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*トピックスの内容は発表時のものです。販売が既に終了している商品や、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。 |
ゴルフクラブ用新チタン合金の開発と、ミズノ(株)ドライバー新製品への採用について |
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2005年2月22日
株式会社神戸製鋼所
当社は、ゴルフクラブ用に新しいチタン合金を開発しました。
新しい合金成分の設計とチタン薄板製造時の熱処理により、
一定の強度を保ちながら、これまでにないレベルのたわみ
易さを実現しました。薄板製造以降加熱せずに素材のまま
加工・成形していることから「生チタン」との呼び名で、
このたび発売されたミズノ株式会社(以下 ミズノ)
の新製品「JPX(ジェイピーエックス)E300」
ドライバーのフェース(打球面)に、初めて採用されました。
当社は国内チタン素材メーカーとしては、
ゴルフクラブ用途のみならず、
航空機部品や自動車部品などに、
これまでに最も多くのチタン合金を開発してきました。
ゴルフクラブに使用するチタン合金には、
ボールとの強い打撃に耐える強度と同時に、
打撃の瞬間に、たわんでボールを弾き返すたわみ易さという、
相反する性能が求められます。
このたびの新チタン合金「Ti−15Mo−3Al」は、
ゴルフクラブの飛距離アップに繋がる、
たわみ易さの向上を最重要課題として材料開発を
行ってきました。
重量比率で、15%のモリブデンと3%のアルミニウムを
含む新しい成分設計により一定の強度を保つと同時に、
チタン薄板製造時の熱処理により、
この強度レベルの下で、
これまでで最高のたわみ易さを実現しました。
従来は、チタン丸棒や薄板を加熱し、
鍛造あるいはプレスによりゴルフクラブヘッドに
成形していましたが、このたびミズノでは素材としての
特性を活かすため、薄板に熱を加えることなく
素材のまま加工・成形しています。
同社の反発を高めるクラブヘッドの新形状とこの
フェース新素材という、2つの新設計により従来品
(ミズノ社チタンドライバー、
平均的なアマチュアゴルファーのヘッドスピード43m/sの場合)
との比較で約10ヤードの飛距離アップを実現しています。
当社は、これからもチタンの溶解から最終製品まで手がける一貫メーカーである強みを活かし、さまざまな用途に応じた材料開発により、ユーザーニーズに応えていきます。
<ご参考>
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たわみ易さ*1 |
引張強度*2 |
0.2%耐力*3 |
伸び*4 |
新合金Ti−15Mo−3Al |
約60 |
1000以上 |
900以上 |
15 |
当社ゴルフクラブ用
従来材レベル |
70〜110 |
1100〜1200 |
1050〜1150 |
4〜10 |
*1 |
たわみ易さ・難さを指数化した縦弾性係数(=ヤング率)にて表現。数字が小さい程、たわみ易い。(単位:GPa)。 |
*2 |
引張荷重をかけた際の、破断に至るまでの単位面積当りの最大荷重。(単位:MPa) |
*3 |
引張荷重をかけた際の、引張荷重を解除しても元の形状に戻らない変形が始まる時点の単位面積当りの荷重(単位:MPa) |
*4 |
引張荷重をかけ切断に至った際の、長さ方向の伸び率。(単位:%) |
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<クラブフェースに新チタン合金が採用された、ミズノ「JPX E300」ドライバー> |
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<クラブフェース製造工程、概要> |
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<チタン薄板> |
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<フェース打ち抜き加工>
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<フェースプレス加工>
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