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プレスリリース

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高効率蒸気供給システム「スチームグロウヒートポンプ」の開発・販売について

世界で初めて120~165℃の蒸気供給を可能にしたヒートポンプシステムを製品化

2011年2月21日

株式会社神戸製鋼所
東京電力株式会社
中部電力株式会社
関西電力株式会社

株式会社神戸製鋼所と東京電力株式会社、中部電力株式会社、関西電力株式会社の4社(以下、「4社」という)は、このたび、蒸気供給温度120℃とCOP3.2※1を達成した高効率蒸気供給システム「スチームグロウヒートポンプ120(以下、「SGH120」という)」と、ヒートポンプシステムとして最高温度となる165℃の蒸気供給を可能にした「スチームグロウヒートポンプ165(以下、「SGH165」という)」の2機種を共同開発いたしました。両機は、神戸製鋼所が平成23年5月より販売を開始いたします。

工場などで蒸気を利用する殺菌・濃縮・乾燥・蒸留工程において、従来、120℃を超える高温蒸気はボイラでしか供給できませんでしたが、地球温暖化問題を背景とした省エネルギー化ニーズの高まりにより、120℃を超える高温蒸気をヒートポンプシステムで生成する技術と、高温蒸気供給時におけるヒートポンプ性能の高効率化技術が求められておりました。
そこで4社は、世界で初めて、120℃を超える蒸気供給を可能にした高効率なヒートポンプシステムを製品化し、SGH120においてヒートポンプで120℃、さらに、ヒートポンプに蒸気圧縮機を追加搭載したSGH165においては165℃の蒸気供給を可能にいたしました。これにより、工場内の温排水から熱回収して、食品・飲料の殺菌、化学薬品・飲料の濃縮、印刷物・塗装品・汚泥・紙・医薬品・食品などの乾燥、および蒸留酒などの蒸留等、蒸気を使用する多くの工程において、ヒートポンプシステムの適用範囲が拡大いたしました。
また、新開発の高圧縮比・高温対応スクリュ圧縮機(二段圧縮機※2)の搭載、圧縮機モータの高温対応化、および高温に適した冷媒の採用により高温対応の高効率ヒートポンプサイクルを構築し、SGH120においてCOP3.2※1を達成するとともに、従来のガスボイラに比べ約6割の省エネルギーと約7割のCO2排出量削減を実現可能といたしました。

「スチームグロウヒートポンプ」の主な特長は、以下のとおりです。

1 多様なニーズに対応

(1)工場内の低温度熱源水の利用が可能 「SGH120」
工場内の水冷チラーの冷却水、生産プロセスからの温排水や、未利用熱源水などの低温度熱源水(25℃~65℃)からの熱回収により、120℃蒸気供給が可能。
(2)ボイラ並みの蒸気温度を、世界で初めてヒートポンプシステムで実現 「SGH165」
ボイラシステム並みの蒸気温度165℃をヒートポンプで実現。0.6MPaG蒸気供給圧力のため、既設の蒸気配管へ接続が可能。

2 ガスボイラシステムと比較して、エネルギー消費量、CO2排出量を大幅に削減

高いエネルギー効率(COP3.2)と工場内での分散配置による蒸気配管ロスの低減により、集中配置が必要なガスボイラシステムと比較して、ランニングコストを約5割、エネルギー消費量を約6割、CO2排出量を約7割削減可能※1

※1 SGH120において、65℃の熱源水を利用して120℃蒸気を供給する時の値。

※2 従来、冷凍分野で使用されてきた二段圧縮機を高温水や蒸気が供給できるよう、高温化に対応させた圧縮機。SGH120に搭載。

開発者

株式会社神戸製鋼所
住所:兵庫県神戸市中央区脇浜町2丁目10番26号
代表取締役社長:佐藤(さとう) 廣士(ひろし)
東京電力株式会社
住所:東京都千代田区内幸町1丁目1番3号
取締役社長:清水(しみず) 正孝(まさたか)
中部電力株式会社
住所:名古屋市東区東新町1番地
代表取締役社長:水野(みずの) 明久(あきひさ)
関西電力株式会社
住所:大阪市北区中之島3丁目6番16号
取締役社長:八木(やぎ) (まこと)

開発期間

平成21年7月~平成23年3月

外観

高効率蒸気供給システム「SGH120」

写真1 高効率蒸気供給システム「SGH120」

高効率蒸気供給システム「SGH165」

写真2 高効率蒸気供給システム「SGH165」

導入イメージ

SGHの導入イメージ

SGHの導入イメージ

仕様

表1 SGHの仕様
型式 SGH120 SGH165
性能例 蒸気気圧 0.1MPaG 0.6MPaG
蒸気温度 120℃ 165℃
熱源温度 65℃ 70℃
加熱能力 380kW 660kW
実際蒸気量 0.52t/hr 0.89t/hr
COP 3.2 2.5
熱源水範囲 25~65℃ 35~70℃
蒸気圧力範囲 0.0~0.1MPaG 0.2~0.8MPaG
寸法 幅1200×奥行き4850×高さ2530mm 幅4300×奥行き2950×高さ2530mm
重量 4000kg 7000kg

標準運転範囲

SGHの標準運転範囲

SGHの標準運転範囲

開発のポイント

「SGH120」の開発のポイント

「SGH120」の開発のポイント

「SGH165」の開発のポイント

「SGH165」の開発のポイント

導入効果の試算例

表2 ランニングコスト
(単位:百万円/年)
  東京地区 名古屋地区 大阪地区 3地区平均
SGH120 7.1 6.7 6.5 6.8
従来システム(ガスボイラ) 13.5 16.5 15.3 15.1
削減率 47.4% 59.6% 57.1% 55.1%
  • 年間運転時間3,824時間(平日のみ16時間)。
  • 3地区それぞれの電気・ガス料金メニューを使用。
表3 エネルギー消費量
(単位:GJ/年)
  東京地区 名古屋地区 大阪地区 3地区平均
SGH120 4,728 4,728 4,728 4,728
従来システム(ガスボイラ) 11,788 11,767 11,788 11,781
削減率 59.9% 59.8% 59.9% 59.9%
  • エネルギー消費量の換算には、電力は「エネルギーの使用の合理化に関する法律施行規則」の記載値(9,970kJ/kWh)を、都市ガスは各地域の都市ガス会社の公表する一般ガス供給約款の記載値をそれぞれ使用。
  • J(ジュール)はエネルギーの大きさを表す単位で、1GJ(ギガジュール)は109Jを意味する。1GJは約26リットルの原油のもつエネルギーに相当。
表4 CO2排出量
(単位:t-CO2/年)
  東京地区 名古屋地区 大阪地区 3地区平均
SGH120 154 198 126 159
従来システム(ガスボイラ) 596 601 595 598
削減率 74.2% 67.1% 78.9% 73.4%
  • CO2排出量の換算には、電力は環境省の公表値を、都市ガスは各地域の都市ガス会社の公表値をそれぞれ使用。
  • 「t-CO2」とは、エネルギーの使用に伴う温室効果ガスの排出量を、二酸化炭素(CO2)の持つ温室効果に換算し、t(トン)単位で表示した値。