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2001年11月15日
新還元溶解製鉄法「ITmk3」の商品化について 〜ミネソタ州政府他と共同でデモンストレーション・プラントを建設〜
当社はこのほど、次世代の新製鉄法「ITmk3(アイティー マークスリー)=Iron
making Technology Mark Three」の商品化を推進するにあたり、米国ミネソタ州政府及び北米最大の鉱山会社「クリーブランド クリフス社」、大手電炉メーカー「スティール ダイナミックス社」等が出資する「メサビ ナゲット社」との間で商品化に関する覚書(MOU)を締結致しました。覚書締結により、デモンストレーションプラントの建設・実験操業が具体化すると共に、商業プラント1号機を視野に入れたプロジェクトが本格的に始動することになります。 「ITmk3」プロセスとは、当社が開発を進めてきた次世代の新製鉄法で、従来の高炉法による製鉄(第一世代)、天然ガスをベースとしたミドレックス法等の直接還元製鉄(第二世代)に続く第三世代の製鉄法と位置付けています。粉鉱石と粉炭を造粒した上で回転炉床炉(RHF)に投入し、10分程度という非常に短時間でRHF内部にて還元・溶融・スラグ分離を一気に行い、粒鉄を製造する画期的なプロセスです。 当社では、1996年から「ITmk3」の研究開発を開始し、1999年10月には当社加古川製鉄所に設置した年産3,000?規模のパイロットプラントにおいて、連続操業による粒鉄の製造に成功し、2000年12月に実験を完了しました。その後、更なるスケールアップを伴う実証を行うにあたり、共同研究パートナーを募ってきました。その結果、@ミネソタ州に多数立地する鉄鉱山の競争力を向上させ、産業の振興と雇用を創出させようとする州政府、A鉄鉱石を山元にて還元し粒鉄にすることにより高付加価値化し、市場に提供しようとする鉱山会社、B良質の鉄源を安価かつ安定的に確保しようとする電気炉メーカー、C本プロセスの商品化を目的とする当社、それぞれの意向が合致し、今回の覚書締結に至りました。 本プロジェクトでは、年内を目処に正式契約を締結した後、2002年初頭から米国ミネソタ州のクリーブランド クリフス社所有のノースショア鉱山に年間25,000トン規模のデモンストレーションプラントの建設を開始、性能確認後すみやかに商業機の建設を開始する見込みです。商業運転の開始は2005年中頃を予定しています。デモンストレーションプラントの建設及び操業コスト約2,200万ドルは、州政府の「21世紀ファンド」などに加え、当社を含めた民間事業者が出資若しくは融資する予定です。 本プロセスは、当社が次世代製鉄法として開発してきましたが、商品化に成功した際には、鉄鋼メーカーは勿論のこと、鉱山会社にも導入のメリットが生じることが期待できます。すなわち、鉱山会社にとっては、@少ない投資で、銑鉄の代替品である粒鉄を製造し、製品を高付加価値化できる、A高炉メーカーのみならず電炉メーカーにも製品供給が可能になり、マーケット拡大に繋がる、B原料として従来は販売が困難であった低品位鉱を使用出来る可能性があり、資源の有効活用が望める、C粒鉄という不純物の少ない製品を出荷する為、鉄鉱石の出荷に比べ輸送コストの低減が可能となる、などの利点が生まれることになります。 本プロセスの技術確立によって、今後、鉄鋼メーカーのみならず鉱山業界など幅広い市場にも積極展開を図れるものと期待しております。 以 上 (ご参考) 【ミネソタ州政府】 ミネソタ州通商経済開発庁及びその傘下の州政府機関(鉄鉱石鉱区資源復興局)を指す。メサビ鉱区の経済復興を目指して活動。本件が地域の長期的な雇用開発と経済復興に貢献する点に着目し、州政府からの投融資を実行する。 