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トピックス
2005年

*トピックスの内容は発表時のものです。販売が既に終了している商品や、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
『安価』な薄型シート状電波吸収体の開発
同時に『経時劣化が無く』・『電波吸収等方性能』を実現
2005年12月19日
株式会社神戸製鋼所


当社は、青山学院大学理工学部/橋本教授と共同で、鉄鋼製品の製造過程で生じる副産物を原料にした、現在市販されている電波吸収体の半値レベルの『安価』な電波吸収シートの開発・製造に成功しました。同時に『経時劣化が無く』、従来連続成形では困難だった、電波の振動方向(水平・垂直)に関わらず満遍なく吸収する『等方性能』も有しています。様々な電波の乱反射による、電子機器類の誤作動を回避することを目的に、有料道路や駐車場など、今後普及が予想される「自動料金収受(ETC)システム、専用狭域通信(DSRC)利用サービス」周辺での採用の拡大を期待しています。

現在一般的に使用されている電波吸収体は、電波吸収特性のあるカーボン、フェライト粉末(鉄を主体とし、それにマンガン・亜鉛・ニッケルなどの金属が加わった酸化物)、各種合金粉末などをゴムに練り込み、シート状に製造されています。これらの原料粉末そのものが高価であることに加え、屋外での長期使用に伴い粉末が酸化、あるいは吸湿することで電波の吸収性能が低下する場合がありました。また、従来の連続成形では、生産性が高く安価ではあるが、入射電波の振動方向(水平・垂直)により電波の吸収性能にばらつきがあるなどの課題がありました。

今回開発した電波吸収体は、鉄鋼製品の製造過程で、鋼材表面に副次的に発生する酸化膜を原料としています。特定の線材製品から、細かくかつ電波の吸収に適した「厚み5〜20ミクロン、大きさが数10〜100ミクロン」程度の『扁平形状』の酸化鉄の粉末を回収しこれを原料に使用します。この『扁平形状』の酸化鉄粉末をゴムに練り込み、2mm程度の薄いシート形状に連続的に製造しています。酸化鉄粉末の充填率やシートの厚みなどで、吸収しようとする電波の周波数帯や吸収量を調節出来ます。
副産物であることから原料となる酸化鉄粉末は安価に入手が可能で、既に酸化した状態であることから性能の低下はなく、耐久性を有しています。また、粒子形状が広く電波を捕まえ易い『扁平形状』であること、加えて、ゴムシート一面に粉末の粒子を扁平の面がシート表面と平行となるように、むら無くあらゆる向きに並べることで、薄肉化と等方性能を実現しました。
これまでに、JSAT(株)と共同で衛星通信アンテナを様々な地上波妨害電波から保護する電波吸収体を商品化していますが、このたびの製品は、薄くて等方性能を有する点、および長期性能安定性の点で更に高性能化しています。
ゴムシート型以外に、セメント中に酸化鉄粉末を分散させた不燃型の電波吸収体、あるいは円柱表面に被覆しそれを並べてフェンス状に構成した被覆棒列型電波吸収体など特殊用途向け電波吸収体の開発も実施しています。

平成17年度NEDO「次世代戦略技術実用化開発助成事業」による実用化補助を受けて開発を推進しています。青山学院大学と当社で、更なる高性能化に向け引き続き研究開発を行います。同時に、製造と販売は当社グループ会社の神鋼建材工業!)Mが行い、有料道路や駐車場などのほか、今後普及が予想される「自動料金収受(ETC)システム、専用狭域通信(DSRC)利用サービス」関連での採用を目指します。


<ご参考>
(1) 連続製造プロセス図


(2) 酸化鉄写真


(3) 製品写真 (ゴムシート型電波吸収体)


各種電波吸収体


(4) 電波乱反射による誤作動イメージ図

 
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