ノイズキャンセラ付きハンズフリーLSIの開発・販売について
1997年11月11日 ノイズキャンセラ付きハンズフリーLSIの開発・販売について 当社はこのほど、国内メーカで初めて*2全二重スピーカフォンと*1ノイズキャンセラを1つに した(ワンチップ化)車載用携帯電話ハンズフリーLSI(製品名:KHF53XXシリーズ)の販売を 開始致します。初年度の販売目標数は50万個で、サンプル価格は3,000円/個程度の見 込みです。サンプル出荷は1998年2月の予定です。 本LSIを使用すれば、車の中で携帯電話を使用する際に、電話機を持たずに両手でハンド ルを保持出来るため、安全性を保持できる上にノイズの少ない双方向同時の会話が可能と なります。従来のハンズフリーLSIはアナログ方式(*3半二重)のものが主流で、同時に双方 向で会話をすることが出来ませんでしたが、当社がこのほど開発したハンズフリーLSIでは *4DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)を使用することで全二重を実現し、同時に双方向 での会話をスムーズに行うことができます。さらにノイズキャンセラを搭載することで車の中で 発生する窓の開閉時の風切り音やロードノイズなどといった騒音を低減することができます。 全二重スピーカフォン機能搭載のハンズフリーLSIは一般的ですが、ノイズキャンセラ機能を も搭載したLSIの開発は画期的なもので、国内メーカでは初めてとなります。 具体的には、本LSIは、当社の技術開発本部にて独自にアルゴリズム開発を行い、デジタ ル信号処理に適しているテキサス・インスツルメンツ(TI)社製16ビット固定小数点DSP (TMS320C53)内部のマスクROMに全二重スピーカフォンとノイズキャンセラのアルゴリズム プログラムを搭載してワンチップ化を実現したものです。 当社としては、TI社のDSPソリューションの戦略に基づき、従来より音声・通信分野に特化 した開発を行っており、本LSIは、その一環として開発されたものです。 以下は本LSIの主な概要です。 1) 消去可能エコー長は40msec(320タップ) 2) エコー減衰量は25~30dB 3) 収束時間1秒以内 4) スペクトル差し引き法によるノイズキャンセラ 5) 対応可能な*5携帯電話規格はPDC,GSM,AMPS,IS-54B,IS-136,IS-95 6) 5V電源 7) 動作保証範囲は-40~85℃ 8) 100PinSQFPパッケージ 語句説明 *1 ノイズキャンセラとは? 通話者の音声以外の外部騒音(車のエンジン音、走行雑音、街中の雑音等)を消去 して、わかりやすくするもの。音声と騒音の周波数分析により、騒音のみを低減 するもの。 *2 全二重とは? 双方向通信。同時に双方で会話が可能なもの。 *3 半二重とは? 片方向通信。糸電話と同じ仕組みで片方が話をしている時はもう片方は話が 出来ないもの。 *4 DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)とは ディジタル信号処理専用のプロセッサ。音声・画像・オーディオなどのディジタル 信号を圧縮したり、伸長などの処理をする目的のプロセッサ。 *5 携帯電話規格について 他メーカー携帯電話機間でも通話が出来るようにNTTドコモなどのキャリア会 社が規格を統一している。日本ではPDC方式、アメリカではAMPS,IS-5 4B,IS-95などがある。ヨーロッパではGSM方式。 以上
ホームへ
ひとつ上のページへ