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受賞履歴

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秋の褒章 受章者について④

2013年11月6日

株式会社神戸製鋼所

受章者

氏名
黒田 勝
生年月日
1956年12月11日生まれ(56)歳
社歴
1975年4月 入社 神戸製鉄所
1995年4月 神戸製鉄所製銑部製銑室製銑係 班長
2002年4月 神戸製鉄所製銑部製銑室製銑係 職長
2006年10月 神戸製鉄所製銑部製銑室製銑係 係長

褒章・叙勲の種別

黄綬褒章

受章概要

功績:高炉の安定操業と操業コスト低減、及び作業の安全化・効率向上へ尽力

入社以来、35年以上にわたり、製銑工として従事し幾多の考案・改善によって高炉の安定操業と操業コスト低減、及び作業の安全化・効率向上に卓越した技術を発揮した。特に平成19年の高炉改修時は、45日間という国内最短改修記録の樹立に至る大きな原動力として活躍した。主な功績は以下の通りである。

①新型鋳床脱珪技術の確立
神戸製鉄所の高炉では、出銑口から取り出した溶銑を樋の中で脱珪処理する日本唯一の設備を有している。従来の脱珪処理はエアを強制吹込みする方法であった。しかしこの方法はエアーバブリングによる発塵が大きく、また樋耐火物の損耗も非常に早い。そこで氏は平成19年の高炉改修の際、脱珪方式をインペラ攪拌方式に変更する事を考案した。本方式は脱珪剤を投入した桶中でインペラによって溶銑を攪拌し反応を促進させるものであり、世界初の方式である。本方式により、従来の脱珪効率を維持しつつ発塵の発生がなくなると共に、樋形状の簡略化による補修作業負荷の低減、作業安全性の向上を可能にした。

②出銑口閉鎖用マッド耐火物の改良
出銑口付近は溶銑の流路であることから耐火レンガの消耗が最も早く、高炉寿命を決定する。この部位のレンガ保護は出銑口閉鎖時に圧入するマッド層によりなされている。神戸製鉄所では、通常は2本の出銑口で交互に出銑閉鎖を繰り返し、出銑している。しかし片方の溶銑樋耐火物を補修している間は、1本の出銑口で出銑口閉鎖を繰り返し連続して出銑する。この際、閉鎖から次の開口までの時間が取れないため、圧入されたマッドが焼成不足となり、開口時にガスが噴出し大きな発塵を伴うと共にマッド層が不安定化するという問題があった。そこで氏は、交互時と連続時でマッドの性状を変更し、使い分ける事を考案し耐火物メーカーと共同で連続出銑用の短時間で焼成可能なマッド層を開発した。

③高炉作業の効率化及び、安全化(代表的な事例)

  • クーラー取替え作業の効率化及び安全化
    クーラーとは炉下部に設置されている円筒状水冷装置である。このクーラー先端はレンガ内面に極めて近い位置にあるため、高炉が老朽化してくると炉内に直接突き出す形となりしばしば破損、水漏れが発生する。その場合の交換作業には、1箇所平均6時間を要していたが、氏は、専用機械を考案し2時間に短縮し、更に作業の安全性も大幅に向上させた。
  • 送風エキスパンション取替え作業の効率化及び安全化
    送風エキスパンションとは、熱風環状管と呼ばれる固定配管と送風支管の間にあって、1200℃もの熱風通過による両者の膨張収縮を吸収する部位である。定期的な交換整備が必要であるが、その際、送風エキスパンションを上下反転させる必要がある。重量物であるため、交換整備作業は不安定で大変危険を伴うものであったが、氏は専用の治具を考案し、安全性の向上を可能とした。

④低コークス比オールペレット操業技術の確立
神戸製鋼所では、平成11年に焼結工場を停止して以来、原料のほとんどを加古川製鉄所から海上輸送している。当初、加古川の製鉄所の焼結鉱を使用していたがハンドリング時の粉化が問題となり、ペレット鉱に移行する事を計画した。一般的に焼結鉱と比べ、ペレット鉱は還元性には劣る為、高炉操業が難しい、そこで氏は現場のリーダーとして操業技術のレベルアップに取り組み、平成14年に日本唯一のオールペレット操業を実現した。

⑤長短期高炉改修工事の完遂
平成19年に神戸製鉄所の高炉改修工事を実際した際、氏は現場のトップとして陣頭指揮を執り、設備の遠隔操作化などによる近代化や作業エリアのフラット化などの作業性、安全性の改善を実施しつつ、国内高炉改修の最短記録となる45日間で改修を完遂した。またその後の立ち上げにおいても出銑作業計画の作成から実施までを指揮し、安定的立ち上げ操業を実現し、1ヶ月で通常操業レベルまで立ち上げた。

本人の感想

この度の黄綬褒章受章を本当に有難く思っています。受章は私のみの力ではなく、先輩方や一緒に仕事をしてきた仲間みんなの力だと思っています。製銑は皆が一致団結しなければできない仕事であり、これからも「神戸魂」を忘れずに取り組んでいきたいと思います。