KOBELCO 神戸製鋼
 
ヘッダー(印刷用)
バックナンバー > > トピックス > > 2005年 > > 6月
 2005年
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
 トピックス
2005年
2004年
2003年以前
最新情報はこちら
 
トピックス
2005年

*トピックスの内容は発表時のものです。販売が既に終了している商品や、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
抗菌めっき技術(KENI FINE=ケニファイン)のコロナウイルスに対する効能確認について
2005年6月16日
株式会社神戸製鋼所


(1) KENI FINE(ケニファイン)とは
当社独自開発のニッケル系合金めっき技術で、当社が得意とする各種合金開発技術の一つです。当社はライセンスビジネス(めっき業者もしくは自社にめっきラインを有するメーカに技術を供与)を実施しています。
従来の抗菌技術(抗菌塗装、抗菌ステンレスなど)に対して10倍以上の滅菌スピードとその後の菌の増殖を抑制する効果があります。防かびや防藻にも有効です。
開発が完了した2001年に最初の技術供与先が決まり、2002年より量産を開始しました。その後、めっき技術の改良(耐変色処理や粉末化技術の開発、樹脂への適用化など)を行ない、現在11社(内、本契約6社、トライアル契約5社)にライセンス供与しています。
1996年7月、大阪府堺市で発生した病原性大腸菌O157による大規模集団食中毒事件を機に、その対策技術として、当社技術開発本部の中の材料研究所と(当時の)生物研究所と共同で開発をスタートさせたのがきっかけです。
現在、食品・厨房関係では飲食品機械部品や搬送ライン、食品棚、計量機器などに、医療・福祉関係ではドアハンドル、菌培養器部品などに、家電関係ではエアコン部品などに採用されています。

(2) 今回発表の主旨
当社が独自開発し、既に商業化している高機能の抗菌めっき技術(KENI FINE)が、コロナウイルスの研究における第一人者である岩手大学の平野博士によって、”SARSウイルス”と同属のコロナウイルスに効能があることが確認されました。SARSは空気感染のみならず、ウイルスの付着した各種施設、物品に触れることにより手から口を経由して感染するケースも多く見受けられます。従い、本めっきを施すことにより感染対策に大きく寄与することが期待出来ます。こういった身近なウイルスへの効能が確認されたことで、更なる用途拡大が進むものと期待されます。

【平野紀夫博士のプロフィール】
岩手大学 助教授(農学部 獣医学科 獣医微生物学)
東京大学大学院農学系研究科博士課程終了、東京大学医科学研究所助手経て、現在に至る。1985年、マウス肝炎ウイルスの研究で日本獣医学会賞受賞。大学院時代に確立したDBT細胞によるマウス肝炎ウイルスの増殖定量系は現在世界中でコロナウイルス研究に用いられており、アメリカウイルス学会では、Father of DBT cells for mouse coronavirusesと呼ばれている。

※ 尚、本実証確認結果は、論文発表の場となる「Nidovirus Symposium〜Toward Control of SARS and Other Nidovirus Diseases」(6月25〜30日にかけて米国コロラド州コロラドスプリングスで開催される。SARSコロナウイルスは、ニドウイルス目コロナウイルス科コロナウイルス属に属する。)に先駆けて公表するものです。

(3) KENI FINEの今後の展開について
ウイルス効能分野/用途の拡大
ノロウイルスなど、効能を発揮するウイルスの種類を確認し、その用途を更に拡大していく予定です。その上で、ウイルス感染ルートになり易い学校施設、駅、鉄道車両、空港関連施設、病院・老人ホームなどの医療・福祉関連施設、その他幅広く公共施設への採用を働きかけていきます。また、食品・医療ほか公共施設分野以外へも用途を広げていきます。
機能の向上
用途拡大を目的に、樹脂への適用や変色を抑える技術の研究開発を行ってきました。樹脂に関しては、粉末化技術も開発し、抗菌粉末として、塗料や樹脂などに混合させて、これらの抗菌化を可能にしました。また、変色を抑える処理についても既に実用化しています。更に今後は、意匠性の向上などを検討していきます。
営業展開について
めっき作業にはノウハウが多く、めっきメーカーの有する技術ノウハウと組み合わせることによって、さらに高いレベルの製品が生産できると考えています。またライセンス供与先(処理設備拠点)が増えることで、全国展開が一層進むものと考えています。更に、日本国内だけでなく、海外へのライセンス展開も視野に入れ、すでに、米国や欧州のメーカーとコンタクトを始めています。今回のSARS国際会議でウイルス効能を発表することによりこの海外展開が加速するものと期待しています。

 
このページのトップへ
© KOBE STEEL, LTD. 1995-2024