神戸製鋼HOME > プレスリリース > 2015年 > 船舶用鋳鍛鋼品の高強度中間軸が世界で初めて国際規格に採用

プレスリリース

*プレスリリースの内容は発表時のものです。販売が既に終了している商品や、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

船舶用鋳鍛鋼品の高強度中間軸が世界で初めて国際規格に採用

2015年8月4日

株式会社神戸製鋼所

当社が独自に開発し、これまで日本海事協会殿の「特別承認材」としてご採用頂いていた高強度の中間軸が、この度国際船級協会連合(以下、IACS)に国際規格の『IACS統一規則』として世界で初めて採用されました。

中間軸とはエンジンの動力をプロペラシャフトに伝える重要な部品で、最近の大型の船舶用エンジンは、高出力・高効率化のため低速・高トルク回転設計を採用する傾向にあることから、中間軸にはエンジンが低速回転する時に発生するねじり振動を抑える為に中間軸の高強度化が求められます。
しかしながら、これまでのIACS統一規則では、中間軸の材料設計上限強度が引っ張り強さ(以下、TS)800N/mm2で有った為、高強度化には限界がありました。

そうした中で、当社は製鋼・インゴット鋳造から一貫した製造工程による高清浄度鋼製造技術を背景に、TS950N/mm2クラスまでの高強度材が製造可能であり、日本海事協会殿より「特別承認材」として中間軸への適用を認めて頂いていたことから、この度これらの高強度材の統一規則化を日本海事協会殿よりIACSにご提案頂き、TS950N/mm2までの高強度材が統一規則に採用されるに至りました。

この高強度中間軸のIACS統一規則化により、より高い強度での中間軸の設計織込みが可能となり、同一径であればより大きなねじり振動に対応が可能となり、また同じねじり振動応力であれば中間軸の直径の低減(=中間軸の軽量化)が可能となります。

当社の鋳鍛鋼事業は、製鋼からの一貫製造工程による高清浄度鋼製造技術やそれらを支える高い品質検査技術と、品質検査根拠のデータ化による明確な合否判定基準確立により、組立型・一体型クランク軸や中間軸・推進軸といった船舶の駆動系部品のみならず、ラダーストックやラダーフレームといった舵用部品も含めた多くの舶用部品を供給することによって、海運・造船業界の発展に貢献してまいります。

※「ねじり振動」とは
中間軸はエンジンの出力をプロペラに伝達するもので、エンジンで発生した回転力を直接受ける部材で、軸をねじる力が加わります。
船用のエンジンでは、低速回転でシリンダ内での爆発力も大きく、各シリンダーでの爆発が間欠的に起こるため、爆発周期に応じてねじる力が変化し、この変化が繰り返し起こるため振動となります。
このねじる力で起きる振動を「ねじり振動」と言います。