水素ステーション向け拡散接合型コンパクト熱交換器「DCHE」が ISSF主催のニューアプリケーション賞を受賞

2017年6月15日

日本冶金工業(株)

株式会社神戸製鋼所

日本冶金工業(株)(以下、日本冶金工業)と(株)神戸製鋼所(以下、神戸製鋼)は、ISSFが主催するニューアプリケーション賞「新技術」分野※1にて、「水素ステーション向け拡散接合型コンパクト熱交換器(製品名:DCHE)」により「銀賞」を受賞しました。DCHEは、日本冶金工業が素材となるステンレス鋼を提供し、神戸製鋼にて製品化しています。 先月、ISSFは東京・丸の内のシャングリ・ラホテル東京にて第21回年次総会を開催し、その際に表彰式が執り行われました。日本冶金工業は2回目の受賞、神戸製鋼は初受賞となります。

受賞製品の概要

今回受賞したDCHE(Diffusion bonded Compact Heat Exchanger)は、主に水素ステーション向け熱交換器として、日本冶金工業から素材の供給を受けた神戸製鋼が50年以上に及ぶ熱交換器に関する技術を元に、2012年に開発したものです。強度、耐水素脆化性の観点からステンレス鋼を採用しています。製品の主な特長は、ステンレスのプレートに幅1~2㎜の微細な流路を加工、積層し拡散接合※2をする事で、一般的な熱交換器である2重管式※3と比較し、広い伝熱面積(約5倍の1,000m2/m3)、コンパクト性(約1/100サイズ)と超高圧への耐性(100MPa)を実現した高性能かつコンパクトな熱交換器です。

開発のポイント

①熱交換の対象となる水素は、金属組織の中に入ると材料を脆くする性質がある事から、耐水素脆化性を向上させるためにステンレス板に添加するニッケルなどの合金成分を最適化しました。

②拡散接合の様に金属を高温、加圧して接合すると一般的に強度が低下する傾向がありますが、今回、強度を維持するために接合時の最適な温度などの条件の選定を実施しました。

開発においては、素材として耐水素脆化性を向上した特殊なSUS316Lをステンレス・特殊鋼メーカーである日本冶金工業より供給しています。

背景

近年、普及が進む燃料電池車(FCV)のインフラ設備である水素ステーションにおいては、主要機器である水素圧縮機やプレクーラー、ディスペンサー内において、水素を目的の温度に冷却するために、熱交換器が使用されています。従来は、主に2重管式の熱交換器が使用されてきましたが、継手の数が多く機器サイズが大きい事から、省スペース化による設置コスト低減が求められる水素ステーションにおいては、よりコンパクトな熱交換器が必要とされてきました。その様な中、DCHEは2013年に初めて国内の水素ステーション向けに採用されて以来、現在では国内の水素ステーション向けに累計100基以上の採用実績を有しています。神戸製鋼は今後も拡販を進め、国内の水素ステーション向けに50%以上のシェア獲得を目指していきます。

※1:ISSF(International Stainless Steel Forum)
1996年に設立され25ヶ国32社のステンレスメーカー及び、25の関連業界団体で構成されている世界的機関です。ニューアプリケーション賞は、ステンレス鋼の新規応用を促進するため2015年から始まり、今回で2回目となります。「新技術」と「新市場開拓」の二つの部門から構成されます。

※2:拡散接合
溶接など接合方法の一種。材料同士を密着させ、高温で加熱しながら加圧する事で原子レベルで結びつける接合方法。一般的な溶接とは違い母材を溶かす事なく接合するため、微細な流路や複雑な三次元構造体の接合に適する。

接合イメージ図

接合イメージ図

※3:2重管式(熱交換器)
2重になった管の内外で熱交換を行うタイプの熱交換器。構造上、配管の継手が多くなり設置スペースが大きくなる欠点はあるが、主に高圧用途で使用される。

(ご参考)製造方法イメージ図

製品写真

製品写真

DCHE外観

DCHE外観

ディスペンサー内に設置されたDCHE (神戸製鋼/高砂製作所内、水素ステーション総合テストセンターに設置)

ディスペンサー内に設置されたDCHE
(神戸製鋼/高砂製作所内、水素ステーション総合テストセンターに設置)

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(注記)プレスリリースの内容は発表時のものです。販売がすでに終了している商品や、組織の変更など、最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。

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