2000年9月20日

 

イタリア/イタルセメンティグループ向けセメントプラント受注について

 

 当社はコンソーシアム形態にて、世界第5位のセメント生産量を誇るイタリアのイタルセメンティグループ向けに、同社発祥の工場であるカルスコ工場のプラント新設工事を受注し、このほど発効致しました。これにより、同工場既存の半湿式焼成設備(4系列)はNSPキルン(新型乾式焼成設備)方式1系列に転換され、更にその前後の付帯設備の改修も行われる事となります。受注金額は約50億円で、本年9月着工、2003年春に引渡し予定です。

 当社はこれまで約半世紀にわたり、アジア、中東地域を中心に大型新規工事から改修工事に至るまでセメントプラントを受注してまいりましたが、欧州向けの受注は本件が初めてとなります。又、これは日本のセメントプラントサプライヤーとしても、欧州で初めてのセメント・プラント受注となります。

 尚、本件は、難燃性燃料であるペットコーク対応の当社固有の新型DDプロセス(別添御参照)を採用した焼成技術が高い評価を受けた事に加え、欧州内での厳しい環境規制(排出NOx値、騒音値等に関する規制)に対する当社の技術対応力が高い評価を受けた事も大きな要因となっています。

 契約は、当社をリーダーとするシーメンス社(独)、FMコンストラクション社(伊)、日商岩井イタリア社との4社コンソーシアム形態をとっています。
尚、同コンソーシアムの受注範囲は原料ミル(原料粉砕設備)からNSPキルン(新型乾式焼成設備)、クリンカークーラー(半製品冷却設備)に至る迄の設計、機器製作・調達、輸送、据付工事、試運転です。この内、機械部門については、当社及びFMコンストラクション社、日商岩井イタリア社が請け負い、電器部門をシーメンス社が担当します。

 

契約概要は以下の通りです。

1)契約相手 :イタルセメンティグループ

本社 :ロンバルディア州ベルガモ

創立 :1864年

代表者:Giampiero Pesenti (CEO and Managing Director)

売上高:Lit 6,596,000,000,000

従業員数:18,086人

注)上記データは1999年現在のもの

事業内容: セメント、コンクリート並びに建設資材の製造等。

事業地域: イタリア、フランス、ベルギー等の欧州諸国、北米、中

近東、東南アジア。

2)プラントサイト :同社カルスコ工場(ミラノから東に約50km)

3)契約形態 :4社コンソーシアム(神戸製鋼所(日)/シーメンス(独)

/FMコンストラクション(伊)/日商岩井イタリア(伊)

4)受注範囲 :原料ミル(原料粉砕設備)からニューサスペンションプレヒ

ーター(NSP)キルン(原料焼成設備)、クリンカークーラー(半

製品冷却設備)に至る迄の設計/機器製作・調達/輸送/据

付工事/試運転(土建工事は客先手配)

5)生産能力 :3千6百トン/日(クリンカーベース)

6)予定引渡し時期:2003年春

 尚、イタルセメンティグループを含む欧米主要セメント会社[ラファージュ社(仏)、ホルダーバンク社(スイス)、ハイデルベルガー(独)等]は、近年世界各地にて企業買収、出資等、積極的に事業展開を図っており、各地にて代替燃料対応型の新規、及び改修プロジェクトを数多く計画しています。これらについても、今回、これらの会社の言わば本拠地である欧州域内でのプロジェクト受注に至った当社の高い技術力をバックに、積極的な受注活動を行っていく方針です。

以上

 

[New-DDプロセス]

神戸製鋼所が従来のDDプロセスを改良し、燃焼性と低公害性(低NOx)を向上させることで、工業廃棄物を含む種々の低品位の燃料への対応を可能にした画期的プロセスである。
既存のDDプロセスに比べ、炉内部の燃焼領域をより高温にし、燃料の燃焼時間を増加させると共に、ガスの混合性を向上させることで、難燃性の燃料にも対応可能となった。又、DD炉へ吹き込むクーラーからの高温なリサイクル空気を2分割することで、主燃焼域を還元雰囲気にすることが容易となった。これにより、キルンからのNOxを還元し、DD炉でのNOxの発生を抑えることで、結果としてプラントからのNOxの排出量の大幅削減が可能となった。

[(参考)DDプロセス]

Dual Combustion&Denitration furnace=二段燃焼、脱硝(低Nox)の工程を持つセメント製造プロセスであり、神戸製鋼所が日本セメント株式会社(現太平洋セメント株式会社)と共同開発した技術。セメントの製造には石灰石を乾燥-焼成する必要があるが、本プロセスは、二段燃焼による完全燃焼を図り、同時にガス中の窒素酸化物発生を極力抑えるようにしたもの。特徴は以下の3点。

① 構造が簡単、燃焼効率の高い安定操業が可能。従がって、燃料消費が少ない。

② 窒素酸化物の発生が少なく、低公害である。

③ 燃焼効率が高い為、未燃ガスが発生せず、装置機器の損4 傷の心配が無い。

 


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