1999年4月1日

 

        99年度入社式 水越社長祝辞

 

 皆さん入社おめでとう。社長の水越です。

 

 今年は、この会場におられる107名の皆さんと、各事業所・工場でこの放送を聞い

ておられる176名の皆さん、総勢283名の新しい仲間を迎える事が出来、大変喜ば

しく思っております。皆さんは厳しい就職戦線を乗り越え、様々な思いを胸に神戸製鋼

所に自らの将来を託すことを決められました。我々経営陣一同、その重責をひしひしと

実感すると共に、皆さんが今後大きく飛躍されることを強く期待しております。

 

 さて、日本経済は、戦後最悪と言われる不況の真っ只中にあり、日本のあらゆる企業

が、生き残りをかけた激しい戦いを余儀なくされております。この様な中にあって、当

社は、今年度より、社内カンパニー制と執行役員制の導入を柱とした経営機構の下で新

たな改革に踏み出します。これまで永年に亙り標榜してきた「複合企業」の特長を生か

し、それぞれの事業特性に適合した経営システムをより完全な形で実現する為に構築し

た施策です。皆さんは、21世紀に勝ち残る為に、会社が大きく変わろうとしているの

だという事を理解して頂き、新たな気持ちで本日よりスタートを切って頂きたいと願っ

ております。

 

 さて、ここで会社の先輩として、皆さんに社会人として是非心掛けて頂きたい事が

あります。

 「求めよ、さらば与えられん」聖書にこの言葉があります。何事にあっても、人は

能動的、積極的に働きかける気概がなければ、事は成し遂げられないという意味です。

上役は部下に働く場までは提供出来ます。しかし、どうすればうまく出来るかと考える

気力のない部下に対して、それ以上のことをしてやることは出来ません。皆さんはこれ

から社会人として幾多の困難に遭遇されると思います。例えば、仕事のことで悩んだり、

不慣れな環境に不安を感じたり、人との付き合いの中で戸惑いを覚えることもあるかも

知れません。また、会社や組織の中に存在する様々なルールが、皆さんにとって、大き

なプレッシャーとなるかも知れません。その様な時に、先程の言葉を思い出してもらい

たいのです。どの様な困難であれ、これをブレークスルーする為に、積極的に取り組め

ばきっと乗り越えることが出来るはずです。そして、克服した暁には、努力の代償とし

て達成感や充実感を味わうことが出来るはずです。決して挫折をしないで下さい。積極

的な気力と努力を惜しまなければ必ず視界は開けます。

 

 もう一点申し上げたい事は、「自己研鑚」に精励して欲しいということです。皆さ

んは、学力に関しては一定レベル以上のものを持っておられる訳ですが、これから社会

人として通用する為には、決して一つの特定分野に限定することなく、常日頃から様々

なジャンルの書物に接し、自分なりにあれこれと思索を巡らせて欲しいのです。なぜな

らば、幅広く知識を蓄積することにより、高度な見識や豊かな知恵、深い洞察力が養わ

れ、よりレベルの高い仕事に対処できる能力を身に付けることが出来るからです。「深

い穴を掘ろうと思えば、広く掘り始めなければならぬ」ということです。そしてこの事

が組織力となり、ひいては会社全体のレベルアップにも繋がっていく訳です。このこと

を踏まえ、常日頃の「自己研鑚」に励んで頂きたいと思います。

 

 更に、各事業所・工場でこの放送を聞いておられる皆さんには、当社の生産現場の

技術力の維持・向上の為に、これまで培ってきた「高度な技能を継承する」という極め

て重大な使命を担って頂きます。当社は従前より「技術立社」をモットーとしており、

技術力は生命線であると考えております。このことを十二分に肝に銘じて専心して頂

きたいと思っております。

 

 最後になりましたが、今年度は神戸製鋼が変革に向け、力強く一歩を標す記念すべ

き年となります。来る21世紀に新生神戸製鋼として飛躍を遂げる為には、全社員一丸

となった努力が必要です。その為にも、是非、皆さんの若い力を貸して頂きたいのです。

我々と共に、神戸製鋼をより良い会社にしていこうではありませんか。

 結びに、新入社員の皆さんが健康と安全に留意され、社会人として充実した生活を

送られることを切望し、輝かしい未来と実り多い人生を祈念して、私からの挨拶と致し

ます。

 

                                    以上


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