2000年12月25日
(株)神戸製鋼所

150㌔級冷延高張力鋼板(超ハイテン)の開発について

 当社はこのほど、150㌔級の冷延高張力鋼板を開発し、加古川製鉄所で量産体制を整えました。同鋼板は、主にドアインパクトビームやバンパーのような衝突対応部品の軽量化への対応を目的とし、プレス部品としては世界最高の強度を有しています。既に複数のユーザー向けにサンプル出荷を行っています。

 従来、ドアインパクトビームには、パイプタイプとして、熱処理を施した150㌔級が、プレスタイプとして、100~130㌔級が上限強度として使われていました。また、バンパー用としては100㌔級が上限でした。しかしながら、従来材ではプレスした際に「遅れ破壊特性(*)」を満たしていないことから、更なる高強度化が求められていました。当社は独自の急速冷却設備を有した焼鈍設備を活用することによって、高強度化への対応を可能にしました。プレスタイプの150㌔級冷延高張力鋼板は、以下の独自の特徴を有しています。

 

①ドアインパクトビームでは、約15%の重量低減が可能となります(100㌔プレスタイプとの比較)。

②プレス加工が可能な為、世界最高の強度にもかかわらず、様々な形状への加工が可能となります。

③溶接性に配慮した低成分設計を行っています。

④ドアインパクトビームでは、一体成形も可能な為、部品点数の削減が可能となります。

 自動車の軽量化が急速に進む中、当社は「ハイテンの神戸製鋼」としての地位を更に強固にすべく、様々な技術開発を行っています。また、それらの技術を順次、海外にも移転していき、世界調達性の向上にも取り組んで参ります。

 

 

以 上

*遅れ破壊

 金属に静的に荷重を加えて、高温に長時間保持すると、応力と温度に降伏しないうちに破壊する現象があります。また、ごく少量の水素を含む鋼に定荷重を加えておくと、ある時間経過後、ぜい性破壊を起こします。これらの破壊現象を遅れ破壊と呼びます。

 


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