クインタス社製HIP及びSMF装置の導入・運転開始について

~お客様サポートの強化∼

2022年7月28日

株式会社神戸製鋼所

当社はこの度、高砂製作所(兵庫県高砂市)内のテクニカルセンターに、子会社のQuintus Technologies AB※1(以下、クインタス社)が製造する熱間等方圧加圧装置(HIP装置:Hot Isostatic Pressing )、及び金属薄板の成形を行うプレス装置(SMF装置:Sheet Metal Forming)を導入し、運転を開始しました。これにより、従来はお客様が該当装置の導入を検討される際、スウェーデンのクインタス社に試験品(サンプル)を送付し、現地でサンプルテスト※2を実施する必要がありましたが、今後は国内で実施可能となり、より迅速に多くのお客様の装置導入検討にあたってのテストニーズに応える体制が整いました。

HIP装置について

HIP装置を含むIP装置(Isostatic Pressing)とは、金属やセラミック、カーボンなどの素材を高圧・高温又は常温環境下において、等方圧で加圧焼結または成形する事で、均質性、強度、耐久性などに優れた高品質な製品の製造を可能とするものです。現在では発電用タービンブレード、半導体関連素材、航空機部品などの高機能製品に幅広く適用されており、今後も金属積層造形品など、様々な分野での活用が見込まれます。とりわけ、クインタス社製HIP装置では、特許を取得済みの急速冷却機能を有しており、HIP処理と連続して部品の熱処理を行うことも可能で、HIPと後処理の組み合わせにより高い品質を維持しながら費用対効果に優れた生産が可能です。本装置の特長を用いて、既存の用途のみならず新しい用途でのHIPの活用や新しい材料の開発が期待できます。

SMF装置について

SMF装置は金属薄板の成形を行う装置で、柔軟なゴム製ダイアフラムを介した高い液圧により成形します。金型は下型のみを使用するため、金型コストの削減、リードタイムの短縮、迅速な試作、部品設計変更後の金型調整の簡略化などが可能になります。下型の形状に沿って高い液圧が均一に加わることにより、幅広い種類の材料や板厚であっても、アンダーカットを含む複雑な形状や寸法精度の高い高品質の部品を成形できます。また、処理工程にトリミングを加えることも可能です。これらの特長から、SMF装置は様々な用途に使用され、高品質な板金部品の多品種少量生産に最適な技術として注目を浴びています。

また、先日当社高砂製作所において、両装置の本格稼働を前にお客様を招待し、見学会を実施いたしました。見学会では両装置の技術に関するセミナーに加え、装置を実際に稼働させてのデモンストレーションを実施し、参加頂いたお客様からも好評を頂き、個別相談やサンプル試作実施の要望も頂きました。

今後は両装置を活用して、お客様からの見学や試作サンプル検証の要望に広くお応えするなどのお客様サポートを強化し、お客様の抱える課題に対するソリューションを提供していきます。

また、引き続きクインタス社と連携を強化し、お客様へのサービス向上を通じて、社会課題の解決に挑み続けます。

  • ※1:クインタス社
    当社が2017年4月に買収し、完全子会社とした。IP装置における世界トップメーカーでありIP装置の分野では、今後伸張が期待される航空宇宙分野を中心に、欧州・米国で圧倒的なプレゼンスを発揮している。媒体にガスを使用するHIP装置に加え、高圧の液圧を用いて金属薄板の成形を行うSMF装置についても、非常に高い技術とシェアを有している。当社は買収して以降、日本でのクインタス社製装置の販売代理店となり、営業面での連携を強化してきた。

    ※2:サンプルテスト
    装置を購入頂く前に、要望される性能が当社装置で達成できるのかを確認するテストの事。装置選定の際の重要なテストであり、通常、複数回実施される。

ご参考

クインタス社製HIP装置外観

クインタス社製HIP装置外観

クインタス社製SMF装置外観

クインタス社製SMF装置外観

HIP装置見学会の模様

HIP装置見学会の模様

SMF装置見学会の模様

SMF装置見学会の模様

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