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プレスリリース

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世界初 次世代原子力システム用“超高純度ステンレス合金”を開発

2008年12月11日

独立行政法人日本原子力研究開発機構

株式会社神戸製鋼所

独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長:岡崎俊雄、以下「原子力機構」)の原子力エネルギー基盤連携センターと株式会社神戸製鋼所(社長:犬伏泰夫、以下「神戸製鋼」)の研究グループは共同で、原子力用の画期的な「オーステナイト系超高純度(登録商標EHP®, Extra High Purity)ステンレス合金」の製造技術を世界で初めて確立しました。これは、文部科学省から受託した平成17〜20年度「原子力システム研究開発事業」による成果です。
主な特長
(1) 現行材料の寿命に大きく影響する、放射線による劣化、局部腐食や外部環境影響による割れ等の高経年化事象のリスクが大きく下がるため、再処理施設の蒸発缶や原子炉の炉心構造物等の機器の更新寿命を飛躍的に延長できること。
(2) 溶接性が飛躍的に改善し、溶接材料に母材と同一材を用いる「共材溶接」が可能となり、溶接部が母材同等の高性能・高品質を確保できること。
開発の背景
原子力の重要な機器には、耐震性を加味した高い安全性が要求されているため、現行材料では機器の耐用年数が非常に短いという課題があり、より高度なオーステナイト合金のニーズが年々高まってきていました。
製造技術
還元精錬と揮発精錬を組合せた画期的な手法により、比較的廉価な原料を用いても、組成が均一で主要不純物が100ppm以下の高清浄度鋼塊の大規模溶製が可能になります。これにより、不純物が阻害していた高Cr-高Ni系のオーステナイト鋼本来の優れた「耐食性」、「耐照射性」及び「機械的特性」を同時に発現することが可能になりました。
実用化へ向けて
現段階では製造技術を確立し、鋼種開発を終了いたしました。現在、用途については、更に超高燃焼度炉などの次世代原子力システムに加え、環境対策として重要な水素エネルギー機器などの広範な分野へ適用するための具体的な検討を進めています。今後は商用規模の生産を視野において、技術開発に努めて参ります。