当社はこのほど、中国江蘇省に、自動車用懸架ばねに使用される特殊鋼線材の二次加工拠点を設立することを決定致しました。新会社は(株)杉田製線、三井物産(株)および中国の泓昇有限公司との共同出資によるもので、冷間懸架ばね*1に使われるオイルテンパー線*2の製造・販売を行います。総投資額は19.0億円、資本金は7.6億円で、設立は本年7月を、設備の稼働は2006年10月を予定しています。
中国は、目覚しい経済発展を背景に2010年には自動車生産が年間1,000万台(2004年は510万台)に、また自動車の重要保安部品の一つである懸架ばねの需要も年間62千トン(2004年は24千トン)に拡大すると見込まれています。既に華南(広州)地区においては熱間懸架ばね*1に使用される磨き棒鋼の二次加工拠点である「神鋼線材加工(佛山)有限公司」(2006年4月稼動:自動車用ボルトに使用される冷間圧造用ワイヤーも併せて供給)を建設中であり、今回の新会社設立により自動車懸架ばね用鋼に関しては熱間、冷間双方に対応できる形で、中国の主要自動車生産地に広く供給できる体制を整備することになります。尚、新会社では、2010年に11千トンの生産・販売を予定しており、神鋼線材加工(佛山)有限公司と併せ、懸架ばね用線材(熱間・冷間含めた)の中国市場の40%のシェア確保を見込んでいます。
当社は、最も得意とする特殊鋼線材の分野で、自動車産業向けを中心に長きに亘って高品質・高付加価値の製品を製造・供給してきました。中でも「ばね鋼」に関しては、トップメーカーとして特に高い評価を得ています。代表的な品種である自動車懸架ばね用鋼については、高強度懸架ばね用鋼(規格名:UHS1900)を、欧米の代表的な特殊鋼メーカーであるアスコメタル(ASCOMETAL 仏)やリパブリック・エンジニアード・プロダクツ(REPUBLIC
ENGINEERED PRODUCTS 米)などに技術移転し、両地域にも供給できる体制を整備しています。また、東南アジア地区においても、タイの二次加工拠点マハジャック・キョードー(MKCL)を通じて熱間懸架ばね用磨き棒鋼を販売するなど積極的なグローバル展開を行ってきました。
今回の新会社設立により、主要な自動車市場である欧州・北米・アジア地区において、熱間懸架ばね、冷間懸架ばね双方に対応できる加工体制が整ったことになります。こういった取組により今後も特殊鋼線材の世界規模での供給体制をより一層強化して参ります。