化合物半導体単結晶成長装置の開発・販売について向け
1998年7月6日
化合物半導体単結晶成長装置の開発・販売について ~化合物半導体単結晶市場に参入~ 当社は、このほど自社開発した化合物半導体単結晶成長装置の販売活動を本格的に開始し ました。これに先立ち、大手化合物半導体結晶メーカーから総額2億円の装置を受注しました。 化合物半導体市場は、日本のメーカーが世界の総生産量の7~8割程度を占めており、LED (発光ダイオード)や半導体レーザなどのほかに移動体通信用高周波デバイスとして需要が拡 大しています。年間出荷額は年率10%以上の割合で伸びており、2000年度には700億円規 模になると予想されています。(1996年度の市場規模は約380億円) それと同時に、材料に対する大口径化、高品質化、低コスト化へのニーズが高まっています。 従来、化合物半導体単結晶の製造法には、LEC(液体封止引き上げ)法、HB(水平ブリッジマ ン) 法の2通りの方法がありますが、これらの従来法は、大口径化、高品質化などのニーズに は適さない問題があります。例えば、LEC法は、化合物半導体結晶原料をるつぼ内で溶解した 後、液体封止剤である酸化ホウ素(B2O3)を用いて高圧の不活性ガスで揮発を抑制しながら、 結晶を徐々に引き上げることによって結晶を育成する方法ですが、この方法では、大きな温度 勾配下で結晶を成長させなければならず、高品質化には適しません。一方、HB法には大口径 化に問題があります。 当社が開発した化合物半導体単結晶成長装置ではこれらの問題点を解決するために、VB (垂直ブリッジマン)法を新たに採用しました。これはるつぼの中で原料を融解し、その溶液を上 部が高く、下部が低い温度分布を有する縦型炉の中を降下させて、るつぼの下端より順次結 晶化させる方法です。この方法はLEC法に比べて小さな温度勾配下での成長が可能であり、 結晶中の熱応力が低減された成長条件であるため、低転位化に適しています。また、大口径 化にも適した技術です。 当社は、HIP装置のトップメーカーとしてこれまでに培った加熱技術・高圧技術及び高品質単 結晶成長に関する材料技術のシナジー効果により、結晶成長に最適な温度分布を与える炉内 構造の開発、さらには化合物の組成を制御するための蒸気圧制御機構の開発に成功し、今回 の製造装置として完成することができました。 開発した装置により、発光ダイオードの基板材料となるGaP(ガリウムリン)単結晶の完全無転 位化にも世界で初めて成功しています。 今後、本装置の販売活動を積極的に展開していくとともに、本装置の技術を適用し、結晶原 料合成装置、アニール装置などのメニュー展開を図っていくことにより、初年度で合わせて10 台の販売を目標としています。 以 上
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