金メッキ・ソルダーレジスト外観検査装置の開発・販売について
1998年2月5日 株式会社神戸製鋼所 金メッキ・ソルダーレジスト外観検査装置の開発・販売について 当社はこのほどプリント基板上の*3金メッキ部分や*4ソルダーレジスト部分の外観上の 欠陥を自動検査できる装置「FP1000」を開発し、販売を開始致します。販売価格は標準 仕様で4,200万円、高速仕様で8,000万円です。尚、初年度の販売目標は40台です。 昨今、携帯電話や携帯型パソコンなど情報通信機器の最小化・高集積化が進むに伴い、 その内部の実装部品も従来のリードフレームパッケージから*5BGA(Ball Grid Array), *6CSP(Chip Size Package)といった新型*1ICパッケージに取って替わろうとしてい ます。また、*7フリップチップ実装の実現により、*2MCM(Multi-Chip Module)基 板のようなマザーボードへ直接ICチップを実装する形態も急速な伸びを示してきています。 これら新型ICパッケージの内部やMCM基板上では、ICチップからのワイヤーボンディング や*8バンプ接続をつき易くするために、接続先である銅パターン表面に金メッキが塗布さ れています。またソルダーレジストは内部保護の目的でプリント基板表面に塗布されていま す。この金メッキ上の傷や汚れ・メッキ未着はICチップからのボンディング接続不良に影響 し、またソルダーレジストのコーティング欠陥は配線回路不良の原因となります。 現状これらの不良に対する外観検査は殆どを人の目による目視検査に頼っており、新型IC パッケージの急増に伴って、目視検査員を増やさなければなりません。また、検査員の感覚 による検査であるため、検査結果のバラツキも大きな問題となっています。プリント基板メー カーはこのような大きな問題を抱えており、検査の省力化と精度向上という強いニーズがあり ます。これらのニーズに応えるべく、検査の自動化・省力化・精度向上を目的として、当社は この「FP1000」を開発致しました。 今回、当社が開発しました「FP1000」の検査技術は、既に当社が製品化しているX線式ハン ダ付け検査装置やリードフレーム外観検査装置の検査ノウハウや画像処理ノウハウ、鋼板の メッキ処理などの製造ノウハウを基に開発されています。また、当社では常にユーザニーズに 応えるべく、検査のバックボーンとしての不良の定量測定・原因解析などを日々積み重ねてお ります。 当社では、今後も半導体・エレクトロニクス業界向け設備装置事業を重点分野とし、多様化す る顧客ニーズに対し、独創的な新商品の開発、省力化・自動化の提案など、積極的な取り組 みを図ってまいります。 ・ 「FP1000」の特徴は、以下のとおりです。 1. プリント基板最終外観自動検査装置 プリント基板の最終外観自動検査装置を商品化致しました。また、ハード・ソフトを当社がオ ールインワンにてご提供致します。 また、検査自動化の投資効果が十分得られる価格設定となっています。 2.微小な欠陥も捉えることが可能 標準1画素10μm、最高で3μmまでの高分解能撮像が可能です。 3.高速検査が可能 10μm分解能(標準仕様)で27mm□BGA6枚を約12秒で高速検査致します。更に、高速 仕様では、最高8秒までの高速化も可能です。 ・「FP1000」の仕様は、以下の通りです。 検査項目 最終外観検査項目全般 金メッキ部:キズ、汚れ、色むら、金未着、異物付着・欠けなど・ レジスト面:異物付着、 レジストずれ、塗布むら、キズ、剥がれなど 撮像系 5000画素ラインCCD、2方向からの照明 分解能 標準10μm、最高3μmまでの高分解能化が可能 対象基板サイズ 外形寸法:20 x 20~250 x 250 mm、板厚:0.2~2.0 mm 機構部 反り矯正機構付きXYθ 3軸ステージ タクトタイム(参考) 標準仕様 12秒…10μm分解能で27mm□BGA基板6連シート(50 x 190mm)を 検査した場合。 高速仕様 8秒……5μm分解能でBGA基板6連シートの金メッキ部(25 x 190mm) を検査した場合。 装置価格 標準仕様 4,200万円 高速仕様 8,000万円 オプション ・ローダー/アンローダー:基板の投入&取出し装置 ・ベリファイステーション:不良基板目視確認用 ・プリペアステーション :段取り替え事前準備用 ・マーキング装置 :不良基板マーキング用 ・凹凸検査用特殊集光光源:表面の微小凹凸検査用光源 補足説明・語句説明 *1 ICパッケージ:半導体チップから金線のワイヤボンディング、または金バンプボンディ ングにより、内部端子(インターポーザ)へ接続後、樹脂モールドされた もの。これがマザーボードに実装される。 内部端子(インターポーザ)は従来、リードフレームと呼ばれる銅板が使 われていたが、パッケージの小型化・高集積化により限られた領域内で の多ピン化が要求され、プリント基板が取って代わるようになってきた。 *2 MCM: Multi- Chip Moduleの略。 マザーボード基板の上にパッケージ部品を実装する従来の工法に変わり、 プリント基板上へいきなりICチップを載せ(フリップチップ実装)、形成 された基板。1枚の小さなプリント基板上に、従来のマザーボードと同等 の回路が形成されている。 BGA・CSPのインターポーザーと同様、表面には金メッキやソルダーレジスト が塗布される。 *3 金メッキ :ICチップからの金線や金バンプが、インターポーザやMCMへ着き やすいように、ボンディング先である基板表面にメッキ処理される。 *4 ソルダーレジスト:プリント基板上の配線を保護するために塗布される樹脂。 *5 BGA :Ball Grid Arrayの略。 ICパッケージの裏面に球状のハンダボールを格子状に並べ、リードの 代替としたもの。 *6 CSP :Chip Size Packageの略。BGAパッケージの1種で、ICチップと ほぼ同寸法まで縮小化されたもの。 *7 フリップチップ゚実装:ICチップに接続用のバンプを付けて、直接マザーボードに実装する方式。 従来の樹脂封じパッケージに比べ、より小型化を実現できる。 *8 バンプ接続:ハンダボールや金ボールの接続端子のこと。従来のリード接続からボール 接続することにより面積が軽減される。 以上
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