神戸製鋼HOME > プレスリリース > 2013年 > 船舶用ディーゼルエンジン用組立型クランクシャフトにおける新たな製造法の開発

プレスリリース

*プレスリリースの内容は発表時のものです。販売が既に終了している商品や、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

船舶用ディーゼルエンジン用組立型クランクシャフトにおける新たな製造法の開発

2013年8月2日

株式会社神戸製鋼所

当社はこの度、船舶用ディーゼルエンジン用組立型クランクシャフトの製造において、「型入れ鍛造法」による製造技術を開発しました。この「型入れ鍛造法」を用いることにより、従来の「折り曲げ鍛造法」に比べて大幅に設計疲労強度を向上させることが出来ます。

現在、船舶に対しては環境規制強化*1の問題や船舶燃料価格高騰に端を発する燃費改善要求の高まりから、所謂「エコシップ」のニーズが高まっています。このエコシップの開発には、抵抗を減らす「船型開発」や排出ガス量および燃費を改善する「エンジン開発」などが重要になってきます。
特に「エンジン開発」については、スクリュープロペラの大径化と低回転化が進むことで、低回転域で高出力が求められる傾向にあります。これらを満足させる為、エンジンはロングストローク化*2の方向にあることからクランク軸のスローは従来に比べ長く・重いものとなり、負荷応力や軸受荷重が増大することになります。

これに対して、この度当社が開発した「型入れ鍛造法」では、製鋼からの一貫鍛鋼メーカーであるという特長を生かし、鋼の清浄化との組み合わせにより疲労強度を従来製法のものに比べ約20%程度向上することが可能です。
これによって、ロングストローククランクスローの信頼性向上、軽量化が可能となります。

また、当社は「型入れ鍛造法」の開発に合わせてスローの検査評価精度向上を図るために、内部品質を漏れなく検査し記録する「自動超音波探傷技術」と、クランクシャフトが軸受けと接触する部位の接触度(当たり)を画像で定量的に評価する「定量評価技術」も新たに開発し、ロングストローク化により、負荷応力や軸受荷重が増大するクランク軸の信頼性の向上にも努めて参ります。

当社は、今回の型入れ鍛造法のみならず、素材面で舶用部品の高級化に資する技術シーズ・研究開発体制を備えており、如何なる顧客ニーズにも真摯に対応していくことで、海運・造船業界の発展に貢献してまいります。

*1 環境規制強化
国際海事機関(IMO)で海洋汚染防止条約(MARPOL条約)の改正が、2011年7月に採択され、国際海運におけるCO2排出規制が導入された。
対象は、2013年以降に契約が結ばれる新造船で総トン数400トン以上の国際航海を行う船舶となっている。
尚、排出規制の内容は以下の通り

 
建造契約年 2014年迄の契約船の平均CO2排出量を基準とした削減目標
2015-2019 ▲10%以上
2020-2024 ▲20%以上
2025- ▲30%以上
 

*2 エンジンのロングストローク化
エンジンのボアストローク比(ピストンストロークをシリンダーボアで割った値)が大きくなること。