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*トピックスの内容は発表時のものです。販売が既に終了している商品や、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。 |
高強度・短波長紫外線ランプ光強度測定用ダイヤモンド薄膜センサ、世界最長耐久性(従来センサ寿命の100倍以上)を実現 |
累積照射時間2,000hr(紫外線ランプ寿命と同等レベル)でセンサ感度変化5%以内 |
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2005年8月9日
株式会社神戸製鋼所
当社は、高強度・短波長の紫外線が正常に照射されていることを確認するために用いる、
従来の100倍以上の世界最長寿命を持つ光強度測定用センサを開発しました。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの製造時に、
表面の不純物を分解して洗浄する高強度・短波長紫外線ランプの寿命と同等の
約2,000hrで、センサ感度変化5%以内の性能を確認しています。これは、
蛍光ガラスやシリコンに比べ変質劣化が小さい人工ダイヤモンド膜を使って当社が
開発していたセンサ技術に加え、湿気やオゾンを締め出す構造を採用することで実現しました。
既に岩崎電気(株)の紫外線照度計に採用されているほか、数社で紫外線照度計や高強度
・短波長紫外線照射装置に組込むための評価を受けています。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのFPD(フラットパネルディスプレイ)は、
ガラス基板上に何層もの配線回路の焼付けを行い製造されます。その度に、
キセノンエキシマランプや低圧水銀ランプなどの高強度(10-50mW/cm2)で短波長
(波長 =140-227nm:UV-C領域に相当します)の紫外線を照射することで、
表面に付着し性能に悪影響を及ぼす有機物(炭素・水素・酸素などの分子化合物)を分解し、
洗浄(乾式洗浄)しています。
ディスプレイの不良品率に影響する重要な工程であることから、目視では見ることが
出来ない紫外線ランプが性能劣化することなく機能していることを、
センサを用いて確認することが望ましい。しかし、有機物の分子構造を破壊するほど
強い紫外線であることから、従来の蛍光ガラスやシリコンを使ったセンサでは、
材料が変質劣化し、測定不良を起こすなど、長時間の連続測定には耐えられませんでした。
現在、こうした問題に対して、品質管理に不安があるものの、間欠モニタリング
(例えば1日に1 〜2回、2〜3秒間の性能確認)の実施や、寿命に至る前に余裕を
残して紫外線ランプの交換を行うなどの対応がとられています。
これまでに当社が開発したセンサは、ダイヤモンドと白金(電極)という短波長紫外線に
対して極めて安定的な材料から構成されています。紫外線照射時の、ダイヤモンド膜中
の通電量の変化によって紫外線の強度を測定しています。過酷な紫外線照射環境でも
機能する点が特長です。更にこのたび、センサの不安定化要因となる湿度や(紫外線に
よって発生する)オゾンの影響を防ぐために、センサ構造を改良したことで、世界最長の
耐久性を実現しました。これにより、紫外線ランプそのものと同等レベルの寿命を実現
出来たことから、キセノンエキシマランプや低圧水銀ランプが使われる高強度紫外線照
射装置への組込み、ランプ光強度の連続モニタリングが可能となります。
FPD用ガラス基板の洗浄の他にも、高分子フィルム・樹脂等の表面改質、超純水製造装置
・薬液管理装置など、高強度・短波長紫外線ランプ・照射装置が使われる様々な分野で
品質管理の精度向上・不良品率低下に大きく貢献できると考えています。将来的には、
半導体製造用露光装置に用いられる紫外線レーザ(ArFレーザなど)の積算光量モニターや
極短波長紫外光源向けなどへの製品展開を考えています。
図1 ダイヤモンド紫外線センサの外観写真
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図2 センサの構造と動作機構
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