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プレスリリース

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『改質褐炭(低品質石炭の高品質化)』に関する大型実証プロジェクトの開始について

〜経済産業省の支援により、JCOAL事業として実施〜

2006年7月5日

株式会社神戸製鋼所

当社はこのほどインドネシアにおいて、同国に豊富に存在するものの、水分が多いため利用が進んでいなかった低品質炭(褐炭=Brown Coalなど)を改質・高品質化(Upgrade)し、主に電力用途で活用することを目的とする大型実証プロジェクトを開始致しました。実証プラントは600トン/日規模で、2007年度中に建設を完了、その後2年間に及ぶ実証運転を経て、2010年度よりの商業化を目指して参ります。「改質褐炭(UBC=Upgraded Brown Coal)プロジェクト」は、当社が会員となっているJCOAL事業として経済産業省からの支援を得て実施するもので、総事業費は約80億円を見込んでおります。

実施に当たっては、現地(インドネシア)の資源投資会社『ブミ・リソーシズ社』及び、その子会社である大手石炭会社『アルトミン社』とパートナー契約を結び、実証プラントを南カリマンタンのアルトミン鉱区に建設し、2008年度より始まる実証運転フェーズでは当該鉱区で産出される褐炭を改質したUBCの大規模サンプルを、日本を中心とする複数の電力会社へ試供する予定です。

石炭は、世界のエネルギー需要の4分の1程度をまかなっており、石油に次ぐ重要なエネルギー源です。日本で日常使われている電力も、その2割強が石炭火力により作られています。日本は、エネルギー供給の多くを海外に依存していますが、石炭は、石油やガスに比べて埋蔵量が多く、しかも広く分布していることから、エネルギーの安定供給を確保する上で、将来にわたって重要な役割を果たすものと期待されています。

現在、日本を含め各国で主に利用されている石炭は、高品質の瀝青炭ですが、このほかに、褐炭に代表される低品質の石炭があります。褐炭等は、全世界では石炭の約半分(インドネシアでは約85%)を占めるものの、水分を多く含み発熱量が少ないこと、また、特有の自然発火性があることから、用途が限られてきました。一方で、インドネシア炭のように灰分や硫黄分の含有量が少ないといった利用上有利な性質を有しているものも多くあります。当社は1980年より「褐炭の液化」の技術開発を、ナショナル・プロジェクトに参画する形で進めてきました。今回実証の対象となる改質褐炭は、その間に培った石炭の脱水技術を応用し、「天ぷら」の原理で、褐炭に含まれる水分を、加熱した軽質油を使って効率的に除去する画期的な技術です。本技術は1993年より開発に着手し、2001年度からの4年間にわたるインドネシアでの小規模実証試験を経て、今回大型実証プロジェクト実施に至ったものです。
本プロジェクトは、褐炭の発熱量を1.5倍(瀝青炭並み)に高めつつ、自然発火性を抑制し、かつ、灰の少ない(一般的に電力用途に使われている瀝青炭の3分の1程度)クリーンで優れたエネルギー源として再生するプロジェクトで、早期の商業化が、日本及びインドネシアで大きく期待されているものです。

世界的に急速な資源開発・消費拡大が進んでいる昨今、資源の有効活用が重要な課題となりつつあります。当社は長年培ってきた鉄鋼業、発電事業でのノウハウを活かし、今後も資源の有効活用に技術面で貢献して参ります。また、環境面にも配慮した各種技術の開発・提供にも積極的に取り組んで参ります。