直接還元製鉄法『FASTMET』の今後の展開について
1997年10月31日 株式会社 神戸製鋼所 直接還元製鉄法『FASTMET』の今後の展開について 当社はこのほど、Midrex社と共同で開発してきた直接還元製鉄法『FASTM ET』プロセスの事業化に向け、加古川製鉄所内のデモンストレーションプラントにお ける運転を、97年度末まで延長して行うことを決定致しました。本デモンストレーシ ョンプラントは95年11月以来運転を続けており、様々な条件下での実験を重ねた結 果、商業化のための基礎技術はすでに確立致しております。今後は、プロセスの更なる 経済性を追求するために、原単位と生産性の向上を目的として運転操業を継続するも のです。また、97年度末までには、商業プラントの建設に必要なエンジニアリングデ ータの収集も併せて行う予定です。 近年、各種の鉄源製造技術によるプラント建設が続いておりますが、『FASTME T』プロセスについては、加古川デモンストレーションプラントでの充分な実験を重ね た上で、経済的かつ信頼のできる完成度の高いプロセスとすべく開発を継続してきまし た。 さらに、これまでの運転操業を通じて、『FASTMET』の還元工程の後にメルタ ーを設置し溶銑・冷銑を製造する技術、及び製鉄所で発生する高炉ダスト・転炉ダスト を処理して再利用する技術についても、『FASTMET』プロセスの適合性が確認で き、利用範囲が広がったものと考えております。さらに、これらの技術についても商業 化に向けた開発を継続していきます。 (A)電炉用HBI製造プロセス 従来より開発実験を継続中の石炭を還元剤とするHBIの製造 鉄鉱石 × ⇒ ペレット ⇒ ロータリーハース炉で ⇒ 還元鉄の製造⇒ ホットブリケッター 石 炭 の直接還元 でのHBI製造 (B)メルターの組み合わせによる溶銑・冷銑製造プロセス 高温の還元鉄を効率的にメルター溶解し、直接電炉に投入することによって、電 炉の稼動率と製鋼工程の生産性向上を可能にすることを目的とする。そのため、 『FASTMET』設備に適したメルターを開発する。 鉄鉱石 × ⇒ペレット⇒ロータリーハース炉で⇒還元鉄を製造⇒メルターでの溶解⇒溶銑・冷銑とし 石 炭 の直接還元 と成分調整 て電炉へ投入 (C)高炉ダスト・転炉ダストからのHBI製造プロセス 高炉ダスト・転炉ダストを『FASTMET』プロセスで処理し、HBIを生産 できる技術を確立する。 高炉ダスト 転炉ダスト ⇒ ペレット ⇒ ロータリーハース炉で ⇒還元鉄を製造 ⇒ ホットブリケッター × の直接還元 でのHBI製造 石 炭 こうした開発実験を継続する一方で、95年以来三井物産と協力して検討中の米国ル イジアナ州におけるKM Iron計画については、プロセスの経済性向上を見極める作業 を継続しつつ、還元鉄市場の動向や競合技術の状況を分析しながら、実施時期ならびに 実施場所を含めて見直すことで合意しております。 <ご参考> (1)Midrex社の概要 (A) 社名:Midrex Corporation (B) 本社:米国 ノースカロライナ州シャーロット市 (C) 設立:1983年8月 (D) 社長:Winston L. Tennies (E) 資本金:1,614千ドル(神鋼100%出資) (F) 事業:ミドレックス法直接還元製鉄プロセスの開発・販売 (2)『FASTMET』プロセスについて 主に石炭を還元剤として用いる還元鉄製造技術で、プロセスとしては、石炭粉と鉄鉱 石を混合した生ペレットをドーナッツ状のロータリーハース炉に敷き詰め、バーナー で高温に加熱することによって、短時間で還元を完了させる還元鉄製造技術。また、 『FASTMET』の語源は、Fast Metallizationの略で、本プロセスの金属化速度 が他の還元鉄製造法と比較して飛躍的に早いことに由来している造語。 (3)KMIronについて 当社と三井物産殿が米国で『FASTMET』を商業化するために折半出資で設立 したFS会社。生産能力は45万■/年×2基=90万■/年で、プラントサイト はルイジアナ州を前提に検討してきた。 以 上
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