、作業者の負荷軽減の為、コネクタの挿入力低減を強く求められておりました。当社の「新リフローめっき」技術は、軟質な錫めっきの表面に硬い銅錫合金を分散させることで、めっき表面の摩擦係数を低下させるものです。従来のリフロー錫めっきと比較して、端子コネクタの挿入力を約3割低減させることから、作業負荷低減や生産性向上の観点で高く評価され、2009年より国内の自動車メーカーを中心に順次採用が進んでいます。低摩擦係数に加えて、高温や摺動環境下での接触信頼性も兼備しているため、エンジンルーム内の端子にも多く採用されています。

自動車生産のグローバル化に伴い材料に関しても「グローバルな供給体制」の充実が求められています。当社は、本技術を2014年9月にドイツの大手伸銅メーカーであるWieland-Werke AG社へライセンス供与しています。今回の米国のAurubis社へのライセンス供与は、「新リフローめっき」技術を用いた銅板条製品の全世界への供給体制を更に拡充させるものです。

当社は、今後も継続して市場のニーズに応える銅合金やめっき技術の開発を進めると共に、グローバルな供給体制をさらに充実させることで、世界中のお客様のご要望に応えてまいります。

※ 「新リフローめっき」の特長
リフローとは、錫めっき後、熱処理を施すめっき技術のこと。錫めっきの欠点として、めっき後の表面にウィスカーと呼ばれる結晶が発生(成長)し、稀に端子間を短絡(ショート)させる場合があり、このウィスカーを抑制するためにめっき表面の被膜を一度溶融させる熱処理を行うもの。
当社の「新リフローめっき」は、軟質な錫めっきの表面に硬い銅錫合金を部分的に露出させることで、画期的な挿入力低減効果を実現させたものです。また、Ni下地めっきを施すことで、優れた高温信頼性も実現しています。

【図1】多極端子コネクタ

【図2】めっき断面イメージ図

「Aurubis Buffalo Inc.」社の概要

本社所在地:
米国ニューヨーク州バッファロー市
設立:
1906年
主要製品:
銅及び銅合金条、板、厚板

「当社銅板事業」の概要

拠点所在地:
山口県下関市
拠点名:
長府製造所
従業員数:
920名
主要生産品目:
銅合金条
生産能力:
5,300トン/月
概要:
自動車向けを中心とした端子コネクタ分野及び半導体リードフレーム分野に特化しており、両分野共にアジアトップレベルのシェア(当社推定)を有している。長府製造所で製造した伸銅板条のスリット加工拠点を中国、タイに有しグローバル供給を進めている他、半導体リードフレームを国内(福岡県北九州市)及びシンガポールで製造している。

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