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中国華南(佛山)における自動車用特殊鋼線材に関する加工拠点の本格稼働開始について

〜広州エリアの日系自動車産業の発展に貢献〜

2006年7月18日

株式会社神戸製鋼所

当社が、(株)メタルワン及び当社系の線材加工メーカーである協同シャフト(株)、(株)杉田製線との共同出資により、中国広東省広州市近郊(佛山市)に設立した特殊鋼線材の二次加工製品の製造・販売拠点『神鋼線材加工(佛山)有限公司:KOBE WIRE PRODUCTS (FOSHAN) CO., LTD=KWPF』が、このほど本格稼働(量産納入)を開始致しました。同拠点は、自動車の重要保安部品である懸架(サスペンション)ばねや高強度ボルト、ナット等に使用される「磨き棒鋼」と「冷間圧造用ワイヤー」を製造し、日系の自動車部品メーカーを中心に納入して参ります。

当社は、最も得意とする特殊鋼線材の分野で、自動車産業向けを中心に、長きに亘って、高品質・高付加価値の製品を製造・供給してきました。特殊鋼線材については、世界最高レベルの高級鋼生産拠点である神戸製鉄所に連続鋳造設備を新設し(2006年9月稼動予定)、同時に高炉の巻き替えを推進する等、積極的な設備投資により高級鋼供給体制を強化しています。今後需要の増大が見込まれるアジア市場に関しては、神戸・加古川両製鉄所を特殊鋼線材の供給基地と位置付け、自動車メーカー、部品メーカーの進出した現地で二次加工を行うことで柔軟且つ効率的な線材製品の供給体制を構築し、ユーザーサービスの向上に努めていきます。

自動車産業は、海外市場を中心に拡大基調が続いていますが、中でも中国は、目覚しい経済発展を背景に2010年には自動車生産が800〜1,000万台(2005年は527万台、内乗用車393万台)に拡大すると予想されています。中でも、当社が進出する広州地区は、日本の三大自動車メーカーが集結し今や中国最大の日系自動車生産基地となっており、2010年には100万台(2005年は34万台)を上回る乗用車生産が予想されます。このような生産規模の拡大に伴い自動車部品の現地調達ニーズが急速に高まっていることから、既に現地生産を行っている日系自動車部品メーカーの生産能力の増強や、関連日系部品メーカーの進出の動きが相次いでいます。

既に当社は、日本の自動車メーカーの進出が先行したタイで現地二次加工拠点を通じて市場の中核的な役割を担っていますが、更に中国広州地区に「磨き棒鋼」と「冷間圧造用ワイヤー」の加工拠点が加わったことになります。また、華東の江蘇省でも、自動車用懸架ばねに使用される特殊鋼線材の二次加工拠点(江陰法爾勝杉田弾簧製線有限公司:(株)杉田製線、三井物産(株)および中国の泓昇有限公司との共同出資による)の建設を進めており、2006年10月より冷間懸架ばねに使われるオイルテンパー線の製造・販売を開始する予定です。このような形で拠点を拡充していくことで、自動車部品メーカーへのサービスを向上させ、自動車メーカーに対する「特殊鋼の神戸」の地位を更に強化しつつ、中国を中心とするアジア圏の自動車産業の発展に寄与して参ります。

【KWPFの概要】
会社名 神鋼線材加工(佛山)有限公司
KOBE WIRE PRODUCTS (FOSHAN) CO., LTD
代表者名 董事長  賀屋知行  神戸製鋼所専務執行役員
総経理  平賀範明  神戸製鋼鉄鋼総括部担当部長
事業内容 特殊鋼線材の二次加工製品(磨き棒鋼・冷間圧造用ワイヤー)の製造・販売
所在地 中国広東省佛山市 南海区国家生態工業示範園区
総投資額 18億1,250万円
資本金 7億2,500万円
出資比率 当社60%、メタルワン25%、協同シャフト7.5%、杉田製線7.5%
従業員数 約80名(第一期)
設立時期 2004年11月
稼働時期 2006年6月
生産能力 約15,000t/年。(第一期)需要動向に合わせ順次拡張を予定。

