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プレスリリース

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厚板加速冷却設備の改造について

~エネルギー分野向けオンリーワン製品拡販体制が整う~

2013年12月11日

株式会社神戸製鋼所

当社は加古川製鉄所 厚板工場の加速冷却設備を改造する設備投資を決定しました。2014年7月に設置工事を始め、完工は2015年3月の予定です。総投資額は付随する設備と合わせて約40億円になります。この投資により、本年1月に稼動した新熱処理炉、2014年4月稼動予定の溶銑予備処理設備と合わせて、エネルギー分野向け当社オンリーワン製品の拡販体制が整います。今後現状で厚板全体の約10%のエネルギー分野向け比率を30%まで高め、造船分野・建材分野と合わせた3本柱を中心とする強固な事業体をめざします。

厚板事業においては、原料価格の高止まりと製品市況の低迷、中国・韓国における厚板生産能力の大幅な増強などにより厳しい事業環境が続いています。一方で新興国を中心とした世界的なエネルギー需要の増大・北米でのシェールガス革命等により、石油やガスを生産・輸送する海洋構造物やパイプラインの市場は継続的に拡大して行くと予想されています。そのトレンドに対応するため、当社では海洋構造物用鋼板やラインパイプ用鋼板の開発と拡販を進めています。
海洋構造物やラインパイプに使用される鋼板の多くは、圧延直後の加速冷却設備で鋼板全体を高速で均一に冷却し、かつ冷却温度域を高い精度で管理することで組織微細化を行い、破壊に対する高い安全性の確保と良好な溶接施工性を実現するためにTMCPが適用されています。
今回既存の加速冷却設備を、水冷ノズルを稠密に配置しかつ鋼板に近づけると共に、水を高圧で噴射する方式に改造することで、鋼板の均一冷却に適したものとし安全性の確保と良好な溶接施工性の双方を実現します。これによりエネルギー分野向けの拡販を可能とし、造船や建材分野向け製品についても高機能化が見込まれます。

当社厚板分野は、今後も生産・営業体制を整備してエネルギー分野向けの拡販を更に推し進め、市場でのプレゼンス向上と収益改善を図っていきます。

※TMCP:Thermo Mechanical Control Process(熱加工制御)の略。
鋼板圧延時の温度と圧下率を制御し、圧延後に加速冷却することにより、強度と靭性(粘り強さ)および良好な溶接性能を備えた鋼板を製造することが可能となる。

設備詳細

加古川製鉄所 厚板加速冷却設備

総投資額:
約40億円
完工時期:
2015年3月
冷却形式:
「膜状の噴射水で冷却する方式+棒状の噴射水で冷却する方式」のコンビネーション方式
特長:
冷却ノズルの稠密化と高圧噴射等により鋼板を均一に冷却する性能を高め、冷却温度域を高い精度で管理することが可能。

現状の加速冷却設備

現状の加速冷却設備