1997年 熊本社長年頭の辞(社員向け)



                           1997年1月6日
                           株式会社 神戸製鋼所

           1997年 熊本社長年頭の辞

 社員の皆さん、明けましておめでとうございます。

 昨年は、震災からの復興に取り組む中で、計画した経営課題の達成が図られ
た年であり、本年3月末には累積損失を解消できる見込みとなりました。これ
もひとえに、社員全員が当社の置かれた現実を直視し、一丸となって業務に精
励された結果であり、ここに改めて感謝の意を表する次第であります。

 しかし一方では、当社が身を置く産業分野の景況は総じて低迷を続けてきま
した。取り分け、各事業分野とも価格面での厳しい対応を余儀なくされたこと
に因りまして、当社の収益は所期の目標を大きく下回る状況となっており、 
96年度の業績は、見直し予算で予定した利益の達成が微妙な段階にあります。
 本年につきましても、我が国経済は、依然としてバブル崩壊の影響を大きく
残し、国内産業の空洞化が進展する中で、民間需要主導型の景気上昇過程に移
行できるか、予断を許さない状況であり、景気の先行きは不透明な状態で推移
するものと思われます。

 こうした厳しい環境の下で新年を迎えた訳けでありますが、本年は当社にと
りまして、震災からの復旧・復興3ヶ年の仕上げの年であり、また同時に、新
たな社会・経済環境の構造変化に対応した、企業体質の変革を図り、21世紀
に強固な経営基盤を有する企業となる為の、基礎固めを行うスタートの年でも
あります。そして97年度は、特別施策の解除と復配の実現を図るという最大
の懸案をかかえる、極めて重要な年でもあります。
 これらの基本的認識に立ちまして、*97-*99中期経営計画を現在全社を
挙げて策定中であり、本年4月に完成を見る予定であります。当社のベースを
支えている既存の分野は更なる体質強化を、そして、将来を支えるべく新たな
飛躍を期する分野は、細心の注意を払いつつも、積極的に事業展開を図ってい
かねばなりません。既存の分野、飛躍を期する分野のいずれもが不可欠であり、
その役割に軽重はないのであります。本中期計画は、十分に議論を尽くして策
定する所存でありますが、何よりも重要なのは、皆さんの手により造り上げら
れたこれらの計画を、全員一致協力して、着実に実行していくことであります。

 そしてその為には、組織運営が極めて重要であります。そこで、改めて皆さ
んにお願いしたい。まず部長は、全社並びに事業部門の方針を踏まえ、自らの
部の役割を今一度確認し、部のビジョン・目標を作って下さい。そして、それ
を明快に示してください。各管理職は目標を達成する為の具体的なアクション
プランにブレークダウンするとともに、それぞれの部下を強力にリードしてい
って欲しいのであります。担当の皆さんは、それぞれの立場からどしどし提言
を行って下さい。この様に、メンバー全員が一つのビジョン・目標を明確に共
有し、常に建設的なコミュニケーションを相互に図ることが、私が申し上げる
『全員参加』の土台となるのです。
 また、具体的な活動に当たっては、人材・資金などの経営資源を効率的に活
用すべく、めりはりの効いた『生きた資源投入』に心掛け、従来のやり方に捕
われない目を常に持ち続けて頂きたいと思います。

 さて、私は、社長就任以来半年を経過し、当社が有する様々な力を今改めて
実感していることを、素直に申し上げたいと思います。これまで、幾つかの事
業所・研究所・支社・支店を訪問し、製造・販売の第一線で活躍され努力され
ている皆さんに数多く接することができました。また、昨年秋以降、製品別・
プロジェクト別・新規分野別にミーティングを二十数回行い、直接議論を重ね
て参りました。これらを通して私は、当社の技術力、人材の素晴らしさに大き
な手応えを感じ取りました。更には、お会いした客先からも、当社の技術力へ
の評価と期待の声を聞く機会が多々あり、我々のポテンシャリティーが、極め
て高いことを確信しました。過信は禁物でありますが、自らの力を良く認識し、
誇りと自信を持って、業務に邁進して頂きたいと思います。

 これから益々先の読みにくい社会・経済環境にあって、誤りなく針路を採っ
ていく為には、奇手奇策に拠ることなく、現実を正しく見据え、原点に還って、
確実に前進することが重要であります。九十余年の歴史におごることなく、し
かし、継続こそ力であるとの認識に立って、私自身、当社の存続をかけて粉骨
砕身、全力を傾注して業務を遂行する積りです。是非、この重要な時期、転換
の年に、当社の発展、即ち皆さんの幸福に向けて、心に新たな希望を持ち、皆
で一歩一歩着実に歩もうではありませんか。

 年頭に当り、本年が皆さんとご家族の方々にとりまして、良い年になります
ことを祈念し、私の挨拶と致します。

                                 以 上



<1997年 年始式について>
 日 時:1997年1月6日(月)午前10時~10時15分
 場 所:神戸製鋼  東京本社 コベルコビル
 出席者数:約150名
 当社の社内専用通信回線「コベルコネット」で、神戸本社をはじめとした全国   
 の支社・支店などに同時放送しました。



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