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高効率・小型バイナリー発電システム「マイクロバイナリー MB-125S」の販売開始について

~ 有効活用が進んでいない110℃~130℃程度の低圧・余剰蒸気に対応した『国産初』の小型バイナリー発電 ~

2013年7月24日

株式会社神戸製鋼所

当社はこのほど、工場排熱や地熱等を利用して発電する、高効率・小型バイナリー発電システム「マイクロバイナリー」シリーズの新機種「MB-125S」を開発し、本年8月より販売を開始します。
今回の新機種は従来、有効活用が進んでいない110~130℃程度の低圧・余剰蒸気を利用する「蒸気熱源仕様機」となり、同温度帯に対応する小型バイナリー発電機としては、国産初の商品です。当社独自技術であるスクリュタービンの採用により高効率化を実現し、当社冷凍機・ヒートポンプ等の量産技術の活用や部品の共通化を図る事で、本体ユニット価格3,800万円という低価格を実現しました。
2011年10月から発売を開始している「MB-70H」は、70~95℃程度の温水を熱源として利用し発電する「温水熱源仕様機」で最大発電端出力は72kWでしたが、「MB-125S」では110~130℃程度の低圧蒸気の凝縮熱※1を回収することで、最大発電端出力は125kWと向上しています。
地熱などの再生可能エネルギーを活用した発電に加えて今回、工場等の排温水・排蒸気を活用した発電への需要を更に開拓する事で、既に販売中の「MB-70H」と合わせて2015年度に年間売上高約30億円を目指します。

今回の「マイクロバイナリー」の蒸気熱源仕様の商品化により、当社グループの発電システムメニューは、大型蒸気発電機「GRT」シリーズ、中型蒸気発電機「エコラジアル」、小型蒸気発電機「スチームスター MSEG」と合わせて、数MWクラスの大型から数10kWクラスの小型まで幅広いレンジをカバーする排熱回収用発電システムのフルラインナップが揃いました。

当社の「マイクロバイナリー」シリーズは、2011年10月に簡易型・小型バイナリー発電装置を商品化したもので70~95℃程度の温水から発電するオーガニックランキンサイクル方式※2のバイナリー発電システムです。性能面では、当社で長年培われた世界有数の圧縮機、冷凍機の技術をベースに開発したスクリュタービンを採用しており、熱源の条件変動に強く、高効率な発電性能を有しています。また、スクリュタービンと発電機ロータを一軸一体構造とすることで、軸シールのない半密閉スクリュタービン方式のバイナリー発電システムとなり、作動媒体や潤滑油が漏れない構造により、長期の安定運転が可能です。

バイナリー発電とは、熱源により沸点の低い作動媒体を加熱・蒸発させて、その蒸気でタービンを回し発電するシステムで、未利用エネルギーの中でも温度の低い産業排熱や地熱等を利用するものです。地球温暖化対策や東日本大震災後の電力需給問題から、再生可能エネルギーや未利用エネルギーの活用による省エネや発電のニーズが高まっています。
そのような状況の下で、温水熱源仕様の小型バイナリー発電設備については、既に2012年4月に電気事業法において、事業者の保安に関する規制が緩和されており、再生可能エネルギーを利用した電力の固定価格買取制度を活用する事による、温泉発電での採用例も増加しています。また、蒸気熱源仕様についても同様に、本年度での規制緩和の検討を行う事が閣議決定されるなど今後益々、簡易型・小型バイナリー発電の普及が期待されています。

今回の追加新機種の販売開始により、110~130℃の低圧・余剰蒸気等も利用可能となり、これにより130℃以下の工場等の排温水、排蒸気に加え、温泉水や地熱資源、バイオマス由来の熱源、太陽熱といった、未利用となっている多くの再生可能エネルギーを活用した、小規模・分散型のグリーン電力発電システムの構築が可能です。特に当社のスクリュ式小型蒸気発電機「スチームスター MSEG」等から排出される蒸気を復水させる工程に、復水器の代わりにマイクロバイナリーを設置し発電させる事で(ボトミングサイクル※3)、未利用エネルギーの究極的な有効活用が可能となります。また、温水熱源仕様機のMB-70H、蒸気熱源仕様機のMB-125Sを基本モジュールとして、熱源条件や設置環境に応じて、複数台を組み合わせる最適なシステム設計が可能で、メンテナンス時の稼動ロスも最小限に留める事ができます。
既に商品化している高効率蒸気供給システム「スチームグローヒートポンプ SGH」、小型蒸気圧縮機「スチームスター MSRC」、及び蒸気駆動空気圧縮機「Kobelion-SD」と合せ、様々な排熱の回収、及び再生可能エネルギーのソリューションメニューをご提供する事が可能となり、当社は今後も省エネ・環境・発電をキーワードに様々なお客様へのエネルギーソリューションをご提供して参ります。

※1 水蒸気(気体)が凝縮して水(液体)に復する際に放出される大量の熱。一般的に、液体と比較し蒸気(気体)は、より多くのエネルギー(潜熱)を蓄えられる。

※2 通常の蒸気タービンの動作(ランキンサイクル)に、作動媒体として水の代わりに有機媒体を用いたサイクル。

※3 発電システムにおいて、通常用いているサイクルで使用できなかったエネルギーを利用して付加的な発電を行うために、その低温側にほかのサイクルを付設した場合、その付設したサイクルをボトミングサイクルと呼ぶ。
発電用蒸気タービンの排蒸気は、通常、水や空気で冷却し水に戻す復水器が使用されるが、この復水器の代わりに、ボトミングサイクルとしてマイクロバイナリーを付設することで、排蒸気の熱エネルギーを回収して発電することができる。

「マイクロバイナリー」の主な特長

  1. 熱源の条件変動に対応した高効率の発電性能
    • スクリュタービン、IPM同期発電機等の採用により、熱源条件の変動に対応した高効率な発電が可能。
  2. 世界初の半密閉スクリュタービン方式のバイナリー発電システム
    • スクリュタービンと発電機ロータとを一軸一体構造とすることで、軸シールのない半密閉スクリュタービン方式のバイナリー発電機システムを世界で初めて実用化し、作動媒体や潤滑油が漏れ無い構造を実現。
  3. 低価格
    • 冷凍機、ヒートポンプの量産技術の活用や部品の共用化を図り低価格化を実現。
    • MB-125S本体ユニット価格3,800万円
    • MB-70H本体ユニット価格2,800万円
  4. 簡易型・小型バイナリー発電システム
    • 温水仕様72kW、蒸気仕様125kWユニットを基本に複数台のモジュール対応が可能。熱源条件や設置環境に適したシステム設計が可能。
    • 発電機他の機器、制御盤、インバータ、コンバータをパッケージ内に一体化し、省スペースの設置や工事費用の削減が可能。
    • 温水熱源仕様機は電気事業法の小型バイナリー発電設備の規制緩和の対象仕様に合致。

(ご参考)

MB-125S

「MB-125S」の外観図 

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