クレーン・グラブ兼用大型作業船の開発・販売について


1998年6月16日

クレーン・グラブ兼用大型作業船『F&G3545』の開発・販売について

クレーン・グラブ兼用大型作業船「F&G3545」  当社はこのほど、クレーン及びグラブ、それぞれの機能を備えたクレーン・グラブ兼用大型作業船『ファーストクラス』シリーズに『F&G3545』(最大つり上げ能力400t)を新たにラインナップし、6月17日より販売を開始します。販売価格(除船体)は5億3千万円です。また、販売目標は年間5台です。

 現在、海上工事には震災や大暴風雨雪から海岸線の浸食を防止する護岸工事、一般港湾や漁港における各種機能の強化整備工事、大型漁礁の沈埋工事に代表される海洋牧場工事、さらには海上に大規模な土地スペースを新たに造る人工島建設工事など様々なものがあります。一般的に波浪や風の影響を受けやすい特殊な環境下で行われる海上工事では、陸上工事とは比較にならない各種の制約があり、工事に使われる作業船にも安全性や耐久性・作業性などの面でより高度な性能が求められています。加えて、近年は防波堤工事や護岸工事に使われるケーソンやブロックが大型化しているなど、海上工事が大型化・大水深化している傾向にあり、これらの状況に適応した大型作業船のニーズが高くなってきています。

 当社はこの様な状況の中で、より作業性、安全性、耐久性、快適性に優れた作業船を求めるユーザーニーズに対し、90年5月に『ファーストクラス』シリーズの開発・販売を開始しました。このシリーズはこれまでの作業船の概念にとらわれることなく港湾工事に求められている要件を徹底的に分析し、その具現化に努めたもので、最新のメカトロ技術を採用し、新時代にふさわしい機能・性能を備えたことにより、ユーザーより高い評価を得ております。

 この『F&G3545』は、大型テトラポッドの据え付けに代表されるクレーン作業はもちろん、大きな直巻能力でグラブバケットを用いた浚渫作業や砕岩作業、さらには特殊アタッチメントを装着してのくい打ち作業にいたるまで多様な海洋工事に対応すことができる大型作業船です。

 今回、クレーン・グラブ兼用作業船『ファーストクラス』シリーズに『F&G3545』を追加ラインナップすることにより、シリーズは合計10機種となり、ユーザーからの幅広い要望に対し最適なクラスの作業船を提供することができるなど、更にきめ細かい対応が可能となります。

『F&G3545』の主な特長は次の通りです。

■余裕のあるクレーン能力
最大つり上げ能力はシリーズ最大の400トン(主巻)。大型テトラポッドなど各種消波ブロックの陸取り・据え付け作業を、余裕をもって行うことができます。

■大きな直巻能力
最大直巻能力は45トン。ハードなグラブ作業や砕岩作業などを効率良くこなせるのはもちろん、特殊アタッチメントを装着してのくい打ちにいたるまで幅広く対応できます。

■海洋工事機械としての専用設計
陸上機(クローラクレーン)の転用ではなく、海上機特有の使われ方や条件を徹底的に分析、専用設計することによって、海洋工事の厳しい条件下にも耐える性能や機能、耐久性を備えました。

■クラス最大のアウトリーチ
後端旋回半径を抑えた独創のレイアウトによって、作業に余裕をもたらすクラス最大のアウトリーチを実現しました。さらに台船上の荷積みスペースを広く確保することができます。

■操作性を向上させる独自のメカトロ制御システム
速度とトルクの2種類の制御をスイッチひとつで切り替えられるメカトロ制御システムを採用し、作業に応じた柔軟な操作性を実現します。さらに左右2本のレバーに基本的な操作系を集約したレバー&グリップシステムによって、頻繁にレバーを持ち替える必要がありません。

■多彩な機能を盛り込んだ液晶カラーマルチディスプレイ
運転室には液晶カラーマルチディスプレイを搭載。吊り上げ荷重やグラブバケットの深度・開口度など、実作業に不可欠な情報をはじめとして、オペレータのうっかりミスを防止する警報やメンテナンスに関する情報など、機械の運転、維持・管理に関する情報を見やすく表示します。

■視界良好なハイマウントキャブ
運転室の取り付け位置を従来機より1,500mm高く設定しました。ケーソンの天場作業などの視界が広く取れ、また潜水作業員の合図も見やすいため、作業能率が向上する上安全性にも貢献します。またキャブの取り付けは本体からラバーマウントによって独立化されているため騒音や振動が抑えられ、オペレータの疲労を軽減することができます。



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