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プレスリリース

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世界の鉄鋼メーカーの次世代電気自動車、ハイブリッド車の車体コンセプトの開発について~中間報告~

自動車メーカーの低コスト低燃費を支援する軽く、強く、環境にやさしいスチールボディー

2009年9月3日

新日本製鐵株式会社
JFEスチール株式会社
住友金属工業株式会社

株式会社神戸製鋼所

World Auto Steel(WAS:旧AutoCo)はWorld Steel Association (worldsteel:旧IISI)の自動車分科会であり、産業界および社会に自動車における鉄の価値を広く伝えるべく、常に鉄の技術革新を探求しています。World Auto Steelは、現在世界の鉄鋼メーカー16社で構成され、ULSAB、ULSAC、ULSAS、ULSAB-AVCなど一連の超軽量車体開発プロジェクトを通じ、自動車の環境への対応(CO2削減)、安全性向上に鉄鋼材料を通じて寄与してきました。

近年の電気自動車、ハイブリッド車のような環境対応車の需要が世界的に急激に高まる中で、World Auto Steelは、2008年に、次世代鋼製車体プログラム(Future Steel Vehicle:FSV)を立上げました。FSVプログラムでは、このほどフェーズ1を完了させましたので、本日、その研究成果とこれに続くフェーズ2の計画内容について発表します。

フェーズ1に関しては、EDAG社、Quantum Technologies.社、SFCV/Tongji大学から成るエンジニアリングチームおよびWorld Auto Steelの材料の専門家から成るFSV技術チームが、2015年~2020年に想定される次世代車の車体について、4人乗の電気自動車(BEV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)、5人乗のプラグインハイブリッド・燃料電池車(FCV)の4つのケースについて技術的な仕様検討を行いました。

エンジニアリングチームは4つのケースのおのおのについて、性能、2020年時点での実現可能性およびコストに基づいて車体の駆動系を選択し、以下の2つの仕様を決定しました。
・FSV1(小型車):BEVおよびPHEV20の4ドア・ハッチバック
・FSV2(中型車):PHEV40およびFCVの4ドア・セダン
(PHEV20、PHEV40はガソリンを使わず電池のみでそれぞれ20マイル、40マイル走行し、電池を使い切った後はガソリンで走行する車両です。)

フェーズ2では、FSV1のBEVを対象に、詳細設計と最適化を実施し、新たな車体構造を開発するとともに、他の3つの車両構造・パワートレインとの差異にも言及します。

また、将来の安全性と性能の要求に適合するのみでなく、対2001年~2008年モデル車のホワイトボディー重量比35%減という極めてチャレンジングな車体軽量化を想定し、エンジニアリング設計の最適化と高度な鉄鋼の技術を用いて実現を図ろうと考えています。鉄鋼材料により、高度な軽量化を達成することが、将来の車体設計の新たなスタンダードとなることを期待しています。

フェーズ2の開発は、原料採掘から車両寿命までのCO2総排出量を勘案したトータルLCA(Life Cycle Assessment)コンセプトデザインを指向しています。車の燃費のみを考慮した諸規制は、軽量材料の利用を促進しますが、トータルLCAの観点からはCO2排出量の増加という予期せぬ結果をもたらす可能性があります。

World Auto Steelは、グローバルなエンジニアリングパートナーと共同で、2009年から2010年にかけてFSVフェーズ2(コンセプトデザイン)を推進いたします。

まとめ
  • フェーズ1の技術および部品の評価を完了し、4つのケースで仕様が検討されました。
  • フェーズ2では、電気自動車(FSV1)の車体コンセプトに絞って検討しますが、プラグインハイブリッド・燃料電池自動車(FSV2)との差異にも言及します。
  • 2010年に完了予定のフェーズ2で設計される車体コンセプトは、環境、燃費、安全性および重量に関する将来のスタンダードに適合もしくはそれを上回るものとなるでしょう。