神戸製鋼HOME > プレスリリース > 2011年 > 大幅な省エネに貢献する小型蒸気圧縮機の新機種発売について

プレスリリース

*プレスリリースの内容は発表時のものです。販売が既に終了している商品や、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

大幅な省エネに貢献する小型蒸気圧縮機の新機種発売について

2011年12月19日

株式会社神戸製鋼所
神鋼商事(株)

株式会社神戸製鋼所(以下 神戸製鋼)はこのほど、本年9月に発売したスクリュ式小型蒸気圧縮機『スチームスターMSRC160L』に続き、更に少量の未利用蒸気に対応した『スチームスターMSRC37L』を発売しました。300kg/hr未満の蒸気に対応が可能(従来機は1ton/hr前後)で、2015年度には2機種合計で年間180台の販売を目指します。

スチームスターMSRCは、これまで利用されていなかったフラッシュ蒸気※1を圧縮して圧力を高め、利用可能な蒸気へ再生する圧縮機です。再昇圧した蒸気を元の蒸気ラインへ再投入することでリサイクルし、大幅な省エネとコストダウンに貢献します。現在までに数件の成約(ゴム業界、電子業界等向け)があり、今回小型機種を投入することで、より小規模な蒸気ユーザーへも対応可能となります。

ユーザーの蒸気条件や電力単価、稼働時間等によって条件は様々ですが、試算では、スチームスターMSRC37Lを導入する前後のボイラ燃料費を比較すると、年間6%、約590万円の削減が可能です。よって、早ければ3年未満での投資回収が可能となります。また、CO2排出量も年間160トンの削減ができます。

スチームスターMSRCの特徴

1)高効率かつ安定的

スチームスターMSRCは、神戸製鋼が長年培ってきたスクリュ式オイルフリー空気圧縮機の技術を利用し、高効率な再昇圧・再生を可能としました。また、インバータ制御により、フラッシュ蒸気の発生量に応じて無駄なく安定的に稼動できるシステムです。

2)投入量以上の蒸気を再生

蒸気を昇圧する際に圧縮熱が発生しますが、これを最大活用するため、圧縮過程に水を注入し圧縮熱により蒸気をつくります。これにより、スチームスターMSRCから供給される再生蒸気量は、吸込されたフラッシュ蒸気量に対し約10%増量します。

3)オールインワンユニット

スチームスターMSRCは汎用商品として開発・設計・製造しました。そのため、必要な部品はすべてひとつのユニットカバー内に納めています。このカバーは防音対策が施されており、屋外仕様にもなっていますので、設置場所を選びません。

これまでも大量のフラッシュ蒸気を遠心式圧縮機で効果的に再生する機器は多数製品化されており、神戸製鋼も販売実績がありますが、1ton/hr以下の少量のフラッシュ蒸気を高効率で再生できる汎用商品は、スチームスターMSRCが業界初となります。
スチームスターシリーズは神戸製鋼グループの登録商標で、スチームスターMSRCシリーズ(スクリュ式小型蒸気圧縮機)と2007年から販売しているスチームスターMSEGシリーズ(スクリュ式小型蒸気発電機)の総称です。スチームスターは、製造を神戸製鋼とグループ会社である神鋼造機株式会社が、販売を神鋼商事株式会社が担当します。

※1 フラッシュ蒸気
蒸気は加熱、乾燥、殺菌、滅菌等の工程で使用された後、その熱エネルギーを奪われ蒸気から高温水に変わる。この高温水をボイラに給水するために圧力を下げると高温水の一部が再蒸発する。この再蒸発した蒸気をフラッシュ蒸気と言い、通常の蒸気と比べると圧力は低いが、温水と比べると6倍以上のエネルギーを保有している。

補足

(1)スチームスターMSRCの仕様等

  MSRC37L MSRC160L
蒸気再生量 240~420kg/hr 1,000~1,450kg/hr
定格出力 37kW 160kW
本体参考価格 850万円 2,500万円
納期(国内車上渡し) 4.5ヶ月(135日)
サイズ(幅×高さ×奥行) 1.8m×1.5m×1.2m 2.6m×2.0m×1.3m


(2)スチームスターMSRCの導入例

プロセスで利用された蒸気は高温水となりドレンタンク内へ回収される。ここで一部の高温水が再蒸発してフラッシュ蒸気となるが、これをスチームスターMSRCへ供給し、再昇圧して元の蒸気配管(ヘッダー)へ戻す。これにより、ボイラでの新たな蒸気の製造量が減らせるため、大幅なボイラ燃料費の削減と、CO2排出量削減が可能となる。

スチームスターMSRCの導入前

導入前

スチームスターMSRCの導入後

導入後

(3)スチームスターMSRCの内部構造

スチームスターMSRCの内部構造