2003年7月25日 株式会社神戸製鋼所
ワースレープロジェクト関連株式売却の件
株式会社神戸製鋼所(以下神戸製鋼)と日商岩井株式会社(以下日商岩井)及び伊藤忠商事株式会社(以下伊藤忠)は、豪州ワースレーアルミナプロジェクトの共同投資会社であるKobe Alumina Associates (Australia) Pty Ltd.(以下KAA社)の株式に関し、神戸製鋼の所有する株式を両社に均等に売却することで合意いたしました。
1. |
所有全株式の均等売却 |
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KAA社は神戸製鋼、日商岩井及び伊藤忠の共同出資会社でBHPビリトンと西豪州パース近郊にてボーキサイト採掘・アルミナ精製事業(ワースレープロジェクト)を行っており事業の10%の権益を保有しています。 |
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現在3社のKAA社の株式所有シェアは神戸製鋼30%、日商岩井35%、伊藤忠35%ですが、今回神戸製鋼は30%の全株式を売却しこの結果売却後のKAA社のシェアは日商岩井50%、伊藤忠50%となります。 |
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なお神戸製鋼は昨年3月にKAA社の所有株式の10%を伊藤忠に売却しており、今回残存の株式を両社に売却することによりプロジェクトから完全撤退いたします。 |
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2. |
譲渡の意義 |
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神戸製鋼のアルミ・銅カンパニーはアルミ圧延事業への資源集約を進めており、既に昨年、本KAA社株式の一部伊藤忠への売却の他、オーストラリア クイーンズランド州のボインプロジェクトの権益をコマルコ社に、またカナダ ケベック州アロエッテプロジェクトの権益をケベック州の投資公社であるSGF社に、それぞれ売却いたしました。今回の売却により神戸製鋼は所有していた海外の主要なアルミ資源権益の大半を売却したことになります。(本件売却完了後の神戸製鋼のアルミ権益はベナルムとアルブラスの2つのプロジェクトとなります。) 神戸製鋼の全社で見た場合、外部負債の圧縮にも寄与しています。 |
<神戸製鋼のアルミ資源権益売却実績>
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事業名 |
場所 |
年産能力 |
プロジェクト出資比率 |
売却金額・時期 |
アルミナ精製 |
ワースレー |
西豪州 |
320万t |
4%⇒ 3%へ |
未公表
02年3月 |
アルミ地金製錬 |
アロエッテ |
カナダ |
24万t |
13.33%⇒ 0%へ |
100.5百万米ドル
02年7月 |
〃 |
ボイン*注1) |
東豪州 |
27万t |
9.5 %⇒ 0%へ |
78.5百万米ドル
02年7月 |
アルミナ精錬 |
ワースレー |
西豪州 |
310万t |
3%⇒ 0%へ |
未公表
03年9月予定 |
*注1)ボインのアルミ地金製錬は、年産能力・出資比率ともに、第1、2系列のみ。 以上
本プロジェクトは西豪州におけるボーキサイト採掘からアルミナ精製までの一貫事業。 1980年に国際コンソーシアムを結成、1984年に能力100万トンで稼動を開始した。 その後、毎年部分的拡張と操業効率化を進め、1994年には年間170万トン強まで生産向上、97年10月からは年産310万トンへ向けて設備拡張工事を実施、2000年5月に完成した。 現在の生産は320万トン規模に達している。東豪州クイーンズランド州にあるコマルコ社他所有のクイーンズランドアルミナ工場、及び西豪州ワースレーに近接するアルコア社のピンジャラ工場と並ぶ世界最大規模のアルミナ工場。またワースレーは、自社でボーキサイト鉱山を保有しており、世界で最も操業費が低い優良アルミナプロジェクトの一つになっている。
摘 要 |
記 事 |
(1)立地 |
(2)稼動能力 |
(3)操業開始 |
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(4)ボーキサイト |
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(5)参加者 |
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(6)KAA社資本金 |
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豪州、西オーストラリア州 バンバリー近郊 |
年産 320万トン |
稼動開始 1984年 |
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西豪州サドルバック地区自社鉱区 |
確定・推定埋蔵量それぞれ3.2億トン、2.3億トン |
合計 5.5億トン (50年分) |
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英国 BHP−Billiton 社 86% |
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Kobe Alumina Associates(Australia)Pty.Ltd.(KAA社) 10% |
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従来のKAA社の株主構成は神戸製鋼30%、日商岩井35%、伊藤忠 |
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35%。今回異動により、日商岩井50%、伊藤忠50%となる。 |
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日商岩井アルミナ 4% |
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(NIA) NIA社は日商岩井グループが100%保有。 |
A$70,800,000 |
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(参考:アルミナについて) アルミナはボーキサイト(鉱石)を精製して作られる白い粉末。 アルミナを電解(製錬)して金属アルミニウム(アルミ新地金又は単に地金)を作る。 日本ではエネルギーコストが高く、アルミ地金はほぼ100%輸入に頼っている。 安定輸入ソース確保のため、現在、日本としては年間需要量の約半分を占める100万トン以上のアルミ地金の海外生産拠点を確保してきている。 一方、ボーキサイト・アルミナ部分はアルミ地金よりさらに上流に位置する大元の資源であり、鉱区権確保・大型開発が決め手になるため、欧米の大手企業の寡占となっている。 安定資源確保の観点から言えば、日本としてもこの最上流の資源開発を積極的に進めたいところであるが、日本としてボーキサイトからの一貫プロジェクトで参画しているのは現状このワースレーのみとなっている。 |