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中国における溶接材料製造・販売会社の設立について

〜世界のリーディング・カンパニーへの地歩確立に向け〜

2008年2月21日

株式会社神戸製鋼所

当社はこのほど、中国山東省青島市に、造船分野などで多用される高能率溶接材料「普通鋼用フラックス入りワイヤ」(以下 普通鋼用FCW)(※語句説明参照)の製造・販売会社「青島神鋼溶接材料有限公司」(KOBE WELDING OF QINGDAO CO., LTD. 略称 KWQ)の設立を決定しました。新会社は、本年4月に設立予定で、2009年4月の稼働開始をめざします。

【新会社の概要】
名称:   青島神鋼溶接材料有限公司
    (英文名)KOBE WELDING OF QINGDAO CO., LTD.(略称 KWQ)
所在地:   中国山東省青島市
設立:   2008年4月(予定)
稼働開始:   2009年4月(予定)
資本金:   30億円
出資比率:   神戸製鋼90.0%、神鋼商事5.0%、双日マリンアンドエンジニアリング2.5%、東工コーセン2.5%
生産能力:   1,000トン/月(全量普通鋼用FCW)
事業内容:   溶接材料の製造及び販売
従業員数:   90名(日本人駐在員は4名)

普通鋼用FCWは、1980年代に、造船における溶接施工合理化の切り札として、当社が世界に先駆けて開発し、広く実用化を図ったものです。今日では、普通鋼用FCWを抜きにして大型船舶の建造は成り立たないといっても過言ではありません。
普通鋼用FCWは、造船・海洋構造物分野の世界的な活況を背景に、ここ数年需要の増加が加速しています。当社は、特殊鋼も含めた世界トップクラスのFCWメーカーとして、こうした需要増に対応するため、日本・中国・韓国・欧州の既存製造拠点において同品種の生産能力増強を急ピッチで進めてまいりました。

中国は、普通鋼用FCWを含めた各種溶接材料を、推定で年間250万トン以上消費している世界最大の市場(※参考資料1)です。特に造船分野は、2010年度に新造船の年間建造能力が、07年度の2倍以上に増加する見通しであるなど(※参考資料2)、今後も確実な伸長が見込まれます。
加えて、現在、同分野での溶接に一般的に使用されている電弧棒が、今後は、より高能率な普通鋼用FCWに置換されていくことも予想されており、同FCWの需要は急激に拡大する見通しです。
当社が新拠点設立を計画している華東地区でも、ここ数年、日系・韓国系造船メーカーの新規進出や既存造船所の能力増強投資が相次いでいます。当社では、今回設立する「青島神鋼溶接材料有限公司」を通じて、現地での供給力・技術サービス力の強化に積極的に取り組み、中国市場で一定の地位を築き、ひいては世界での存在感を高めていく所存であります。

当社は、今後も溶接事業において「世界同一品質」をモットーに、質・量ともに両立したグローバル展開の強化に取り組んでまいります。

【語句説明】
フラックス入りワイヤ
フラックス入りワイヤは、外皮金属である帯鋼(フープ)をU型に曲げ、その内部にフラックス粉末を充填し、それをさらに筒状に成型した構造となっています。直径1.2mm〜1.6mmが一般的です。フラックスとは、脱酸材、スラグ形成剤、アーク剤、合金剤、鉄粉などで構成されている粉末状のもので、フラックスの成分や配合は、溶接金属の機械的性質や溶接作業性など、溶接ワイヤの性能を大きく左右します。フラックス入りワイヤは、溶着速度が大きいため、高能率化が求められる造船・海洋構造物・橋梁などで主に使用されております。

【参考資料】
1)世界の溶接材料需要(当社推定)
(千トン/年)
 
2003年
2006年
欧州
500
650
北米
450
530
アジア
1,955
3,650
その他
445
570
合計
3,350
5,400
中国(上記アジアの内数)
1,000
2,500

2)世界の造船建造能力見通し(当社推定)