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受賞履歴
*受賞履歴の内容は発表時のものです。販売が既に終了している商品や、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
(一社)日本鉄鋼協会主催の2024年度一般表彰における受賞について
2025年3月10日
株式会社神戸製鋼所
(一社)日本鉄鋼協会主催の2024年度一般表彰において、当社の以下4名が受賞しましたのでお知らせします。なお、渡辺義介賞を受賞の水口誠につきましては、受賞特別講演を行いました。
受賞名 | 受賞者 |
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渡辺義介賞 | 顧問 水口 誠 |
渡辺義介記念賞 | 執行役員 木下 俊英 |
渡辺義介記念賞 | 執行役員 技術開発本部長 西野 郁 |
鉄鋼技能功績賞 | 神戸総合技術研究所 係長 三井所 利晃 |
賞の概要
日本鉄鋼協会では、鉄鋼に関する学術・技術の振興および研究者の育成を目的として、顕著な業績を挙げた会員等を表彰しています。今回受賞した各賞の概要は以下の通りです。
渡辺義介賞 | わが国鉄鋼業の進歩発達に卓越した功績のあった会員に贈られます。 |
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渡辺義介記念賞 | わが国鉄鋼業の進歩発展に多大の功績のあった会員に贈られます。 |
鉄鋼技能功績賞 | 鉄鋼及びその周辺領域に関する業務において研究・技術開発を支援し、優れた技能、技術を発揮した者に贈られます。 |
受賞内容
1.「渡辺義介賞」顧問 水口 誠
題目: 薄板製品の製造技術の進歩と発展
自動車用鋼板、高機能被膜鋼板等の薄板製品の製造技術確立と商品開発において多大な功績を挙げました。主な功績は以下の通りです。
- (1)自動車用鋼板の製造技術の確立と海外展開
極低炭素鋼をベースとした超深絞り用冷延鋼板の実用化、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の安定製造技術と連続焼鈍炉における高温焼鈍技術などの開発を通して自動車用鋼板の特性向上、量産化に貢献しました。
自動車軽量化のための鋼板の高強度化ニーズの高まりに対して、各種の高強度冷延および亜鉛めっき超ハイテンの開発、製造技術の確立に取り組み、超ハイテンの需要拡大に貢献しました。
自動車用素材のマルチマテリアル化に対し、構造解析による最適な鋼板の適用方法や異材接合が可能な新技術などのソリューション開発を行い、自動車用素材におけるハイテンの適用拡大に貢献しました。
北米、中国で新工場建設及び製造技術移管により、日本品質の製品開発、適用拡大に貢献しました。
- (2)家電用電気亜鉛めっき鋼板の製造技術の確立
高機能皮膜鋼板の開発及び製造技術の確立に取り組み、多大な功績を挙げました。特に耐食性、耐指紋性、導電性等など多様な機能を併せ持つ特殊化成処理皮膜鋼板の製造技術を確立、商品化に貢献しました。

2.「渡辺義介記念賞」執行役員 木下 俊英
題目:高炉一貫製鉄所の安定生産への貢献
エンジニアリング事業部門での還元鉄プラント(シャフト炉式、回転炉床式)の設計・建設を担当したのち、長年にわたって、高炉一貫製鉄所における自家発電設備の運転を含むエネルギー需給管理に携わり、先見性を備えた優れた技術力を発揮しました。また、ユーティリティー供給設備の安定稼働を達成し、各製造プロセスでの省エネルギー、CO2排出量削減に多大な功績を挙げました。
主な功績は以下の通りです。
- (1)自家発電設備等ユーティリティー供給設備の安定稼働の達成
高炉一貫製鉄所における自家発電設備では、発生する副生ガス(コークス炉ガス、高炉ガス及び転炉ガス)の量・性状等(発熱量、圧力等)に応じ、最大限のエネルギー回収、各種法令対応(電気事業法、大気汚染防止法等)の順守が必須です。これに対し、運転・点検管理基準等の策定により安定稼働を達成させ、鉄鋼生産設備と連携して、エネルギー有効利用の全体最適化(安価な副生ガスの最大限の発生等)に貢献しました。 - (2)高効率エネルギー設備導入による省エネルギー・CO2排出量削減への貢献
圧延中に発生する自家発電設備におけるボイラ更新工事では、副生ガス焚きガスタービンコンバインド発電設備を2基導入するとともに、操業改善などの工夫によりエネルギーの有効活用を推し進めました。また、最新鋭の空気分離装置や酸素圧縮機など大型設備を導入し、製鉄所内エネルギー供給効率向上を実現しました。これらの活動により、省エネルギー、CO2排出量削減に大きく貢献しました。

3.「渡辺義介記念賞」執行役員 技術開発本部長 西野 郁
題目:鉄鋼生産プロセスにおける制御技術の進歩と発展
長年にわたって鉄鋼生産プロセス分野の技術開発に携わり、品質・生産性の向上に多大な功績を挙げました。主な功績は以下の通りです。
- (1)厚板圧延における板厚制御技術の開発
加古川製鉄所厚板工場の圧延設備において、産業界で初めて数理計画手法の一つである遺伝的プログラミング手法を改良して実用化し、圧延理論、制御理論及び数理計画手法を駆使した全く新しい板厚制御方法を開発することで、厚鋼板の生産性改善に大きく貢献しました。 - (2)上工程集約における鋼片物流再構築
加古川、神戸両製鉄所(当時)における上工程設備の集約に際し、物流シミュレーション技術を用いた鋼片物流に関わる物流設計・物流管制機能の開発を主導し、神戸地区の鋼片在庫をバッファとした在庫充当型物流への段階的な物流体制再構築の完遂に大きく貢献しました。 - (3)AIなど高度データ活用による新たなプロセス制御技術の開発
統計処理、機械学習など高度データ分析技術と大量データにより熟練操業者の暗黙知を模擬する仮想経験情報演算機能とこの機能を核とする全く新たな操業支援技術を開発・推進し、高難度操業の高炉、製鋼、熱延工程にて実機化に成功、各工程の操業安定性向上に大きく貢献しました。

4.「鉄鋼技能功績賞」神戸総合技術研究所 係長 三井所 利晃
題目:鉄鋼材料の塑性加工の研究開発への貢献
鉄鋼材料の熱間鍛造、押出加工など塑性加工分野の技術開発に関する実験業務に携わり、装置・治具の改善を積極的に進め、研究開発の基盤となる実験業務の高度化に貢献しました。
主な功績は以下の通りです。
- (1)研究・技術開発支援について
自動車鍛造部品には小型・軽量化ニーズがあり、高強度鋼の適用が有効です。一方で、高強度鋼は被削性が悪く、加工コストが高くなるという一面もあります。これらを両立させる目的で、部材中に傾斜機能を付与することが望まれていますが、自動車の足廻り部品を対象に、熱間鍛造直後の各部の温度に着目して、部位ごとに冷却速度制御が可能な装置を開発することで、強度と被削性を兼ね備えた部材開発を実現しました。
熱間鍛造プレス機を用いた押出加工では、縦方向の空間に制約があるため、長尺材の加工が困難でした。そこで、長尺材が押出し装置下部方向に通過させられるよう装置を改善すると同時に、破損防止のため金型の設計を見直し、1,000㎜以上の長尺押出成形を可能にしました。また、押出材の切断、搬送装置を製作して実験効率を大幅に改善し、社内、お客様にとどまらず、大学、研究機関からもサンプル試作試験依頼を受けることができました。
現役係長として、若手スタッフへの塑性加工分野の知識・技能の伝承・人材育成に貢献しています。

集合写真
