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トピックス
2005年

*トピックスの内容は発表時のものです。販売が既に終了している商品や、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
カタールで直接還元鉄プラントを受注
天然ガスを利用した、高炉によらない製鉄法
2005年2月28日
株式会社神戸製鋼所


当社はカタール国カタール・スチール・カンパニー (以下、カスコ(QASCO)社)より年産150万トンの 天然ガスベース直接還元鉄プラント1を受注しました。 約280億円のフルターンキー契約2で工期は30か月、プロセス (製鉄技術)は当社が保有するミドレックス方式です。 この方式は、神戸製鋼グループのエンジニアリング会社 ミドレックス社(米)が開発したもので、世界の還元鉄生産 (2003年約5000万トン)の65%を占めており、 今回の受注は54基めとなります。 本日、カタールの首都ドーハで、契約調印式が行われました。

カスコ社は1974年にカタール政府と神戸製鋼などとの間で 設立された合弁企業です。当社は出資と同時にプラントの 建設契約も締結し、日本政府の輸出金融3を得て、 1978年にアラビア半島初の一貫製鉄所を完成させました。 同国で豊富に産出される天然ガスを利用して鉄鉱石から鉄を 取り出す直接還元鉄プラントと、電炉から棒鋼圧延までの 製鉄所です。
当社はその後20年間にわたり経営・操業・保全等各方面から カスコ社を支援してきました。 同社は現在、設備能力(年産40万トン)の2倍近くの 還元鉄を生産する、世界トップクラスの還元鉄製造社であり、 それを鉄源としてビレット30万トン、 棒鋼70万トンを生産する、中近東有数の鉄鋼メーカーとなっています。

中国をはじめとするアジアでのエネルギー需要の急増が、 ペルシャ湾岸諸国に石油や天然ガスによる潤沢な収入を もたらしています。イラクの復興需要も見据え、 各国はこの収入をもとにエネルギー以外の産業の振興や インフラ整備に乗り出しており、その結果、域内では鋼材や セメントが不足しています。
カスコ社は、この需要に対応するため設備の増強に 踏み切りました。直接還元鉄プラントの新設は、 この増強計画の第一弾で、会社設立以来培われてきた 信頼関係のもと、神戸製鋼が再び受注しました。 直接還元鉄プラントの他、電炉新設、ビレット連鋳改造、 棒鋼工場新設など、計画の投資総額は440億円にのぼります。 これらの設備投資により、カスコ社は約120万トンの 鋼材や半製品を増産できる見込みです。

世界的な鋼材需要の急増、鉄鋼原材料やスクラップの逼迫に より、世界各地でこの「高炉を必要としない」直接還元鉄 プラントの商談が持ち上がっています。 莫大な投資と巨大な設備を必要とする高炉法に比べ、 小規模な投資とコンパクトな設備による製鉄が可能です。 高炉が高級石炭を蒸し焼きにしたコークスを必要とするのに 対し、ミドレックス方式のプラントは天然ガスを還元剤と するのが特徴で、ガス資源の豊富な地域に有利な生産方式です。 最近は年産150万トンを超える大型炉への関心が高く、 昨年12月にはサウジアラビアのハディード社(Hadeed) から年産176万トンの同方式プラントを受注、本年1月には、 マレーシアのライオン(Lion)グループより年産154万 トンプラントの主要設備を、更に2月18日にはロシアの ガスメタル社レベディンスキ製鉄所(Lebedinsky GOK)社 から年産140万トンプラントをそれぞれ受注するなど、 連続してミドレックス方式が採用されています。 引き続きミドレックス社はオマーン、南米等での商談も 進めています。

神戸製鋼は、稀少な高級石炭や比較的偏在する天然ガスだけ でなく、より広域で産出する一般炭4を還元剤として利用する 石炭ベース直接還元鉄プロセス(FASTMET/FASTMELT)や、 低品質の原料からも高純度の鉄を取り出すことの出来る 次世代製鉄法(ITmk3)など、地場の資源を有効利用出来る、 様々な製鉄プロセスを保有しています。 これらの技術で、高炉による大規模製鉄に馴染まない、 世界各地に存在する中小規模製鉄のニーズや、 鉄鉱山会社の製品高付加価値化を求めての川下展開などに 応えていきます。

【ご参考】
1.カスコ社概要
社名 Qatar Steel Company (Q.S.C.)
所在地 カタール メサイード工業都市(首都ドーハ市の南方約45 km)
(Mesaieed Industrial City, Qatar)
設立 1974年
生産開始 1978年
株主 Industries of Qatar (Q.S.C.) (国営持株会社) 70%
その他一般株主 30%
会長 H.E.Yousef Hussain Kamalユセフ・フセイン・カマル(財務大臣)
社長 Sheikh Nasser Bin Hamad Al-Thaniシェイク・ナサール・ビン・ハマド・アルサー二(王族)
社員数 約1,200名
粗鋼生産量 100万トン
製品 ビレット 約30万トン、棒鋼 約70万トン


2.設備概要

  既存設備 生産量
1) 還元鉄プラント 78万トン(DRI5
2) 製鋼プラント 100万トン
3) 圧延プラント 80万トン

  新規設備 能力
1) 還元鉄プラント 150万トン(DRI/HBI6併産)
2) 製鋼プラント 50万トン
3) 圧延プラント 70万トン


3.ミドレックス社概要

社名 Midrex Technologies, Inc.
所在地 米国ノースカロライナ州シャーロット市
社長 James D. McClaskey ジェームス・マクラスキー
事業概要 直接還元鉄プロセスの開発・販売


4.神戸製鋼/ミドレックス社が過去1年間に受注した直接還元鉄プラント

客先名 年産能力 契約金額 契約 国名
Hadeed 176万トン 約350億円 2004年12月 サウジアラビア
Lion Group 154万トン 約90億円(主要設備のみ) 2005年1月 マレーシア
LGOK 140万トン 約150億円(主要設備のみ) 2005年2月 ロシア
QASCO 150万トン 約280億円 2005年2月 カタール
合計 620万トン      
注) Hadeedの契約金額は、他社が受注した設備・建設・施工部分も含む想定金額。
  LGOKの契約金額は、他社が受注した設備部分も含む想定金額。

1 還元鉄とは、鉄鉱石を還元した、鉄分80%程度以上の鉄鋼原料。高級スクラップの代替品として、電炉の原料に使われる。
天然ガスベース直接還元鉄プラントとは、石炭の代わりに天然ガスを利用して鉄鉱石を還元し鉄を取り出す製鉄設備のこと。鉄鉱石を溶融せず固体のまま還元するので、直接還元という。
2 フルターンキー契約とは、プラントの設計・機器調達・土建据付を全て請け負う契約。
3 輸出金融とは、日本製の設備の輸出または技術の提供に必要な資金を国際協力銀行(当時日本輸出入銀行)が融資した制度のこと。
4 一般炭とは、高炉製鉄で用いられる原料炭(高級石炭)を除いた、発電等の目的で用いられる石炭のこと。
5 DRIとは還元炉からで出て来たままの還元鉄のこと。
6 HBIとはDRIを圧縮してブリケットに固めたもの。

QASCOの全景
QASCOの全景
 
QASCO還元鉄シャフト炉
QASCO還元鉄シャフト炉

 
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