シティコンシャスクレーン『パンサー』の開発・販売について
1997年10月28日 *1シティコンシャスクレーン『パンサー』の開発・販売について 当社はこのほど、「更に快適・更に高性能・更に小型化」という未来志向的概念を盛り込ん だシティコンシャスクレーン『パンサー』シリーズ(3機種)のうち、最大吊り上げ能力25tクラス の『パンサー250』と50tクラスの『パンサー500』2機種をフルモデルチェンジし、11月1日 より販売を開始します。販売価格は『パンサー250』が4,540万円(標準仕様)、 『パンサー500』が7,750万円(標準仕様)で、販売目標台数は600台/年(2機種合計) です。 『パンサー』シリーズは、一般的にはラフテレーンクレーンといわれるタイヤを装着した移動 式クレーンで、都市部における建築工事を中心に用いられています。その過密化・狭隘地化 する都市環境の中で、クレーン作業や市街地の走行を快適かつ安全に行うために、機体の 大幅なダウンサイジングを始めとする画期的な新機軸を随所に盛り込んで1991年12月に誕 生しました。その後『パンサー250』については1994年10月、『パンサー350』『パンサー500』 については1995年3月にグレードアップを行い、市場での高い評価を得てまいりました。 今回モデルチェンジした『パンサー250』『パンサー500』では、「コンパクトさ」「安全機能の充実」 「高い走行安定性」「未来志向のフォルム」などといった誕生当時のコンセプトを継承しつつ、 品質と作業能力の向上に主眼を置いて、「走りと吊りの基本性能」に更なる磨きをかけたもの です。具体的には、オペレータが実感できる剛性感の高さを目指したフレームやアウトリガなど 構造部分の見直しといった大きな部分から、エアコンの吹き出し口の増設などの小さな部分に いたるまで、より実用的な使いやすさの向上をはかりました。また特に、『パンサー500』におい ては最大つり上げ能力を45tから50t級にまで高め、クラスを超えたモデルチェンジを行ってい ます。 当社は常に変化する市場の動向を踏まえながら、これらの機種の使われ方を徹底的に調査 すると共に、作業性、操作性、安全性など諸性能について多くのユーザーニーズを吸収し、 必要な機能を高いレベルで結集した開発をおこなっています。当社は今後も「マーケットオリエ ンテッドの発想」をベースに、ますます多様化するユーザーニーズに対応した商品開発を積極 的に進めていく考えです。 『パンサー』の主な特長は以下の通りです。 (1)各部の剛性を向上 クラス最小のコンパクト性を実現した「*2バーテブラフレーム」のねじり剛性を、構造解析に基 づいた板厚のアップなどによっていっそう向上させました。またアウトリガについても、すきま精 度の見直しや構造の変更などによって強度をアップし、重負荷時の粘り強さを高めています。 (2)クラス最適値の吊り上げ能力設定 それぞれのクラスにおいて実用頻度の高い範囲に主眼をおいた能力を設定。特に『パンサー 500』においては50tクラスで最大の吊り上げ能力を実現し、作業半径20mにて4t吊りを可能 にしています。 (3)36mブーム+9mジブ新設定(パンサー500) このクラスで初めて36mブーム+9mジブの能力を設定し、作業頻度の高い2~3.5t吊りの 範囲において作業半径を約2m拡大しました。 (4)クラス最大級のエンジン馬力 『パンサー250』は250馬力、『パンサー500』では350馬力というクラス最大級の馬力を 誇るエンジンを搭載しました。平成10年度から施行される建設省の排ガス規制にも対応して います。 (5)走行性能を向上させる新機構の採用 電子制御4速フルオートマチックを採用し、ギア比の最適チューニングによってスムーズな 加減速を実現しました。また、トランスミッションに新採用したヘリカルギアは走行時の騒音 低減に大きく貢献しています。制動力についても、従来からのトルコン連動の排気ブレーキ に加えて*3リターダを新設定して強化しています。 (6)数々の安全機能を継承 世界で初めて『パンサー』に採用された「旋回自動停止機能」をはじめ、安全作業に貢献 するさまざまな機能を継承しています。 (7)液晶マルチディスプレイの搭載。 負荷の状況からカメラ映像まで、さまざまな情報をすばやく検索できるマルチディスプレイ を搭載してます。さらに今回新たにメンテナンス情報を追加し、定期交換部品などの情報も 得られるようにしました。 (8)信頼性・快適性の向上 エアコンの吹き出し口の増設や、シートリクライニング角度の拡大などによって、オペレー タの快適性を向上させています。 〔語句説明〕 *1:シティコンシャスクレーン このタイプのクレーンは一般的には「荒れ地で使われるクレーン」という意味の「ラフテレーン クレーン」と呼ばれていますが、現代社会においては主に都市型の建設工事に多く用いられ ています。「シティコンシャスクレーン」は、そうした現場環境・背景を考慮し、都市で使われる クレーンに相応しい名称として当社が独自に名付けたものです。 *2:バーテブラフレーム 動物の脊髄(バーテブラ)のような形状をしたフレームで、通常の直線形状のフレームでは困 難なダウンサイジングを可能にしています。 *3:リターダ プロペラシャフトの部分に装着して制動力をかける補助ブレーキで、『パンサー250』では電 磁式をオプション設定、『パンサー500』では流体式を標準装備しています。『パンサー250』『パンサー500』の主要諸元
名称 | パンサー250 | パンサー500 |
型式名 | RK250-5 | RK500 |
最大つり上げ能力(t×m) | 25×3.5 | 51×2.9 |
ブーム長さ(m) | 9.3~30.6 | 10.2~39.0 |
ジブ長さ(m) | 7.5 / 12.0 | 9.0 / 15.0 |
ロープ速度 主巻(m/min) | 124 / 60 | 122 / 52 |
(高/低) 補巻(m/min) | 107 / 52 | 105 / 45 |
エンジン最大出力 kW{PS} | 184{250} | 257{350} |
全長×全幅×全高(mm) | 11,010×2,490×3,450 | 12,340×2,960×3,700 |
車両総重量(kg) | 26,495 | 38,495 |
単位は国際単位系のSI単位表示で、{ }内は従来表示です。 以上
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