豪州・西オーストラリア州におけるワースリーアルミナプロジェクトの拡張計画について


                                                             1997年9月9日
                                                            (株)神戸製鋼所
                                                                日商岩井(株)
                                                              伊藤忠商事(株)
     
       豪州・西オーストラリア州におけるワースリーアルミナプロジェクトの
                               拡張計画について

 (株)神戸製鋼所(以下神鋼)、日商岩井(株)、伊藤忠商事(株)(以下伊藤忠)
の3社はこのほど、豪州・西オーストラリア州コーリー市において*1ワースリーアル
ミナプロジェクトの拡張計画に*1神戸アルミナ・アソシエイツ・オーストラリア社(以
下KAA社)及び*2日商岩井アルミナ社(以下NIA社)を通じて参加することを決
定しました。

 本プロジェクトへは、各参加者が参加比率に応じて、拡張費を負担しますが、KAA
社の参加比率は10%であり、所要資金は約80百万豪ドルになります。また、日本
グループとしてはNIA社4%を合わせ、14%となり、アルミナ年間引き取り量は
現在の24.2万トンから拡張後は43.4万トンとなります。

<拡張計画概要>
1. 立地         :豪州西オーストラリア州コーリー市 (パース市南方 180km)
2. 拡張能力     :122万トン/年 (拡張後310万トン/年)
3. 工事         :1997年10月着工、2000年半ば完工 
4. 拡張費       :約8億豪ドル (ボーキサイト採掘・輸送設備、アルミナ精製設備他)
5. 参加者       :レイノルズ・オーストラリア・アルミナ社  56%
                 ビリトン・オーストラリア社  30%
                 KAA社  10%
                 NIA社    4%
6. ボーキサイト  :サドルバック自社鉱区 (工場より東方50km)
7. アルミナ引取  :参加者が参加比率に応じ引き取り
8. 従業員数     :150人を増員 (拡張後1060人)

 ワースリーアルミナプロジェクトは、ボーキサイトの採掘からアルミナ精製までの一
貫事業で、1980年にアルミメジャーのレイノルズ社を中心としてコンソーシアム
が結成され、1984年に年間100万トン規模の生産量で操業を開始しました。現
在の能力は173万トンですが、1998年半ばまでに188万トンに増強する工事
を進めています。今回の拡張計画では、さらに310万トンまで大幅に増強する予定
です。拡張後の本工場は世界最大級の規模となります。また、生産能力の拡大だけで
なく、規模のメリットによる操業コストの低減、さらにはアルミナ品位の向上も可能
となります。

 豪州は、世界のボーキサイト、アルミナ生産のそれぞれ38%、30%のシェアを占
め、しかも、そのアルミナのほとんどを輸出しています。このため豪州は、アルミ原
料の最大の供給基地で、その役割は今後ますます大きくなると予想されます。国内ア
ルミ製錬をほとんど失った日本は、いくつかの海外製錬プロジェクトに参加し、年間
約100万トンの開発地金を保有するに至っていますが、ボーキサイト採掘からの一
貫アルミナ事業への参加は日本では本プロジェクトが唯一のものです。

 本プロジェクトへの日本側参加は神鋼アルミ圧延事業の原料対策の一環として行っ
てきました。現在、KAA社は引き取ったアルミナの一部を神鋼が参加するカナダの
アルエット製錬プロジェクトに供給し、残りは世界市場で販売しています。一方、神
鋼・日商岩井・伊藤忠は3社合計で*3アルミ製錬4プロジェクトに参加し、年間約9
万トンの開発地金を保有しています。これら9万トンについては、ボーキサイト採掘
からアルミ圧延の一貫化を間接的に果たしたのと同様の事となります。

ご参考
<アルミ新地金の製造工程>
 アルミ新地金は、採掘したボーキサイトを高温のカセイソーダ溶液に溶かしてアルミ
ナ成分を抽出、焼成(アルミナ精製)し、このアルミナを電解炉で電気分解(アルミ
製錬)して、製造されます。およそ、ボーキサイト5トンでアルミナ2トンが製造さ
れ、アルミナ2トンでアルミ新地金1トンが製造できます。
 1996年度の世界の生産量は、ボーキサイトが113百万トン、アルミナが45百
万トン(内、約4百万トンは非製錬用)、アルミ新地金は21百万トンです。

*1神戸アルミナ・アソシエイツ・オーストラリア社
1. 社名  :Kobe Alumina Associates (Australia) Pty,Ltd.
2. 社長  :鴨田 修 (神鋼 アルミ・銅事業本部 原料部長)
3. 設立  :1980年
4. 出資  :神鋼 40%、日商岩井 35%、伊藤忠 25%

*2日商岩井アルミナ社
1. 社名  :Nisso Iwai Alumina Pty,Ltd.
2. 社長  :五十嵐 昭次 (日商岩井 取締役非鉄金属本部長)
3. 設立  :1988年
4. 出資  :日商岩井 100%

*3現在の3社アルミ製錬プロジェクトと地金引き取り量  (千トン)
	                神鋼	日商岩井	伊藤忠	合計
アルエット(カナダ)	29	-	-	29
ボイン(豪州)	        25	-	-	25
ベナルム(ベネズエラ)	19	-	-	19
アルブラス(ブラジル)	6	3	8	17
合計	                79	3	8	90



                                                                        以上


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