2000年11月15日

新型アーク溶接ロボット「ARCMAN-SR」の受注活動の開始について

 当社はこのほど、厚板大型構造物向けの溶接ロボット「ARCMAN-SR」の受注活動を開始しました。販売価格は溶接電源を含む標準構成一式で460万円です。なお、納入開始は2001年3月中旬で、初年度は100台の販売を目指します。

 現在の建設機械、鉄骨・橋梁、産業機械をはじめとする厚板溶接の作業現場においては、溶接箇所数の80%前後(当社推定)にまでロボット化が浸透しています。また一方で、ロボット化が難しい複雑な溶接作業も依然として残されています。同時に、1980年代後半から1990年代初頭にかけてピークを迎えたロボット化から10年を経て、リプレース需要が高まりつつあります。このような状況下、現有スペースの中での設置が可能で、なおかつ、高い作業性をも実現できる溶接システム(※1)が求められています。
 当社は、こうしたニーズに対応する為、従来の大型ロボット「ARCMAN-XL」(アーム長さが900mm超)、中型ロボット「ARCMAN-RON」(アーム長さが600~900mm)に加えて、大きな動作範囲を持ちながらシステムをコンパクトに構成でき、且つ作業性を向上させることが出来る小型溶接ロボット「ARCMAN-SR」(アーム長さが600mm未満)を開発しました。これにより、多用途に対応し得る大・中・小型のメニューが全て揃ったことになります。

「ARCMAN-SR」は、「ARCMAN-RON」と比較して単に小型化しただけでなく、以下の4つの優れた特徴を有しています。

①天吊りシステムに最適な動作範囲

アームの動作角度が広く取れるシリアルリンク構造(※2)を採用することによって、ロボットを天吊りにした際の下方への動作範囲(動作断面積)を64%拡大しました。

②システムのコンパクト化に最適なサイズと重量

アームサイズ等の小型化により重量を半減させるとともに、作業現場内でのロボットの移動装置も70%程度に軽量化し、作業性を向上させることが可能です。

③スリムで強力な手首

従来機種並みの手首トルクを有しながら、手首の回転半径を従来型の74%にまで縮小しました。

④高精度アークセンサーの搭載を実現

上下動の少ない正確なウィービング(※3)によって、より高精度のアークセンサーを搭載することが可能となりました。従って、複雑な溶接箇所にも対応できます。

 当社は、厚板大型構造物の溶接分野において、業界トップクラスの高い評価を得てきました。また、ロボットのみならず、溶接材料、溶接電源、ポジショナ(作業姿勢を変える為の装置)等を含めた溶接システム全体を提供出来るメーカーとしても実績を残してきましたが、今回「ARCMAN-SR」をメニューに加えることによって、より幅広いユーザー・ニーズに応えられる体制が整いました。今後は、溶接ロボットシステムの提案力に加え、これらのシステムに最適な溶接材料を取り揃えることによって、更なる販売拡大を図って参ります。

以 上

[注釈]

※1.溶接システム

溶接する為に必要な装置(ロボット、ロボット移動装置、ワークポジショナ等)や、それらをコントロールする為の制御機器、パソコンによるオフライン教示の為のソフトや機器を含めて「溶接システム」というが、ここでは、ワークにアプローチする為のロボットとロボット移動装置の構成を言う。

※2.シリアルリンク構造

ロボットのアーム支持において、モータ等の駆動部品を各関節に直接配置した構造。駆動部品を各関節に直接配置することで、従来の平行リンクを用いた構造と比較して、部品点数が少なくでき、重量、コスト低減と、故障箇所が少ないため信頼性も向上する。また、平行リンクを用いたロボットのようにリンクが邪魔することがなく、関節角度を大きくとることが出来る。

※3.ウィービング

トーチを左右に振りながら溶接していく動きを指す。上下動が大きいと、左右の開先(溶接する板間の隙間)を検知する精度が低下することになる。

 

 

ARCMAN-SRの主な仕様]



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