【21世紀ファンド】 ミネソタ州の鉱山業の競争力強化を助成する為に1998年に設立された基金。州の一般会計による州債60百万ドルと地域の鉱山会社に課せられる税金20百万ドルの合計80百万ドルを原資としている。 【メサビ ナゲット社】 本プロジェクトの推進母体となる事業会社。本年9月に設立。州政府からの出資及び融資とクリーブランド クリフス社、スティール ダイナミックス社及び当社からの出資を受けて、本プロジェクトを推進する。 代表者: Larry J. Lehtinen (ラリー・J・レーティネン) 【クリーブランド クリフス社】 オハイオ州を本拠とする鉱山会社。ミネソタ州に所有する鉱区で年2,000万トンの鉄鉱石及びペレットを生産。メサビ鉱区内に所有する自社鉱山「ノースショア マイニング社」の鉱石の付加価値を高めることを目的として、プロジェクトに参加。本プロジェクトでは、敷地・建屋の提供、原料・ユーティリティの供給に加えて、運転も請け負う。 代表者: John S. Brinzo (Chairman & CEO) (ジョン・S・ブリンツォ) 売上高: 430百万ドル(2000年) 【スティール ダイナミックス社】 インディアナ州を本拠とする電炉メーカー。2000年の生産量は約200万トン。鉄源の安定供給元を確保する目的から参加し、製品粒鉄を引き取る。 代表者: Keith Busse (President & CEO) (キース・バッシー) 売上高: 693百万ドル(2000年) 「ITmk3」について
【背景】 1980年代以降、電炉による製鋼法が急速に成長しましたが、1990年代に入ると、主原料である良質スクラップの不足が顕在化したことで、高級スクラップ代替としての還元鉄が注目されるようになりました。当初、直接還元製鉄では、塊鉱石及びペレットを天然ガスを利用して還元する方式が主流(現在でも当社の米国子会社であるMidrex社の技術が世界の直接還元鉄生産の約70%を占めている)でした。その後、立地の多様化を目指して、資源として豊富な粉鉱石及び還元剤としての石炭の利用を可能にするプロセス(当社とMidrex社による「FASTMET法」等)が考案される等、製鉄法が急速に多様化しつつあります。 【ITmk3プロセスの概要】 「ITmk3」プロセスは、ある条件下で粉鉱石と粉炭を混合した原料を1300℃から1450℃に加熱すると、原料の還元・溶融・スラグ分離が約10分という非常に短い時間内に行われるという画期的な反応メカニズムを利用しています。プロセスの構成は以下の通りです。 @原料である粉鉱石と粉炭を混合し、粒状(ペレット)にする。 Aペレットを回転炉床炉(RHF)と呼ばれる炉の床の部分が水平回転するドーナツ型の炉に装入する。RHF内部で床が1周する間に1300℃から1450℃まで加熱し、鉄分(粒鉄)とスラグ分を分離させた後、RHFより排出する。 B製品は銑鉄と同等の品位(鉄分純度)を持つ粒鉄となる。 【ITmk3プロセスの特色/他プロセスと比較しての優位点】 @1段の反応機器で、高品位の粒鉄をつくることが可能。また、プロセスがシンプルになり、操業も容易で柔軟性に富む。コークス炉、焼結機などが不要な為、設備投資コストが小さくなる。 A低温(1,300〜1,450℃)且つ、短時間(10分以内)で原料の還元・溶融・スラグ分離迄の反応が完了する。また、エネルギー効率に優れ、高炉に比しCO2排出量を20%低減することが可能。溶融FeOの生成を抑制することにより、炉内耐火物の損耗を防止し、操業コスト低減と安定操業が可能。 B製品粒鉄は、輸送が容易である上、製鋼過程において溶解性に富み、歩留まり・熱原単位の向上が期待できる。また、炭素含有量が制御可能であることから、ユーザーの希望に応じることが可能。 C様々な品位の鉄鉱石及び一般炭などの石炭が使用可能で、原料の柔軟性に富む。 以 上 |