神戸製鋼グループの特殊鋼事業の再編強化について

２０００年４月６日
株式会社神戸製鋼所
日本高周波鋼業株式会社

株式会社神戸製鋼所（以下神戸製鋼）と日本高周波鋼業株式会社（以下日本高周波）は、
両社がそれぞれ開催した本日の取締役会において、特殊鋼事業の再編強化のために神戸製
鋼が日本高周波による第三者割当増資を単独で引受けることを決議いたしました。これに
より神戸製鋼の持株比率は従来の30.6%から51.0%となり、日本高周波は神戸製鋼の子会社
となります。
加えて、日本高周波の主力特殊鋼製品である軸受鋼についても、その販売業務を神戸製
鋼へ移管するとともに、日本高周波で行っていた上工程の生産についても神戸製鋼へ移管
することとなりました。
神戸製鋼と日本高周波とは、これまで永年にわたり特殊鋼事業において提携・協力関係
を構築していますが、今回の施策は神戸製鋼グループにとっての戦略品種をより一層強化
する目的で実施するもので、まさに特殊鋼分野への事業の集中と位置付けています。

日本高周波では外部環境の悪化と競争の激化により、ここ数年厳しい事業運営を余儀な
くされていました。こうした状況を打開するために同社では、早期退職の実施や徹底した
コストダウンなどを骨子とした「経営改善計画」を1998年11月に策定し、その後、要
員・組織・財務のリストラを全社一丸となって推進してきました。その結果、1999年度下
期までに体質強化を完了し、目標であった経常黒字化も達成できる見通しであります。
日本高周波の徹底したリストラによる黒字体質の確立を出発点として、神戸製鋼グルー
プ全体の特殊鋼事業の拡大、発展、そして収益力の向上を図っていくためには、日本高周
波の子会社化による関係強化と軸受鋼の製販一体となるための事業再編が必要と判断した
ものです。さらに日本高周波では、2000年度から新たな「経営再編計画」をスタートさせ、
高度な技術力を武器とした特殊鋼メーカーとして収益力の強化に取り組んでいく考えです。

【I　第三者割当増資の実施について】
①新株式発行要領
(1)発行株式総数及び額面　　　43,200,000株　　額面50円
(2)発行価格　　　　　　　　　1株につき　90円
(3)発行価格の総額　　　　　　3,888,000,000円
(4)資本組入額　　　　　　　　1株につき　50円
(5)申込期日　　　　　　　　　平成12年4月24日
(6)払込期日　　　　　　　　　平成12年4月25日
(7)割当数及び株式数　　　　　全株を神戸製鋼へ割り当てる

②今回の増資による発行済株式総数の推移
(1)現在の発行済株式総数　　　103,676,174株
（神戸製鋼の現在の所有株式総数31,753,000株　発行済株式総数比30.6%）
(2)増資後の発行済株式総数　　146,876,174株
（神戸製鋼の増資後の所有株式総数74,953,000株　増資後発行済株式総数比51.0％）

【II　軸受鋼事業体制の再編について】
軸受鋼（棒鋼・線材・鋼線）は日本高周波の売り上げ比率の3割以上を占める主力製品
ですが、主要需要業界である自動車・機械業界の国内需要の不振などにより日本全国の生
産水準は低迷しています。加えて、高炉メーカーが当市場に本格参入したことで競争が激
化しています。

こうした状況をふまえ、本年7月をめどに製販一体となった顧客に対する迅速な対応と
営業強化を目的として、日本高周波の軸受鋼販売業務を神戸製鋼へ移管します。両社がこ
れまで独自で行っていた営業部門の一体化による効率化と製造・技術・販売の連携強化が
実現し、ひいては顧客満足度の向上につながるものと確信しています。なお、販売業務の
移管に伴い、神戸製鋼は日本高周波より軸受鋼営業要員を受け入れ、専属営業部を組織す
る予定です。

また、グループトータルとしてのコスト競争力強化のために軸受鋼の製鋼－分塊－圧延
までの上工程の生産移管を1994年10月以降、顧客の了解を得ながら段階的に進めてきま
したが、本年10月をめどに特殊なものを除き全面的に神戸製鋼へ移管します。この結果、
神戸製鉄所の最新鋭の第7線材工場を活用した圧延技術と日本高周波の伸線加工技術の融
合が完成し、神戸製鋼グループとしての最適生産体制が確立します。なお、日本高周波で
はこれまで培った高い技術力に基づいた伸線や熱処理などの軸受鋼の二次加工分野を引き
続き担当します。

【III　日本高周波の経営再編計画について】
　経営再編計画では、安定した収益基盤の確立のために「特殊鋼事業の再編」「鋳鉄製品
の販売業務移管」「金型・工具本部への再編」を実施するほか、総コストの削減や財務体
質の強化をさらに加速します。その結果、日本高周波は特殊鋼事業に集中特化して軸受鋼
の二次加工に加え、高級工具鋼、特殊合金、特殊ステンレスの生産・販売を拡大し、日本
高周波としての勝ち残りを図ります。

神戸製鋼では各事業部門の徹底した自立を図るべく、昨年4月より社内カンパニー制を
実施すると共に、グループ全体としての資産効率の向上とキャッシュフローの最大化を目
指しております。このなかで一部事業の売却、或いは、完全分社化など、「事業の選択と
集中」により、中核事業に経営資源を集中する"事業の再構築"を進めているさなかにあ
ります。その意味において今回の特殊鋼事業の再編は神戸製鋼グループが優位性をいかん
なく発揮しているコアビジネスへの集中の一環といえます。

以　　上

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