LNG船向け非汎用スクリュ式圧縮機の受注について

舶用二元燃料焚きエンジン向け非汎用圧縮機としては、世界で初めてスクリュ式が採用

2016年10月25日

株式会社神戸製鋼所

当社は、このほど(株)商船三井と伊藤忠商事(株)の折半出資する船主会社が、欧州におけるガス・電力事業大手であるUniperSE社※1の関連会社Uniper Global Commodities SE社に20年に渡り傭船する新造LNG船※2向けに、舶用二元燃料焚きエンジン(DFエンジン)※3への燃料供給用途としては世界で初めてスクリュ式の圧縮機を2式受注しました。納入時期は、建造を担当する韓国・大宇造船海洋(株)向けに2017年8月の予定です。
DFエンジン向け非汎用圧縮機の市場規模は、今後5年間で累計200億円以上と推定しており(当社推定)、当社は2020年までに同市場で50%以上のシェアを獲得する事を目指します。

DFエンジン向け非汎用圧縮機は、主に燃料となるLNGの気化ガス(BOG)※4を圧縮し、エンジンへ送り込む役割を担っています。従来、DFエンジンは低いガス圧力で駆動する「DF中速4ストロークエンジン」が主流で、付随する圧縮機も比較的低圧を得意とする「ターボ式」※5しか採用されませんでした。しかし、昨今の船舶の運航における省エネ、環境規制対応の必要性から、近年、燃費が従来比10%程度向上する高効率な「DF低速2ストロークエンジン」※6が市場に投入され、今後はほぼ全ての新造船に採用が検討されるなど主流となりつつあります。DF低速2ストロークエンジンは、比較的高いガス圧力を必要とするためターボ式では効率が悪くなり、また、舶用エンジンは負荷変動が大きいため、中・高圧力レンジで効率が良く、負荷変動への追従性も高い「スクリュ式」が適しており、今回、本エンジン向けとしては世界で初めてスクリュ式が採用されたものです。尚、同船向けでは他にもBOGの再液化プロセス向けに高圧レシプロ式圧縮機1式も受注しています。
LNG船は、2013年~2015年の3年間だけでも100隻以上建造されています。足下は資源価格の下落や世界的な景気低迷の影響で若干建造ラッシュは落ち着いたものの、依然としてクリーンな燃料であるLNGの需要は高く、今後も大きな市場が見込まれています。

当社は、圧縮機における主要な方式であるスクリュ式、レシプロ式、ターボ式の3種類を製造可能な世界で唯一のメーカーであり、特に非汎用スクリュ式では世界でトップシェアを有するメーカーです。今回の受注では、これまでの実績と製品性能を評価頂いたものと考えています。また、当社機械事業部門では、2016~2020年度グループ中期経営計画において、今回の非汎用スクリュ式コンプレッサーを含むLNG船向け製品を注力分野として位置づけており、今後も拡販を強化し事業拡大を図って参ります。

  • ※1 Uniper SE社
    民間のエネルギー供給企業として世界最大の規模を誇るE.ON SE社からガス・発電事業等を引き継ぎ2016年1月にスピンオフしたもの。本社はドイツ・デュッセルドルフ。Uniperグループにおいて天然ガスを始めとしたコモディティ・トレーディング事業を行っている。

  • ※2 新造LNG船の概要
    全長297.9m、幅47.9m、貨物タンク容量180,000m3の大型LNG船。韓国の大宇造船海洋(株)で建造され、2018年就航予定。同船は(株)商船三井と伊藤忠商事(株)の折半出資する船主会社が船舶管理を行い、北米のシェールガス液化プラントから欧州をはじめとする世界各地へのLNG輸送に従事する。

  • ※3 舶用二元燃料焚きエンジン(DFエンジン)
    従来から舶用エンジンの燃料として使用されている重油以外に、天然ガスなども燃料として使用できるタイプのもの。特にLNG船では、BOGを処理する必要があるため、殆どのエンジンが天然ガスにも対応したこの二元燃料エンジンを採用している。
    尚、2種類の燃料を使用出来ることから、Dual Fuelエンジンとも呼ばれる。

  • ※4 LNGの気化ガス(BOG:Boil Off Gas)
    LNGの沸点は約-160℃のため、外部からの自然入熱等でタンク内のLNGは常に蒸発し続ける。この蒸発した気化ガスの事をBOGと呼ぶ。気化すると体積が約600倍に増加するため、タンク内の圧力が設計圧力を超えない様にする必要がある。その方法としてLNG船上では、①エンジンの燃料として活用、②圧縮機や熱交換器を用いて再液化、③燃焼の上、大気放出の方法がある。今回受注したスクリュ式圧縮機は、①の用途、一方、レシプロ式圧縮機は②の用途向け。

  • ※5 ターボ式
    圧縮方式により主にターボ式、レシプロ式、スクリュ式があり一般的にターボ式は構造上、低圧で大容量用途に適しており、スクリュ式は中・高圧で中容量用途に向く。

ターボ式:
インペラと呼ばれる羽根車で遠心力をかけて圧縮する。主に低圧大容量用途。
レシプロ式:
車のエンジンの様にシリンダー内でピストンが往復する事で圧縮する。
主に高圧小容量用途。
スクリュ式:
2本のスクリュで空間を狭める事で圧縮する。主に中・高圧中容量用途。  
  • ※6 DF低速2ストロークエンジン
    プロペラ直結タイプの高効率エンジン。1.6MPa程度のWinterthur Gas & Diesel社のX-DFタイプエンジンと30MPa程度のMan Diesel & Turbo社のME-GIタイプエンジンでシェアを2分している。今回採用されたのはX-DFタイプのエンジン。
    尚、当社はME-GIタイプエンジン向けにピストンを竪型に配置し、船上設置に適した省スペースな高圧レシプロ式圧縮機も扱っている。

(参考写真)

非汎用スクリュ式圧縮機の一例

非汎用スクリュ式圧縮機の一例

LNG船の一例

LNG船の一例

お問い合わせ先

株式会社 神戸製鋼所 機械事業部門
回転機営業部 寺田啓太
TEL:03-5739-6771
E-mail: terada.keita@kobelco.com

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