橋梁向け『ヒズミレス』(残留応力制御型厚鋼板)の本格販売開始について


2003年4月15日
       

橋梁向け『ヒズミレス』(残留応力制御型厚鋼板)の本格販売開始について


 当社はこのほど、残留応力制御型厚鋼板『ヒズミレス』の橋梁分野への本格販売を開始致しました。当社の『ヒズミレス』は、2001年に業界で初めて商品化し、販売開始時より造船分野への採用が急拡大している当社オリジナルの商品です。
 このたび、一層厳しい寸法管理を求められる橋梁分野で『ヒズミレス』の特性を高く評価いただき、国内3件に初めて採用されました。これを皮切りに、本鋼板を橋梁分野にも本格的に拡販していき、業界のスタンダードをめざしていきます。

<残留応力制御型厚鋼板『ヒズミレス』とは>
 従来の高張力鋼板の残留応力(加工後に、歪みや変形などを発生させる、鋼板に内在する力)を制御・低減した高張力鋼板です。本鋼板を使うことでガス切断時や溶接時に生じる変形のばらつきを安定化し、工作精度を高めることができます。

<橋梁分野での『ヒズミレス』採用ニーズ>
 橋梁は、一般的に複数のブロックを架設現場でつなぎ合わせて組み立てます。これら橋梁ブロックは、現場の地形に合わせて形状が規定されていることから、高度な寸法管理が要求されます。従来の鋼板では、ガス切断や溶接の際、残留応力の開放による歪みや変形にばらつきが生じていました。このばらつき程度によっては、溶接後に寸法の修正が余儀なくされるケースが少なくありませんでした。また、工作条件によっては、変形量のばらつきを見越して最終段階での修正を前提とした工程が組まれることもあり、橋梁ファブリケーターにとってこうした修正作業を減らすことが製造効率化への課題となっていました。このようなニーズへの解決策として、当社の『ヒズミレス』を使用いただくことにより、ブロック製作時の寸法ばらつきやガス切断後の変形ばらつきが従来の半分以下に低減することが確認され、国内3件での採用に至りました。
 また、この『ヒズミレス』採用を前提とすることによって、新たな製造工程や製造条件によるコストダウンや自動化なども期待されます。

<橋梁分野での販売目標>
 当社では、本鋼板がユーザーの生産性向上に大きく貢献するものとして、今後積極的に営業活動を行ない、橋梁分野では当面は年間約3,000トン以上の販売を目指しています。
 尚、造船分野では2001年の採用開始以来多くのユーザーより高い評価を頂き、累積で約35,000トン以上の販売実績を有しております。


 今後は、引き続き厳しい工作精度や安全性が要求される分野(例えば建築・タンク・化工機・建設機械など)で、材質ばらつきが少なく、ユーザーにとって更に使い勝手のよい新商品の開発を推進して行く予定です。

以 上


(補足資料)

<『ヒズミレス』製造上の特長>
 従来の高張力鋼板では、製造プロセスにおける加熱・圧延・加速冷却の各工程において鋼板内の温度分布がばらつき、これによって不均一な残留応力分布が生じる場合がありました。当社では、製造の全工程を通して残留応力を制御する以下の3点の技術を構築することで残留応力による変形のばらつきを安定化し、工作精度を高める鋼板の製造を実現しました。


 3つの技術:
@ 加熱・圧延・加速冷却の各工程で、鋼板温度の不均一な分布を極限まで低減する制御技術。
A 加速冷却後の残留応力を予測・評価するシステム。
B 予測・評価した残留応力を、世界最大の多機能強力レベラー(矯正荷重能力5,000トン)により制御・低減する技術。


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