このたび当社機械エンジニアリングカンパニー高砂機械センターおよび産業機械事業部は、ASME(※用語説明参照)超高圧容器の事業所認定であるASME U3認定を取得しました。ASMEU3認定は10,000psi(約70MPa)以上の超高圧圧力容器に関する認定で、アジアでは初めての認定であり、全世界でも20社程度の事業所しか認定されていません。
ASMEは"Boiler and Pressure Vessel
Code"(ボイラおよび圧力容器規格)が有名で、ボイラ、圧力容器および原子力発電用機器等の規格を数多く発行し、それらはアメリカの多くの州で法律の一部として採用され、またアメリカ以外の国々においても技術基準の基礎となっており、自主基準ながらアメリカだけでなく世界的に権威あるものです。
ASMEの"Boiler
and Pressure Vessel
Code"に基づく認定制度は、製品やサービスなどを供給する組織に対して、品質システムに加えて、ASME規格の技術的要求事項を満足させる品質プログラムが確立されていることを、ASMEおよび公認検査機関(AIA)とで審査し、その要求事項を満足した組織を登録する制度です。登録された認定事業所で製造された製品にはASME
Codeシンボル・スタンプを表示することができます。主なASMEシンボル・スタンプは原子力用プラント機器のNスタンプ、ボイラのSスタンプのほか、圧力容器としてはU(ASME
Section VIII,Div.1)、U2(ASME Section VIII,
Div.2)スタンプ等がありますが、U3スタンプは中でも超高圧用圧力容器のスタンプで、UやU2認定に比べて、より設計・製造・試験等に対する厳密な管理が求められています。
当社産業機械事業におけるIP装置(等方加圧装置:HIP/CIP)は100MPa以上の超高圧を容器内に均一にかけ、冷間で粉体を成形したり食品を処理したり、1000℃以上の高温で熱間処理して自動車用アルミ鋳物や高温超伝導体の処理や超硬合金、スーパーアロイなどを成形加工する用途に用いる装置です。 当社では今までに国内外に700台以上のIP装置を販売し、国内ではマーケットの80%以上のシェアを持っております。
今回取得したASME
U3認定により、当社の製造する超高圧容器が世界的に認められたものと自負しております。
前述の通り、アメリカの工場に圧力容器を設置するにはASMEの規格を州法に取り入れている州がほとんどであり、また、アメリカ以外の工場(ヨーロッパやアジアなど)でもASMEスタンプ付き圧力容器の要求が多いことから、今後海外で年間10〜20億円の売り上げを目標に海外戦略を策定していく所存です。
以上
用語説明
No |
用語 |
説明 |
1 |
ASME (American Society of Mechanical
Engineers) |
米国機械学会。ニューヨークに本部を持つ(1880年設立)。1914年に動力用ボイラ規格を発行。機械工学を中心とした分野の規格化、標準化およびそれに基づく認定などの活動を推進している民間団体。 |
2 |
AIA (Authorized Inspection Agency) |
ASMEが認定した公認検査機関。AIAに雇用されている公認検査官をAI((Authorized
Inspector)という。 |
3 |
U3 |
ASME Section VIII, Div.3 の規格に従った圧力容器に対するスタンプ。Div.3
は10,000psi以上の超高圧容器に関する特定規格。工場認定数は世界で20社。 |
4 |
U2 |
ASME Section VIII, Div.2 の規格に従った圧力容器に対するスタンプ。Div.2
はDiv.1の特定規格であり、材料の厳選、より詳細な設計(解析など)により薄肉の圧力容器が可能となる。日本での工場認定数19社(神戸製鋼含む)。 |
5 |
U |
ASME Section VIII, Div.1
の規格に従った圧力容器に対するスタンプ。一般的な圧力容器の規格でASME Code
の中で最も広くユーザに採用されている。日本での工場認定数56社(神戸製鋼含む)。 |