低レベル放射性廃棄物用プラズマ焼却溶融システムの開発について
1998年7月22日 低レベル放射性廃棄物用プラズマ焼却溶融システムの開発について 当社はこのほど、原子力発電所や原子力研究施設において発生する低レベル放射性雑固 体廃棄物を一括して溶融処理できるプラズマ焼却溶融システムを開発し、米国に設置した *1パイロットプラントでの実証試験を完了しました。 現在、原子力施設から発生する低レベルの固体廃棄物は200リットルドラム缶に保管 されています。このうち、紙類、衣服など可燃物は施設内の焼却炉で処理されますが、パ イプ、断熱材、焼却灰などの不燃物や、塩化ビニルやゴム類などの難燃物は未処理のまま 施設内の倉庫に保管されています。 しかし、これらの保管スペースは今後、逼迫することから、これら廃棄物の減容、安定 化が必要となってきています。また、廃棄物の処理においては分別が不要でかつ一括して 処理できるシステムが望まれています。 当社が開発したプラズマ焼却溶融システムではこうした廃棄物をドラム缶をそのまま溶 融炉に投入するため、一括処理が可能となり、廃棄物の減容率はおよそ5分の1程度とな りました。 また、ユーザーのニーズに幅広く対応するために、一定量の溶融物を溜めた後に排出す るバッチ式(セルフタッピング方式)と、溶融しながら排出する連続式のいずれも選択が 可能な構造となっています。なお、溶融物の放射能濃度を特定する場合は、炉内に均一溶 融物を作って、サンプル採取を行って放射能濃度を測定できるセルフタッピング方式が適 しています。 セルフタッピング方式の主な特徴は以下の通りです。 1. 溶融が進むにつれて、溶融物が湯道(タッピングチャンネル)に流れ込むときに、溶融 物がガスで冷却固化され、堰(せき)を形成します。溶融物が増えるに従って堰も高く なるため、炉内の溶融物が保持されます。 2. 所定の量の溶融が完了すると、プラズマアークを堰に照射して溶かすことにより、溶融 物が出湯、排出されます。 3. 出湯の途中においても、冷却ガスを再供給することにより、出湯を停止したり、プラズ マアークの照射により再出湯も可能です。 このようにセルフタッピング方式は、溶融物の排出のための傾動装置や回転機構あるい は穴開け装置のような複雑な機構が不要になります。さらに固定式であるため、構造がシ ンプルで放射性物質や有害物質の密封性、メンテナンス性に優れています。 さらに塩化ビニル等の処理時に懸念されるダイオキシンは、1500℃の高温プラズマ 処理と排ガス・冷却工程でダイオキシンの再結合を抑制するシステムを採用することで発 生を防止しています。 当社では今後、実用化したプラズマ焼却溶融システムを原子力発電所、研究施設、再処 理施設などに採用を働きかけていく考えです。一方、米国を中心に海外でも本システムが 注目されており、*2PEC社(Plasma Energy Corporation)への技術供与契約を97年 12月11日に締結したことを機に、海外進出も積極的に推進していく方針です。 (ご参考) *1パイロットプラントの仕様 1. 廃棄物供給系:ドラム缶ごと投入 2. プラズマ炉:出力/1.1MW、トーチ/自由旋回型、セルフタッピング方式 3. 排ガス系:セラミックフィルタ等による放射性物質の除去。ダイオキシン再結合防止プロセス の採用。 *2PEC社の概要(98年1月にCallidus Technologies Inc.に吸収合併されました。) 名称: Callidus Technologies Inc. 本社:米国オクラホマ州Tulsa 社長: W.P.Bartlett (President & CEO) 従業員数:約300人(米国内:264人、海外:40人) 事業内容:バーナー、燃焼炉、プラズマトーチ等の設計および製造。 以上
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