【用語の解説】
<冷間圧造用ワイヤー>
素材の線材を熱処理や伸線等の加工を加え、サイズ、硬さ、引張り強さ等を調質したコイル状の線材製品。この製品を冷間で圧造(鍛造)し自動車用等のボルト・ナット等を製造する。CHワイヤーとも言う。
<磨き棒鋼>
素材の線材に冷間引抜き、研削、切削等の加工を施した棒状の線材製品。寸法精度が高く表面が滑らかであり自動車用懸架ばねやその他の部品の材料として使用される。磨棒とも言う。
<オイルテンパー線>
線材を連続加熱炉によって連続的に焼入れ焼き戻しを行い所要の強度に調整した線材製品。特殊な熱処理によって強度を出す為、疲労限度が冷間加工よりも優れており自動車サスペンションに搭載されるコイルばねに広く使用されている。
ご参考
【各出資会社の概要】<株式会社神戸製鋼所>
住所 兵庫県神戸市中央区脇浜町二丁目10番地26号
代表者 犬伏 泰夫 (代表取締役社長)
創立 1905年9月
資本金 2,333億円
売上額 10,347億円 (単独) 16,673億円(連結)(2006年3月期)
従業員数 8,673名(単独、出向者除く)

<株式会社メタルワン>
住所 東京都港区芝三丁目23番1号
代表者 金田守司(代表取締役社長)
創立 2003年1月
資本金 1,000億円
売上額 25,766億円(連結) (2005年12月期)
従業員数 1,048名
*新会社での主な役割:当社線材の流通、副総経理の派遣、新会社製品の販売等

<協同シャフト株式会社>
住所 大阪府大阪市淀川区加島四丁目7番8号
代表者 塚本 忠憲 (代表取締役社長)
創立 1947年11月
資本金 5,000万円
売上額 108億円(2005年5月末決算)
業務内容 磨き棒鋼、冷間圧造用鋼線、精密加工シャフトの製造販売
従業員数 130名
*新会社での主な役割:「磨き棒鋼」に関する技術・操業指導、操業指導者の派遣

<株式会社杉田製線>
住所 東京都墨田区東墨田三丁目1番12号
代表者 杉田 光一 (代表取締役社長)
創立 1915年10月
資本金 2億2,040万円
売上額 126億円(2006年1月末決算)
業務内容 冷間圧造用鋼線、ばね用鋼線、ファイバー、化成品等の製造、販売
従業員数 311名
*新会社での主な役割:「冷間圧造用ワイヤー」に関する技術・操業指導、操業指導者の派遣

<江陰法爾勝杉田弾簧製線有限公司の概要>
会社名 江陰法爾勝杉田弾簧製線有限公司
(Jiangyin Sugita Fasten Spring Wire Co., Ltd.)
代表者 董事長  賀屋知行  神戸製鋼  専務執行役員
総経理  油谷憲治  神戸製鋼  鉄鋼総括部担当次長
事業内容 自動車懸架ばね用オイルテンパー線の製造・販売
所在地 中国江蘇省江陰市 江陰経済開発区石庄園区
総投資額 19億円
資本金 7億6千万円
出資比率 日本側85%、中国側15%
従業員数 約60名
設立時期 2005年8月
稼動予定 2006年10月
主要設備 酸洗ライン、伸線機、OT加工ライン
生産能力 約600トン/月(第一期)需要動向に併せ順次拡張を予定。


<自動車向け懸架ばね用鋼のグルーバル供給体制>
地域 市場規模*1
千トン/年
冷間/熱間
構成比率
  供給体制
中国 62
(2010年)
熱間
25%
冷間
75%
  当社(線材輸出)
日本 85 熱間
75%
冷間
25%
  当社
欧州 120 熱間
60%
冷間
40%
  ASCOMETAL(技術移転、現地線材供給)
米国 120 熱間
70%
冷間
30%
  REP*2(技術移転、現地線材供給)
タイ 7 熱間
100%
冷間
  当社(線材輸出)
*1 当社推定。
*2 REP=REPUBLIC ENGINEERED PRODUCTS