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プレスリリース

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神戸空港北側護岸における鉄鋼スラグを用いた藻場造成試験について

2010年5月28日

株式会社神戸製鋼所
神鋼建材工業(株)
神鋼スラグ製品(株)
(株)コベルコ科研

神戸エコアップポート研究会*注1)に参画している(株)神戸製鋼所(本社:神戸市中央区、社長:佐藤廣士)と、そのグループ会社の神鋼建材工業(株)(本社:尼崎市、社長:小南孝教)、神鋼スラグ製品(株)(本社:神戸市中央区、社長:伊藤良二)、(株)コベルコ科研(本社:神戸市中央区、社長:中村秀樹)の4社は、神戸市のご協力を得て、神戸空港北側護岸に、鉄鋼製造工程で副産物として生成する鉄鋼スラグを用いた鋼製藻場魚礁を本日設置し、藻場造成試験を開始しました。藻類などの付着生物や蝟集魚類の種類・個体数を観察するなど、鉄鋼スラグを用いた藻場魚礁による海洋環境の修復効果を確認します。試験期間は2013年3月までの約3年間を予定しています。

近年、森林の伐採やダム工事などの影響で河川から海への栄養分の供給が減り、全国の沿岸海域で昆布などの海藻が減る「磯焼け」と呼ばれる現象が進行していると言われています。また、兵庫県が面している瀬戸内海では、生物・海藻等の生息環境の変化や漁業生産量の減少などに対して、環境改善や水産資源の回復への取り組みが行われています。
一方、海上空港として2006年2月に開港した神戸空港は、海域の生態系に配慮され、海藻類の生育基盤、魚類を初めとする多くの岩礁性生物の生息場所として機能することが期待されており、空港島北側護岸の一部は、神戸市により環境創造型の実験フィールドとして整備されています。そのため、神戸製鋼は神戸エコアップポート研究会に参画し、当フィールドでの詳細な実験計画を策定しました。

鉄鋼スラグは主にセメント用原料や道路用路盤材等に利用されていますが、ここ数年で、いくつかの実証試験により、その中に含まれる鉄分やミネラルなどの栄養分によって海藻が繁茂する等、海洋環境の修復に効果があることが確認され始めています。
このたびの試験では、護岸法面から約20m、水深約5mの空港島埋め立て被覆石面に、鉄鋼スラグ製ブロックとスラグ石材、天然石の3種類の材料を上部トレイに乗せた「鋼製藻場魚礁(寸法:縦3.1m×横4.4m×高さ2m、総重量約10t)」をそれぞれ1基ずつ、合計3基設置します。藻類などの付着生物や蝟集魚類の種類・個体数が増加していることを観察したり、スラグブロック、スラグ石材、天然石といった材料間の比較など、鉄鋼スラグを用いた藻場魚礁による海洋環境の修復効果を確認します。年2回、3年間で計6回程度の継続調査を行う予定です。

*神戸市みなと総局から頂きましたコメント:
「神戸空港は、環境への影響を軽減するというこれまでの環境対策のみならず、市民に開かれた水辺や新たな海の環境を創造する「エコアップエアポート」として整備を進めてきました。
空港島の護岸は、外周7.7kmのうち、岸壁部分を除く6.7kmを環境創造型護岸としており、これらの護岸では、海藻類や魚介類の豊かな生態系が育まれていることが確認されています。
今回の藻場造成試験により、藻場造成技術の研究・開発が進むとともに、その成果が普及し、より良い海域環境の形成されることを期待しています。」

*注1)神戸エコアップポート研究会:
名誉会員: 川井浩史 神戸大学内海域環境教育センター センター長・教授
会員: 東洋建設(株)、(株)パスコ、大幸テック(株)、マルイチ建設(株)、(有)エコ愛ランド、アレック電子(株)、NPO法人アマモ種子バンク、技研興業(株)、(株)神戸製鋼所
目的: 神戸空港環境創造型護岸の実験フィールドにおいて、会員各位が実施する藻場造成に関する技術の研究と開発を相互に支援し、その成果と普及活動をもとに地域社会の発展と豊かな海域生態系のより良い環境創造を図る。

鋼製藻場漁礁
 
鋼製藻場漁礁


設置場所
神戸空港北側護岸図

 
神戸空港北側護岸図