流動床式熱分解溶融炉の実証試験実施について
1997年8月6日 流動床式熱分解溶融炉の実証試験実施について 当社はこのほど、青森県中部上北広域事業組合(※)との間で、同組合敷地内の東北 町に都市ごみの次世代型処理システムである、『流動床式熱分解溶融炉』の実証プラ ントを建設して共同で実証試験を行うことに合意し、8月5日に協定書の調印を致し ました。 本計画の概要は以下の通りです。 ■ 目 的:実証試験を通して都市ごみの次世代型処理システムである流動床式 熱分解溶融炉の技術を確立し(厚生省の技術認定を取得し)、同技 術の普及拡販を図ることにより、都市ごみ処理における環境負荷低 減に貢献すること。 ■処理能力:30トン/日 ■建設場所:青森県上北郡東北町(中部上北広域事業組合敷地内) ■ 期 間:1997年8月~1999年6月 (※)中部上北広域事業組合 ■構成町村:七戸町、上北町、東北町、天間林村 ■管 理 者:七戸町長 福士 孝衛 ■事 務 局:青森県上北郡七戸町字蛇坂55-8 ■事業内容:清掃事業、医療・福祉関連事業、砕石事業 他 当社は、既に下水汚泥の焼却・溶融処理技術で熱分解溶融関連技術の実績を重ねて きたことに加え、都市ごみ処理分野においては、これまで20施設以上の流動床焼却 プラントの納入実績を有しています。また、飛灰を単独溶融するプラズマ溶融炉稼動 実績も保有しています。今回の流動床式熱分解溶融炉に関しては、昨年4月よりパイ ロットプラント(4■/日)にて、各種の基礎的な確認テストを行ってきました。他 方、厚生省の外郭団体の財団法人廃棄物研究財団の「次世代型ごみ焼却処理施設の開発 研究委員会」に参加し活動を実施しています。その結果、流動床式熱分解溶融炉の実用 化に目処をつけ、次のステップとして社内または社外での、実証プラントの建設につ いて検討してきました。 その中で本年初め、都市ごみの先進的な処理技術の導入検討に積極的であった、青 森県中部上北広域事業組合から、熱分解溶融炉の実証プラント建設誘致の提案があり ました。これはダイオキシンの新規制対応、焼却灰の溶融が可能な新しい都市ごみ処 理施設を建設する将来計画を背景としたもので、他方式を含む複数社が応募していま したが、当組合と実証プラント建設の諸条件について交渉を進めてきた結果、当社の 技術力が高く評価され、共同で実証試験を実施することに合意したものです。今回の 実証プラントは他社に比べて能力が大きいこと、当組合との共同研究であるため定常 的に試験用のごみの提供が受けられることから、より実機に近い条件での実証試験が 可能となります。 当社が開発した熱分解溶融炉は、都市ごみの流動床焼却技術と飛灰の溶融技術を応 用したもので、最大限の資源回収を可能にする環境負荷の低い、次世代型の焼却処理 技術です。流動床式の熱分解炉で都市ごみを0.3以下の低空気比で部分燃焼しなが ら、砂層温度を約500~600℃の比較的低温域に保ち、ごみの熱分解・ガス化を 行います。次に分解成分を旋回流型の溶融炉に送り、1200℃以上の高温で燃焼溶 融して灰分をスラグ化します。また、溶融炉から出る高温排ガスから熱回収し、高効 率の廃熱発電も可能にしています。 本プロセスの特長は以下の通りです。 ■ 1200℃以上の高温燃焼であること、ガス化により炉内での混合性が向上する ことにより、低空気比で完全燃焼が可能になる。従って、従来の焼却プロセスよ りも排ガス量が大幅に削減できる。 ■ 高温燃焼により、ダイオキシンなどの有害物質の抑制が可能となる。 ■ ごみの保有エネルギーで飛灰を溶融するため、基本的に外部エネルギーを必要と せず経済的である。 ■ 熱分解炉は低温かつ還元雰囲気であるため、未酸化の鉄分やアルミを回収するこ とができ、リサイクルに最適である。 ■ 飛灰は溶融スラグとして回収され、有効利用ができる。 ■ 溶融飛灰に含まれる重金属は非鉄精練用原料として分離回収され、山元還元が可 能となる。 なお、今回の実証試験が終了した段階で、厚生省の技術認定の確認を経て、同組合 と熱分解溶融炉の実炉建設について具体的な協議に入る予定です。 以 上
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