2001年6月26日

株式会社 神戸製鋼所

松下溶接システム株式会社

溶接材料に関する技術提携について

 株式会社神戸製鋼所(以下 神戸製鋼)及び松下溶接システム株式会社(以下 松下溶接システム)は、このほど銅めっきなしマグ溶接ソリッドワイヤに関する技術提携に合意しました。

<提携の概要>

①提携概要:

 銅めっきなしマグ溶接ソリッドワイヤを対象品種として両社は技術提携する。
具体的には、神戸製鋼が開発・生産・販売する環境対応型・高性能銅めっきなしマグ溶接ソリッドワイヤの製造技術を松下溶接システムに供与する。

②販  売:

 神戸製鋼、松下溶接システムが各々のブランドで独自に行う。
7月より松下溶接システムが Mシリーズワイヤとして本格的な販売を開始する。

 

銅めっきなしマグ溶接ソリッドワイヤ

神戸製鋼銘柄

松下溶接システム銘柄

SEA50S、

SEA50 等

YM51AM、

YM50MT 等


 アーク溶接材料の2000年度国内需要は約320千㌧/年であり、マグ溶接ソリッドワイヤ(注1)は、その内約50%を占め、全業種に亘って適用されている主力商品です。マグ溶接ソリッドワイヤを特に多用する鉄骨・自動車・産業機械業界においては、溶接作業環境の改善・溶接トータルコストの低減・溶接品質の向上を推進するとともに、ロボット施工を始めとした溶接の自動化・機械化を目指しています。

 これら市場の要求に応えるべく、神戸製鋼は永年の研究・開発の結果、銅めっきを行わず製造工程の環境負荷を大幅に改善し、品質的にも画期的なワイヤ送給性と抜群のアーク安定性を有した銅めっきなしマグ溶接ソリッドワイヤ(SEワイヤ)を開発しました。既に、限定した市場へ供給を開始し、極めて安定した送給性・アーク安定性・スパッタ発生の低減(注2)が図られ、半自動溶接・ロボット溶接の施工において高い評価を顧客から得ています。

 一方、 松下溶接システムは、従来よりグライドワイヤの名称で銅めっきなしマグ溶接ソリッドワイヤを一部の顧客に継続納入しており、販売面のノウハウを蓄積してきました。また、同社主力製品である溶接ロボットや溶接電源に溶接ワイヤを組み合わせて販売することで、顧客のニーズに総合的に対応してきました。しかし溶接ワイヤを主力製品として事業の柱のひとつとするためには、製品メニューの充実が必要と判断し、銅めっきなしマグ溶接ソリッドワイヤの環境対応性やロボット溶接で特に要求される高い送給性・アークの安定性に注目してきました。

 今回の技術提携により、神戸製鋼は幅広い顧客からのニーズに応え、SEワイヤの国内市場への普及促進を図ることが可能となります。松下溶接システムは、更なるワイヤ事業の強化を実現できます。さらに今後は両社のシナジー効果を追求し、各々の強味を最大限発揮して、ワイヤ市場での地位を不動のものとして行く考えです。

以上

(注1)マグ溶接ソリッドワイヤ

マグ溶接とは、溶接ワイヤと母材(溶接しようとする鋼材)との間に電圧をかけてアークを発生させ、その熱で母材とワイヤの両方が溶融して接合するアーク溶接法の一つであり、溶接部の性能を劣化させる窒素が溶融金属に侵入しないように、炭酸ガスなどのシールドガスをアークの周囲に流しながら溶接する。溶接ワイヤの中で鋼線のみで作られたものをソリッドワイヤという。

(注2)ワイヤ送給性・アーク安定性・スパッタ

溶接ワイヤは送給装置に設けられた送給モータによってコンジットケーブル・溶接トーチ内を連続的に通過する。この送給経路での抵抗やケーブル内での異物の詰り等によってワイヤがスムーズに送給されなくなると、アークが不安定となってスパッタ(溶接部周辺に飛散する溶融金属の粒)が多く発生するようになる。このため、高品質な溶接を行うためにはワイヤの送給性が安定していることが必須である。

 

 


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