| 皆さん入社おめでとう。社長の水越です。
今年は、この会場におられる85名の皆さんと、各事業所・工場でこの放送を聞いておられる113名の皆さん、総勢198名の新しい仲間を迎える事が出来、大変喜ばしく思っております。
皆さんは厳しい就職戦線を乗り越え、様々な思いを胸に神戸製鋼所に自らの将来を託すことを決められました。
我々経営陣一同、その重責をひしひしと実感すると共に、皆さんが今後大きく飛躍されることを強く期待しております。
さて、日本経済は、容易ならざる局面にあり、これまでの緩やかな回復基調から一変して、デフレ圧力を伴いながら、減速感を強めつつあると考えられます。
この様な情勢の下、企業間の競争は、世界規模で益々熾烈を極めており、日本の多くの企業が、生き残りをかけ、事業構造の変革に必死で取り組んでおります。
当社の場合も、これまで一部事業の売却や完全分社化等、「事業の選択と集中」により、中核事業に経営資源を集中する"事業の再構築"を鋭意進めてまいりました。
収益性と資本効率を高め、経営基盤を磐石なものにする為に、リストラクチャリングを断行してきた訳であります。
皆さんには、会社が社運をかけ、変革に取り組んでいるのだということを理解して頂き、前向きな気持ちで、新たなスタートを切って頂きたいと願っております。
さて、ここで会社の先輩として、皆さんに社会人として是非心掛けて頂きたい事を三つ、思いつくままに申し上げます。
第一に、「求めよ、さらば与えられん」聖書にこの言葉があります。何事にあっても、人は能動的、積極的に働きかける気概がなければ、事は成し遂げられないという意味です。上役は部下に働く場までは提供出来ます。
しかし、仕事がどうすればうまく出来るかと考える気力のない部下に対して、それ以上のことをしてやることは出来ません。
皆さんはこれから社会人として幾多の困難に遭遇されると思います。例えば、仕事のことで悩んだり、不慣れな環境に不安を感じたり、人との付き合いの中で戸惑いを覚えることもあるかも知れません。その様な時に、先程の言葉を思い出してもらいたいのです。
「求めよ、さらば与えられん」どの様な難局であれ、これをブレークスルーする為に、積極的に取り組めばきっと乗り越えることが出来るはずです。決して困難から逃げるな、ということです。そして、克服した暁には、努力の代償として達成感や充実感を味わうことが出来るはずです。
第二に、仕事のやり方についての忠告であります。
仕事をする上での最初の困難は、課題にとりかかる初めのところにあります。
人はいろいろ考えます。この仕事は難しいかどうか、うまくやるにはどうすべきか、と考え計画を練ったりもする。
そういう準備などにグズグズと時間を費やしているとかえって仕事にとりかかるのが難しくなったりするものです。ですから、「とにかくやれ」「すぐに始めろ」「グズグズ先延ばしにするな」ということです。気分が乗ったり、感興が湧いたりするのは、やる事の中でしか起こらないからです。文章を書くなら、とにかくペンを執って最初の一行を書くということです。
もう一点最後に申し上げたい事は、読書や人との付き合いを通じて「自己研鑚」に精励して欲しいということです。
皆さんは、学力に関しては一定レベル以上のものを持っておられる訳ですが、これから社会人として通用する為には、決して一つの特定分野に限定することなく、様々なジャンルの書物に接し、自分なりにあれこれと思索を巡らせて欲しいのです。なぜならば、幅広く知識を蓄積することにより、より高度な見識や豊かな知恵、深い洞察力が養われ、レベルの高い仕事にも対処できる能力を身に付けることが出来るからです。「深い穴を掘ろうと思えば、広く掘り始めなければならぬ」ということです。「継続は力なり」というが確かにそうです。
忙しい中で仕事と読書を工夫し、両立させるように心掛けてきた人と、そうでない人とは明らかな差が出てこないわけがありません。
更には、常日頃から読書に勤しんでいる先輩諸氏や同僚と交わり、よくコミュニケーションを図って欲しいと思います。
論語に「己に如かざる者を友とする勿れ」とあります。
「己に如かざる者を友とする勿れ」文字通りには、自分より優れた人と交われ、という意味です。或いは、友達から「あいつは俺より優れている」と思わせるような人間になるよう努力せよ、と解釈しても良いでしょう。
優れた友人と深く議論して、相手が望んでいる話題について語らうことによって、自らを鍛錬することになるのです。即ち、人に語ることによって、自らの思想が深まり、毅然とした人格を形成することになる訳です。
皆さん一人一人の地道な努力が、組織力となり、延いては会社全体のレベルアップに繋がるということを心に刻み、「自己研鑚」に励んで頂きたいと思います。
また、各事業所・工場でこの放送を聞いておられる皆さんには、当社の生産現場の技術力の維持・向上の為に、「高度な技能を継承する」という極めて重大な使命を担って頂きます。先輩諸氏が永年に亙って培ってきた、製造業の生命線とも言うべき技術力や生産ノウハウを継承して頂く訳です。このことを肝に銘じて専心努力して頂きたいと思っております。
最後になりましたが、神戸製鋼所が、21世紀に、飛躍を遂げる為には、全社員一丸となった努力が不可欠です。
その為にも、是非、皆さんの若い力を貸して頂きたいのです。
我々と共に、神戸製鋼所をより良い会社にしていこうではありませんか。
結びに、新入社員の皆さんが健康と安全に留意され、社会人として充実した生活を送られることを切望し、輝かしい未来と実り多い人生を祈念して、私からの挨拶と致します。
以上 |