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1998年10月29日
株式会社神戸製鋼所

ベネズエラ国でのコムシグア直接還元製鉄プラントの開所式について

 

コムシグア直接還元製鉄プラント 当社、日本商社グループおよびベネズエラ政府を中心とするコムシグアプロジェクトが進めてきた、ミドレックス法による直接還元製鉄プラントがこのほど完成し、10月30日(現地時間)にベネズエラ国ボリバル州現地のプラントサイトにおいて開所式を行います。開所式には、ベネズエラ国ラファエル カルデラ大統領以下約200名、当社からは根上特別顧問(前 神戸製鋼所専務取締役)以下数名が出席する予定です。

 当社および日本商社グループは、1987年12月に当社にとってベネズエラで1基目のミドレックス法による直接還元製鉄プラント(通称:OPCO、生産能力:年産100万トン)を受注、1990年からHBIの量産を開始し、北米向けに順調に販売してきました。
 当社のOPCOに対する経営指導およびプラントの操業指導は、同プラントの運営状況が順調であることから高く評価されています。今回操業開始した直接還元製鉄プラント(通称:コムシグア、生産能力:年産100万トン)は、当社にとってベネズエラで2基目のHBI製造プラントとなります。
 今回のプラント建設は、1996年5月に、その運営会社であるコムシグア社から当社が30ケ月の納期で請負い、96年6月末に建設を開始したものです。当初計画より約5ケ月短縮して、98年7月末に設備のホットランを開始しました。更に、8月中旬には最初のHBIを製造し、先週末には第一船として北米向けに約3万トンの出荷を行いました。また既に、性能保証運転において所定の生産能力の112%を達成しており、99年からはフル稼動生産を計画しています。

 本プロジェクトの運営にあたっては、当社、日本の5商社、メキシコの電炉メーカー/タムサ社、ベネズエラ国ガイアナ開発(略称CVG)傘下の鉱山会社/フェロミネラ社、IFCが、89年9月に合弁会社(コムシグア社)を設立し、同社が推進してきました。今後も、コムシグア社が本プラントを操業し、HBIの製造および販売を行っていくことになります。

 北米での鉄鋼業は、大量生産の高炉一貫製鉄所から小回りの利く電炉を用いたミニミルでの生産へと比重が移行しつつあり、電炉原料となる冷鉄源需要は拡大の一途をたどっています。また、冷鉄源の大半を占めるスクラップは、混入物の割合が増加しており、品質の維持が困難になってきています。この様な状況において、鉄分純度の高い冷鉄源である直接還元鉄(DRI)およびHBIの需要は今後も増加が予想されます。  プラントサイトであるガイアナ地区の近郊で鉄鉱石および天然ガスが豊富に産出されることから、同プラントのプロセスは、天然ガスを還元剤とするミドレックス法を採用しています。ミドレックス法は、当社が100%出資のミドレックス社が保有するプロセスであり、世界中で生産される直接還元鉄の約6割以上が本プロセスによるものです。なお、同プラントで生産されるHBIは、株主であるタムサ社および日本の商社が長期契約にて引き取りを行い、北米を中心とした市場で消費される予定です。

<コムシグア社の概要>
(1)名称 COMSIGUA
(Complejo Siderurgico de Guayana, C. A. )
(2)所在地 ベネズエラ国ボリバル州シウダッド・ガイアナ地区
(プエルト・オルダス市)
(3)代表者 アンヘル・バレ-ト(Angel Barreto)
(4)資本金 115百万ドル
(5)設立年月 1989年9月
(6)事業内容 HBIの製造および販売
(7)生産能力 年産100万トン
(8)従業員数 約250名
(9)出資構成 神戸製鋼所 36.7%
日本の5商社
(丸紅、三井物産、日商岩井、
トーメン、神鋼商事)
30.3%
メキシコ/タムサ社 6.9%
CVG/フェロミネラ社 17.4%
IFC(国際金融公社) 8.7%
(10)総投資額 271百万ドル
(11)ファイナンス IFCとクレディ・リオネーから156百万ドル
(ご参考)

HBI:還元鉄(スポンジアイアン)は、空気中で再酸化し発熱するため、輸送が困難であるという問題があります。これに対し、HBIは還元鉄に物理的圧力を加えることにより、たどん状にしたもので、これにより還元鉄の密度が高まり、再酸化の問題が解消し、輸送を容易にしたものです。従来の高級スクラップ並びに銑鉄の代替として電炉・転炉における製鋼原料として使用されます。

 

以上




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