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プレスリリース

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チタン事業強化策の設備投資について

~航空機用鍛造品事業拡大・溶接管能力増強~

2012年3月8日

株式会社神戸製鋼所

当社は、チタン事業における航空機分野(合金チタン)・一般産業分野(純チタン)双方の生産能力を強化します。総投資額は、日本エアロフォージ株式会社(以下、Jフォージ)への出資金15億円を含め75億円です。具体的には、高砂製作所(兵庫県高砂市)の「新リングミル工場の建設」と「大型鍛造製品用熱処理・検査設備の導入」、当社100%出資会社である神鋼特殊鋼管株式会社(山口県下関市)においては「チタン溶接管ラインの増強」を実施致します。

当社は、我が国におけるチタン製造・商業化のパイオニアとして1949年に国内で初めてチタン製造に関する研究に着手して以来、溶解から最終製品(展伸材)迄を手掛ける国内唯一のチタン総合一貫メーカーとしてチタン製品の供給を通じて、あらゆる産業分野の発展に寄与して参りました。チタン需要は、世界的に堅調な民間航空機需要、及び新興国向けインフラ整備需要(電力・海水淡水化等)により中長期的には拡大基調にあります。
2011年(暦年)の国内展伸材の総出荷量は19,358トンと、2008年に次ぐ史上2番目の水準となり、その内、輸出量は13,245トンと過去最高となりました。
今回の投資により、航空機用リング製品・大型鍛造製品(合金チタン分野)、及びチタン溶接管(純チタン分野)の生産能力拡充を最大限活用し、拡大する需要を積極的に取り込んで参ります。

昨年9月に発表しました、純チタン薄板分野の主力用途先であるPHE(プレート式熱交換器)向けの新製品「潤滑プレコートチタン板」「高伝熱チタン板」と併せて、チタン事業分野の供給能力の拡充、需要家ニーズへの対応の双方を強化し、当社グループの「中長期経営ビジョン KOBELCO VISION“G"」の基本方針で掲げた「オンリーワンの徹底的な追求」の一翼を担って参ります。

(1) 新リングミル工場の建設 (高砂製作所<兵庫県高砂市>) 【航空機分野】
稼動開始:2012年11月予定

現在、同所にリングミルを保有しておりますが、稼動後20年以上が経過し老朽化が進行していることから、所内に「新リングミル工場」を建設することに致しました。
高精度圧延が可能なリングミルを導入することにより、当社のニアネット圧延技術と組合せて大幅な素材投入重量の削減を行うなど、コスト競争力を武器に航空機用リング製品の受注拡大を目指して参ります。新工場の建設によりリングミルの生産能力は現行の約2倍となります。尚、既存のリングミルは、認定等の移管が完了した時点で休止する予定です。

(2) 大型鍛造製品熱処理・検査設備の導入 (高砂製作所<兵庫県高砂市>) 【航空機分野】
稼動開始:2013年4月予定

航空機用等の大型鍛造品国産化を目指し、経済産業省のご支援、需要家、流通からの出資を戴き、日立金属株式会社(ニッケル・高合金)と共同で設立したJフォージにて型打鍛造された航空機エンジン・機体用大型鍛造品の下工程となる熱処理・検査設備を導入し、チタン大型鍛造品の国内重工メーカー向け拡販を目指して参ります。将来的には、海外エンジン・機体メーカーへの直接参入を目指します。導入する熱処理・検査設備は、処理能力・航空機需要家の要求スペックに適合した最新鋭の設備となります。
これらの設備投資により生産能力は、従来の約3倍となります。
高砂にて製造したチタン素材(ビレット)をJフォージに供給し、型打鍛造後の半製品を再び高砂に戻し、熱処理・検査を経て、需要家に供給致します。

(3) チタン溶接管専用ラインの増強 (神鋼特殊鋼管<山口県下関市>) 【一般産業分野】
2011年8月 稼動開始済み

国内最大規模のチタン溶接管専用工場に新ラインを増設し、新興国(電力用)・中東 (海水淡水化プラント用)向けの需要拡大に対応して参ります。特に大型案件への対応に必要な瞬発力を確保し受注拡大を目指します。当社は、溶解から溶接管製造迄の一貫生産により高品質の溶接管を供給して参りました。今回の増設により、溶接管製造能力は約25~30%向上致します。
また、今回のチタン溶接管ライン増強に先立って、母材の焼鈍能力を増強させる目的で、加古川製鉄所(兵庫県加古川市)にて薄板真空焼鈍設備の増強を実施し、 2010年12月より稼動を開始しております。